第630回 共学中の入試問題 立体図形 6
「第630回 共学中の入試問題 立体図形 6」
前回は近年の共学中入試で出された「水問題」の中から基本レベルの問題を見ました。
今回は応用レベルの「水問題」について考えていきます。
1問目は「水とグラフ」の問題です。
【問題】図4のような直方体の容器があります。この容器には、左側の側面から12㎝の位置に、側面と平行に長方形のしきりがついています。この容器のしきりの右側には直方体のおもりが置いてあります。この容器のしきりの右側に、蛇口から一定の割合で水を入れます。図5は、水を入れ始めてからの時間(分)と容器の底から測った最も高い水面までの高さ(㎝)の関係をグラフにしたものです。ただし、容器やしきりの厚さは考えないものとします。
(1)図5のア、イにあてはまる数をそれぞれ求めなさい。
(2)蛇口から出ている水の量は毎分何㎤ですか。
(3)図4のウにあてはまる数を求めなさい。
(4)図5のエにあてはまる数を求めなさい。
(成蹊中学校 2022年 問題5)
【考え方】
(1)
水面がおもりの高さを超えるとき、しきりの高さを超えるときに、グラフが曲がります。
答え ア 14、 イ 6
(2)
容器を正面から見た図に、グラフからわかることを書き込みます。
Cの部分に着目します。
水はA→B→C→Dの順に入りますので、Cの部分にかかる時間は
24.4分-13.9分=10.5分間
です。
12㎝×14㎝×20㎝÷10.5分間=320㎤/分
答え 毎分320㎤
(3)
Dの部分に着目します。
容器の横の長さを□㎝とします。
Dの部分にかかる時間は
36.4分-24.4分=12分間
ですから
□㎝×(20㎝-14㎝)×20㎝=320㎤/分×12分間
□=320×12÷20÷6=32(㎝)
です。
32㎝-12㎝=20㎝ → ウ=20
答え 20
(4)
Aの部分、Bの部分、おもりの体積の3つの和に着目します。
20㎝×14㎝×20㎝=320㎤/分×13.9分+おもりの体積
20㎝×14㎝×20㎝-320㎤/分×13.9分=1152㎤ … おもりの体積
Aの部分、おもりの体積の2つの和に着目します。
20㎝×6㎝×20㎝=320㎤/分×エ 分+1152㎤
(20㎝×6㎝×20㎝-1152㎤)÷320㎤/分=3.9分 → エ=3.9
答え 3.9
本問は「水のグラフ」の応用問題です。
(1)~(3)までは基本レベルですので、もし、まちがえたときは前回の問題などで復習をしましょう。
(4)は「容積(縦×横×高さ)=給水量×時間」を応用する問題です。
おもりの辺の長さを求めなくてもよいことが、正解のキーとなっています。
なお、
320㎤/分÷20㎝=16㎠/分
のようにして、容器の奥行きの20㎝やおもりの縦の長さを考えなくてもよいようにすると、次のような面積図からつるかめ算として解くこともできます。
(16㎠/分×13.9分-8㎝×20㎝)÷6㎝=10.4㎝ … ★㎝
(10.4㎝×6㎝)÷16㎠/分=3.9分
2問目は容器を傾ける問題です。
【問題】図のような2つの立方体を組み合わせた容器に水を入れて密閉します。容器を傾けると4点A、B、C、Dは水面にありました。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、容器の厚みは考えないものとします。
(1)この容器に入れた水の量は何㎤ですか。
(2)面EFGHが地面に接するように容器の向きを変えたとき、水面は地面から何㎝の高さになりますか。
(中央大学附属中学校 2022年 問題4)
【考え方】
(1)
傾けた容器を正面から見た図を、水面と地面が平行になるようにかきます。
三角形アと三角形AIDは相似で、相似比は
4㎝:(4㎝+6㎝)=2:5
です。
(6㎝-1㎝)×2/5=2(㎝) … ★(㎝)
容器の水は次の見取り図のように、三角柱と四角柱に分けられます。
4㎝×2㎝÷2×4㎝=16㎤ … 三角柱の体積
(3㎝+6㎝)×6㎝÷2×6㎝=162㎤ … 四角柱の体積
16㎤+162㎤=178㎤
答え 178㎤
(2)
傾けた容器を正面から見た図を、水面と地面が平行になるようにかきます。
容器の水は次の見取り図のように、四角柱(水色)と四角柱(赤色)に分けられます。
6㎝×6㎝×1㎝=36㎤ … 四角柱(赤色)の赤線より下の部分の体積
178㎤-36㎤=142㎤ … 残りの水の体積
残りの水は2つの正方形を底面とする八角柱です。
142㎤÷(4㎝×4㎝+6㎝×6㎝)=2 19/26㎝ … 八角柱の高さ
ですから、水面は地面より
1㎝+2 19/26㎝=3 19/26㎝
の高さのところにあります。
答え 3 19/26㎝
本問は応用レベルの容器を傾ける水問題です。
「見取り図で求める立体の形を明確にし、投影図で正確な長さを求られる」ことが求められています。
不正解のときは基本レベルに戻って、図のかき方や使い方を確認しましょう。
今回は、近年の共学中の入試で出された「水問題」から応用レベルの問題をご紹介しました。
立体図形の問題も応用レベルになると差がつきやすいのですが、正解できる問題が増えるよう、問われていることに応じた図のかき方などをマスターできるといいですね、