第637回 女子中の入試問題 数と計算 5
「第637回 女子中の入試問題 数と計算 5」
これまで4回にわたって2023年度に女子中で出された「数と計算」の入試問題を見てきましたが、今回が「数と計算」の最終回です。
今回は、いろいろな数の問題について考えていきます。
それでは、1問目です。
【問題】整数の列
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、…、99、100、101、102、…
について、次のように各桁の数字を分割して
1、2、3、4、5、6、7、8、9、1、0、1、1、1、2、…、9、9、1、0、0、1、0、1、1、0、2、…
という数の列を新しく作りました。この数の列について、次の問いに答えなさい。
(1)はじめから200番目の整数を求めなさい。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。
(2)はじめから200番目の整数までの和を求めなさい。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。
(鷗友学園女子中学校 2023年 問題5)
【考え方】
(1)
「桁ばらし」ともいわれる問題で、1桁の整数、2桁の整数、3桁の整数に場合分けをして考えます。
1~99までの整数を分割すると
9個+180個=189個
の数字がありますから、200番目まであと
200個-189個=11個
です。
100 → 1、0、0 3個
101 → 1、0、1 3個
102 → 1、0、2 3個
102までで
3個×3=9個
ありますから、200番目の数字は103(1、0、3)の2番目の0です。
答え 0
(2)
0(00)を補っても和が変わらず、表に整理したときにマス目がすべて埋まって規則性が使いやすくなることが利用できます。
まず、00から99までの100個の整数について考えます。
はじめに、
1、2、3、4、5、6、7、8、9、1、0、1、1、1、2、…、9、9
のうち、一の位の数の
1、2、3、4、5、6、7、8、9、1、0、1、1、1、2、…、9、9
だけに着目します。
0+1+2+…+9=45 … 横1列の和
よって、一の位の数の和は
45×10=450
です。
次に、
1、2、3、4、5、6、7、8、9、1、0、1、1、1、2、…、9、9
のうち、十の位の数の
1、2、3、4、5、6、7、8、9、1、0、1、1、1、2、…、9、9
だけに着目します。
0+1+2+…+9=45 … 縦1列の和
よって、十の位の数の和も
45×10=450
です。
最後に、100、101、102、103(3は除く)について、書き出します。
1+0+0+1+0+1+1+0+1+1+0=7
450×2+7=907
答え 907
本問は、「桁ばらし」の基本が確認できる問題です。
00を補うという工夫は応用問題にも生かせますので、覚えておきましょう。
では、2問目です。
【問題】ある規則にしたがって、次のように数が並んでいます。
(1)6段目の右から2番目の数はいくつか求めなさい。
(2)15段目の数の和を求めなさい。
(3)108は何段目の右から何番目か求めなさい。なお、答えの求め方も説明しなさい。
(頌栄女子学院中学校 2023年 問題5)
【考え方】
(1)
1段目から5段目までに並んでいる数の個数は、
1個+3個+5個+7個+9個=25個
です。
6段目は偶数段ですから、数は左から右に並んでいます。
6段目に並ぶ数は11個ですから、6段目の右端の数は
25+11=36
右端から2番目の数は
36-1=35
です。
答え 35
(2)
各段に並んでいる数の個数は1からはじまる奇数になっています。
よって、1段目から□段目までに並んでいる数の個数は、
1個+3個+5個+…=(□×□)個
のように計算ができます。
14×14=196個 … 1段目から14段目までに並んでいる数の個数
15×15=225個 … 1段目から15段目までに並んでいる数の個数
ですから、15段目は
のように197から225まで
225-196=29個
の数が並んでいます。
等差数列の和の公式より、15段目に並ぶ数の和は
(197+225)×29÷2=6119
です。
答え 6119
(3)
108に近い平方数は100です。
100=10×10
ですから、100は10段目の右端の数です。
108-101=7
より、108は右から
1+7=8番目
の数です。
答え 11段目の右から8番目
本問は、数表の見方と数え方の基本が確認できる問題です。
1から連続する奇数の和の公式が使えているか、答えが1ズレていないかをチェックしましょう。
最後は、約数と倍数の問題です。
【問題】南中学校の1年生96人が、5から100までの整数が1つずつ書いてある帽子をかぶり、横1列に並びました。生徒は先生が言った数が自分の帽子の数字の約数のときに1歩前進することにしました。先生が1、2、3、…と順に100までの数を言ったとき、次の問いに答えなさい。
(1)帽子の数字が48の生徒は何歩前進しましたか。
(2)5歩前進した生徒の帽子の数字をすべて書きなさい。
(3)次の(ア)、(イ)、(ウ)には数を、(エ)、(オ)には文章を入れなさい。
Aさんの両側にいる2人が、はじめの位置より2歩だけ前進した場合、Aさんは少なくとも(ア)歩前進しています。
なぜなら、7、8、9のように連続する3つの整数には(イ)の倍数と(ウ)の倍数が含まれ、両側の帽子の数字は(エ)なので、Aさんの帽子の数字は(オ)だからです。
(東洋英和女学院中学部 2023年 問題10 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
48の約数は、
1、2、3、4、6、8、12、16、24、48
の10個ですから、10歩前進します。
答え 10歩
(別解)
約数の個数を求めればよいので、ある整数=素数A×素数B×…であるとき、
(素数Aの個数+1)×(素数Bの個数+1)×…=約数の個数
という約数の個数の公式を利用します。
48=2×2×2×2×3
(4+1)×(1+1)=10個
(2)
約数の個数が5個ある整数は、素因数分解すると
□×□×□×□(□は同じ素数)
となる整数です。
□=2のとき 2×2×2×2=16
□=3のとき 3×3×3×3=81
答え 16、81
(3)
2歩だけ前進した生徒の帽子の数字は約数が2個だけの整数ですから、Aの両側にいる生徒の帽子の数字は素数です。
このような3人の並びは、
(5、A、7)、(11、A、13)、(17、A、19)、…
などです。
ところで、
2の倍数は、(5)、6、(7)、8、(9)、10、…
のように1つおきに、
3の倍数は、(5)、6、(7)、(8)、9、(10)、…
のように2つおきにありますから、2の倍数と3の倍数は連続する3つの整数に必ず含まれます。
よって、Aさんの両側が素数であることから、Aさんの帽子の数字は6の倍数(6の約数は4個)とわかります。
したがって、Aさんは少なくとも4歩前進しています。
答え ア 4、 イ 2、 ウ 3、 エ 素数である、 オ 6の倍数(イ、ウは順不同可)
本問は、約数の個数と整数の関係、倍数と連続する整数の関係が確認できる問題です。
(3)は難しいと思いますが、(1)、(2)の作業や(3)の文中の例示がヒントとなっていますので、解けなかったときでも見直しはしておきましょう。
今回は、「数と計算」の最終回として、数に関するいろいろな問題をご紹介しました。
「桁ばらし」、「数表」、「連続する整数」がテーマの問題も中学入試ではよく出されます。
解くときに使う「1から連続する奇数」、「約数の個数」などの知識を含めて、解き方を確認しておきましょう。