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第638回 女子中の入試問題 比と割合 1

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割合の練習問題 2023年09月30日18時00分

「第638回 女子中の入試問題 比と割合 1」

ここまで、2023年度に女子中で出された「数と計算」の入試問題を見てきました。

今回からは「比と割合」がテーマの問題を取り扱っていきます。

その1回目は、比と割合の基本問題です。

習い終えていれば5年生でもチャレンジできます。

 

では、1問目です。

 

【問題】26:xと156:yの比の値が等しいとき、yはxの何倍か求めなさい。

(頌栄女子学院中学校 2023年 問題1-(3))

 

【考え方】

「比の値が等しい」と「比が等しい」は同じことです。

ですから、

26:x=156:y

として考えることができます。

□=y÷x=156÷26=6(倍)

答え 6倍

 

本問は比の基本が確認できる問題です。

既習であれば絶対に正解したい問題です。

 

続けて、2問目です。

 

【問題】2けたの3つの数A、B、Cがあります。AからBを引いた数とAからCを引いた数の比が7:6で、BとCの比が4:7です。Aはいくつですか。

(吉祥女子中学校 2023年 問題1-(4))

 

【考え方】

条件を線分図に整理します。

このとき、7:6は⑦:⑥、4:7=4□:7□のように表します。

 

線分図より、

⑦-⑥=7□-4□

①=3□

とわかります。

 

よって、

A=3□×7+4□=25□

B=4□

C=7□

ですから、

A:B:C=25:4:7

です。

A、B、Cは2けたの整数ですから、上の比を3倍した

A:B:C=75:12:21

だけが適します。

答え 75

 

本問は、比と線分図の関係の理解が確認できる問題です。

なお、線分図の代わりに、次のように整理することもできます。

 

では、3問目です。

 

【問題】Aさんの所持金の2倍はBさんの所持金より150円多く、Bさんの所持金の2倍はAさんの所持金の3倍と等しいです。Aさんの所持金は何円ですか。

(品川女子学院中等部 2023年 問題2-(10) 問題文一部変更)

 

【考え方】

はじめに、「Bさんの所持金の2倍はAさんの所持金の3倍と等しい」に着目します。

A×3=B×2 → A:B=②:③

 

次に、「Aさんの所持金の2倍はBさんの所持金より150円多く」に着目すると、

②×2=③+150

④=③+150

①=150(円)

とわかります。

 

150×2=300(円)

答え 300円

 

本問は、「等しい関係を比に直す」ことを確認できる問題です。

これも比の大切なポイントですので、ぜひ正解しましょう。

 

ここからは「割合」に関する文章題です。

 

4問目も3問目と同じ学校の問題です。

 

【問題】Aさんはおこづかいを何円かもらいました。昨日はそのうちの7/12を使い、今日は昨日の残りの2/3を使ったところ、手元に残ったお金は650円になりました。Aさんは何円のおこづかいをもらいましたか。

(品川女子学院中等部 2023年 問題2-(5) 問題文一部変更)

 

【考え方】

条件を線分図に表します。

このとき、7/12のもとにする量はもらったおこづかい、2/3のもとにする量は昨日の残りで、もとにする量が異なりますから、線分図を2段に分けてかきます。

 

はじめに、「今日」に着目すると、昨日の残りの1/3が650円にあたっています。

650÷(1-2/3)=1950(円) … 昨日の残り

 

次に、「昨日」に着目すると、おこづかいの5/12が1950円にあたるとわかります。

1950÷(1-7/12)=4680(円)

 

答え 4680円

 

本問は「もとにする量、比べる量、割合の関係」が確認できる問題です。

この関係が自由に使えることも非常に重要です。

 

なお、解答例は分数で整理しましたが、次のように整数(比)でも構いません。

3□-2□=650 → 1□=650(円)

3□=1950(円)

⑫-⑦=1950 → ①=390(円)

390×12=4680(円)

 

また、

□×(1-7/12)×(1-2/3)=650

のように、1つの式で考える解き方もあります。

 

最後に、4問目の応用問題を見ていきます。

 

【問題】ある本があります。昨日は全体の3/7を読み、今日は残りの1/3を読みました。明日100ページを読むと、本全体の1/12が残ります。この本のページ数は何ページですか。

(香蘭女学校中等科 2023年 問題1-(9) 問題文一部変更)

 

【考え方】

もとにする量が「本全体」と「(昨日の)残り」の2つがありますので、線分図を2段に分けてかきます。

 

このままでも解けますが1段目の線分図の分母は7と12ですからもとにする量を分母の最小公倍数の84○、2段目の線分図の分母は3ですからもとにする量は3□と、整数にしておくと考えやすくなります。

84○-36○=3□ → ⑯=1□

 

図より、

㊽-(⑦+⑯)=100 → ①=4(ページ)

です。

4×84=336(ページ)

答え 336ページ

 

本問は、「100ページが線分図の間にはさまる」ために、着目するポイントが少し気づきにくくなっています。

このようなときは、解答例のように「割合 (分数)→ 比(整数)」にすると考えやすくなることを覚えておくとよいでしょう。

 

今回は、2023年度に女子中の入試で出された「比と割合」の基本問題を中心にご紹介しました。

4問目までは基本の考え方が確認できますので、もし、正解できなかったときはすぐにおさらいすることが必要です。

基本がマスターできていれば、4問目の別解のような一行式の使い方や5問目の整数の使い方もチェックしておきましょう。

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割合の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年09月30日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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