第635回 女子中の入試問題 数と計算 3
「第635回 女子中の入試問題 数と計算 3」
2023年度に女子中で出された入試問題から、「数と計算」の問題について考えています。
今回は「数と計算」の大問を中心に見ていきます。
1問目は概数の問題です。
【問題】次の問いに答えなさい。
(1)一の位を四捨五入すると500になる整数をすべて足すといくつになりますか。
(2)一の位を四捨五入しても500にならない整数のうち、十の位を四捨五入すると500になる整数は全部で何個ありますか。
(3)一の位を四捨五入しても500にならない整数のうち、十の位を四捨五入すると500になる整数をすべて足すといくつになりますか。
(吉祥女子中学校 2023年 問題2)
【考え方】
(1)
一の位を四捨五入すると500になる整数は、495以上504以下の10個です。
(495+504)×10÷2=4995
答え 4995
(2)
条件を数直線に整理します。
十の位を四捨五入すると500になる整数は450以上549以下の100個ですから、そこから一の位を四捨五入すると500になる10個の整数を取り除きます。
100個-10個=90個
答え 90個
(3)
十の位を四捨五入すると500になる100個の整数の和は、
(450+549)×100÷2=49950
です。
ここから(1)で求めた和を引きます。
49950-4995=44955
答え 44955
本問は概数の範囲の基本が確認できる問題です。
求める数が整数のときは、範囲を「~以上 ~以下」で表せることに注意しましょう。
2問目は分数の問題です。
【問題】2桁の整数を分母とする1以下の既約分数を、小さい順に並べます。既約分数とは、それ以上約分できない分数のことです。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)1番目、2番目の分数はそれぞれ何ですか。
(2)最後の分数は何ですか。
(3)分子に初めて2が現れるとき、その分数は何ですか。また、それは何番目ですか。
(4)3/95は何番目ですか。
(立教女学院中学校 2023年 問題2)
【考え方】
(1)
小さい順に並べますから、分母が大きい分数から並びます。
答え 1番目 1/99、 2番目 1/98
(2)
足すと1になる2つの分数のうち、一方が既約分数であれば、他方も既約分数です。
最も小さい既約分数が1/99なので、最も大きい既約分数は98/99です。
答え 98/99
(3)
分子が2である最も小さい分数は2/99です。
ですから、一番小さい分数1/99と2/99の間にある分数の分子は1です。
よって、次のように表すことができます。
□は50以上98以下なので、□にあてはまる整数は49個あります。
1番目+49個+1個=51番目
答え 2/99、 51番目
(4)
はじめに、1/99より大きく3/95より小さい分子が1の分数の個数を、(3)と同じようにして求めます。
□は32以上98以下なので、□にあてはまる整数は67個あります。
次に、2/99より大きく3/95より小さい分子が2の既約分数の個数を求めます。
□は64以上98以下なので、□にあてはまる2の倍数以外の整数(奇数)は17個あります。
最後に、3/99より大きく3/95より小さい分子が3の既約分数の個数を求めます。
□は96以上98以下なので、□にあてはまる整数は97と98の2個があります。
よって、3/95は
88個+1個=89番目
の分数です。
答え 89番目
本問は、分数の大きさや大小関係の考え方が確認できる問題です。
(1)が(3)の、(3)が(4)のヒントになっていますが、(4)は難しいので(3)までの正解を目指したい問題です。
3問目と4問目は大問形式ではありませんが、「分数つながり」ということで見ておこうと思います。
【問題】分子が102で、約分すると整数になる分数があります。この数が10に最も近くなるのは分母が( )のときです。( )にあてはまる数を求めなさい。
(大妻中学校 2023年 問題1-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
「約分すると整数になる分数」は、分子が分母の約数です。
102=2×3×17
なので、102の約数は
1、2、3、6、17、34、51、102
の8個です。
102/□が10に近いので、□は
102÷10=10.2
に近い約数です。
102÷6=17
102÷17=6
よって、102/□が10に最も近くなるのは□=17のときです。
答え 17
【問題】32個の分数
の中で約分できないものは何個ありますか。
(淑徳与野中学校 2023年 問題1-(3))
【考え方】
144=2×2×2×2×3×3
ですから、分子が2の倍数または3の倍数の分数は約分できます。
111÷2=55あまり1
143÷2=71あまり1
71個-55個=16個 … 2の倍数
111÷3=37
143÷3=47あまり2
47個-37個=10個 … 3の倍数
111÷6=18あまり3
143÷6=23あまり5
23個-18個=5個 … 6の倍数
16個+10個-5個=21個 … 約分できる分数
ですから、約分できない分数の個数は
(143個-111個)-21個=11個
です。
こたえ 11個
これらの2問は、「約分すると整数になる分数は、分子が分母の約数」と「約分できる分数は、分子が分母を素因数分解したときの素数の倍数」の区別が確認できる問題です。
問題文は似ていますが、考え方は異なる点に注意して解けたかをチェックしておきましょう。
今回は、2023年度の女子中で出された「数と計算」の大問を中心にご紹介しました。
答えがすこしだけズレてまちがえたときは、「以上」、「以下」の使い方、「数」と「整数」のちがい、個数の数え方、式やベン図に整理しているかなどを確認しましょう。