第633回 女子中の入試問題 数と計算 1
「第633回 女子中の入試問題 数と計算 1」
今回から、2023年度に女子中で出された入試問題を取り扱っていきます。
1回目は「数と計算」の中から、「計算の工夫」と「数と計算の一行問題」について見ていきます。
1問目は工夫のできる計算問題です。
【問題】17×5.7-29×1.7+9.2×17 を計算しなさい。
(普連土学園中学校 2023年 問題1-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
17が1.7の10倍であることを利用します。
17×5.7
=1.7×10×5.7
=1.7×57
9.2×17
=9.2×10×1.7
=92×1.7
ですから問題の計算式は
17×5.7-29×1.7+9.2×17
=1.7×57-29×1.7+92×1.7
のように変形できます。
分配のきまりを利用します。
1.7×57-29×1.7+92×1.7
=1.7×(57-29+92)
=1.7×120
=204
答え 204
本問は、数を分解して分配のきまりを使うことが確認できる問題です。
そのまま計算をしてもよいですが、工夫ができる計算問題ではできるだけ工夫をしてみましょう。
2問目も工夫をする計算問題です。
【問題】
を計算しなさい。
(立教女学院中学校 2023年 問題1-(3) 問題文一部変更)
【考え方】
11=11×1
と考えると、
11×11+11
=11×11+11×1
=11×(11+1)
=11×12
のように変形できます。
ですから
となります。
残りの分数も同じように変形します。
はじめに
を計算します。
このとき、分母をかけ算の式で表しておくことがポイントです。
次に
111111=11×111×91
であることを利用します。
答え 3033/37037
本問も分配のきまりと数の分解を利用する問題です。
通分をするときにかけ算の式で表すと計算が楽になる点がこの問題のポイントです。
3問目は□が2つ以上ある計算問題です。
【問題】次の□にあてはまる数を求めなさい。ただし、4つの□には同じ整数が入ります。
□×□+□+□=575
(学習院女子中等科 2023年 問題1-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
前問で「11=11×1」としたように、ここでも「□=□×1」として考えます。
□×□+□+□
=□×□+□×1+□+1
=□×(□+1+1)
=□×(□+2)
□と(□+2)の積が575ですから、□と(□+2)は575の約数です。
575を素因数分解すると
575=5×5×23
より、
□×(□+2)=23×25
とわかります。
答え 23
本問も分配のきまりを利用する問題です。
計算問題の中にはこれらの3問のように分配のきまりを利用すると解きやすくなる問題があります。
計算問題に取り組むときはこのことを頭に置いておくとよいですね。
4問目は分数の問題です。
【問題】次の□に当てはまる整数をすべて答えなさい。
(浦和明の星女子中学校 2023年 問題1-(4))
【考え方】
分数の大小比べの問題は、分母または分子を同じにすることが解き方の基本です。
ここでは分子を7にそろえて解いていきます。
よって、□は11以上12以下の整数です。
答え 11、12
本問は分数の大小比べの基本問題です。
なお、分子を7でそろえるほかに、32、7、2の最小公倍数の224にそろえる解き方もあります。
よって、□×32は337以上412以下です。
337÷32=10.5… → 11以上
412÷32=12.875 → 12以下
5問目と6問目は約数の問題です。
【問題】約数を3個もつ整数のうち、4番目に小さい数を求めなさい。
(香蘭女学校中等科 2023年 問題1-⑩ 問題文一部変更)
【考え方】
約数を3個もつ整数は□×□(□は同じ素数)で表される数です。
素数は小さい方から順に2、3、5、7、…ですから、4番目に小さい□×□は
7×7=49
です。
答え 49
【問題】2けたの整数のうち、約数の個数が奇数個となるような整数は全部で何個ありますか。
(品川女子学院中等部 2023年 問題2-7 問題文一部変更)
【考え方】
約数を奇数個持つ整数は□×□(□は同じ整数)で表される数です。
問われているのは2けたの整数ですから、
4×4=16
から
9×9=81
までの6個です。
答え 6個
5問目と6問目は約数の個数に関する知識を確認できる問題です。
「数と計算」の問題にはこのような知識を必要とする問題がありますので、学習をしたときに正確に覚えるようにましょう。
今回は、2023年度の女子中の入試で出された「数と計算」の問題の中から、工夫ができる計算問題と一行問題をご紹介しました。
2問目の計算問題は工夫の仕方が難しいのですが、工夫をせずに計算をしても正解できますから、今回見てきた問題はどれも正解しておきたい問題です。
もし、正解できない問題があれば課題をチェックしてできるだけ早期に改善をしておきましょう。