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第630回 共学中の入試問題 立体図形 6

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図形の練習問題 2023年08月05日18時00分

「第630回 共学中の入試問題 立体図形 6」

前回は近年の共学中入試で出された「水問題」の中から基本レベルの問題を見ました。

今回は応用レベルの「水問題」について考えていきます。

 

1問目は「水とグラフ」の問題です。

 

【問題】図4のような直方体の容器があります。この容器には、左側の側面から12㎝の位置に、側面と平行に長方形のしきりがついています。この容器のしきりの右側には直方体のおもりが置いてあります。この容器のしきりの右側に、蛇口から一定の割合で水を入れます。図5は、水を入れ始めてからの時間(分)と容器の底から測った最も高い水面までの高さ(㎝)の関係をグラフにしたものです。ただし、容器やしきりの厚さは考えないものとします。

(1)図5のア、イにあてはまる数をそれぞれ求めなさい。

(2)蛇口から出ている水の量は毎分何㎤ですか。

(3)図4のウにあてはまる数を求めなさい。

(4)図5のエにあてはまる数を求めなさい。

(成蹊中学校 2022年 問題5)

 

【考え方】

(1)

水面がおもりの高さを超えるとき、しきりの高さを超えるときに、グラフが曲がります。

答え ア 14、 イ 6

 

(2)

容器を正面から見た図に、グラフからわかることを書き込みます。

Cの部分に着目します。

水はA→B→C→Dの順に入りますので、Cの部分にかかる時間は

24.4分-13.9分=10.5分間

です。

12㎝×14㎝×20㎝÷10.5分間=320㎤/分

答え 毎分320㎤

 

(3)

Dの部分に着目します。

容器の横の長さを□㎝とします。

Dの部分にかかる時間は

36.4分-24.4分=12分間

ですから

□㎝×(20㎝-14㎝)×20㎝=320㎤/分×12分間

□=320×12÷20÷6=32(㎝)

です。

32㎝-12㎝=20㎝ → ウ=20

答え 20

 

(4)

Aの部分、Bの部分、おもりの体積の3つの和に着目します。

20㎝×14㎝×20㎝=320㎤/分×13.9分+おもりの体積

20㎝×14㎝×20㎝-320㎤/分×13.9分=1152㎤ … おもりの体積

 

Aの部分、おもりの体積の2つの和に着目します。

20㎝×6㎝×20㎝=320㎤/分×エ 分+1152㎤

(20㎝×6㎝×20㎝-1152㎤)÷320㎤/分=3.9分 → エ=3.9

答え 3.9

 

本問は「水のグラフ」の応用問題です。

(1)~(3)までは基本レベルですので、もし、まちがえたときは前回の問題などで復習をしましょう。

(4)は「容積(縦×横×高さ)=給水量×時間」を応用する問題です。

おもりの辺の長さを求めなくてもよいことが、正解のキーとなっています。

 

なお、

320㎤/分÷20㎝=16㎠/分

のようにして、容器の奥行きの20㎝やおもりの縦の長さを考えなくてもよいようにすると、次のような面積図からつるかめ算として解くこともできます。

(16㎠/分×13.9分-8㎝×20㎝)÷6㎝=10.4㎝ … ★㎝

(10.4㎝×6㎝)÷16㎠/分=3.9分

 

2問目は容器を傾ける問題です。

 

【問題】図のような2つの立方体を組み合わせた容器に水を入れて密閉します。容器を傾けると4点A、B、C、Dは水面にありました。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、容器の厚みは考えないものとします。

(1)この容器に入れた水の量は何㎤ですか。

(2)面EFGHが地面に接するように容器の向きを変えたとき、水面は地面から何㎝の高さになりますか。

(中央大学附属中学校 2022年 問題4)

 

【考え方】

(1)

傾けた容器を正面から見た図を、水面と地面が平行になるようにかきます。

三角形アと三角形AIDは相似で、相似比は

4㎝:(4㎝+6㎝)=2:5

です。

(6㎝-1㎝)×2/5=2(㎝) … ★(㎝)

 

容器の水は次の見取り図のように、三角柱と四角柱に分けられます。

4㎝×2㎝÷2×4㎝=16㎤ … 三角柱の体積

(3㎝+6㎝)×6㎝÷2×6㎝=162㎤ … 四角柱の体積

16㎤+162㎤=178㎤

答え 178㎤

 

(2)

傾けた容器を正面から見た図を、水面と地面が平行になるようにかきます。

 

容器の水は次の見取り図のように、四角柱(水色)と四角柱(赤色)に分けられます。

6㎝×6㎝×1㎝=36㎤ … 四角柱(赤色)の赤線より下の部分の体積

178㎤-36㎤=142㎤ … 残りの水の体積

 

残りの水は2つの正方形を底面とする八角柱です。

142㎤÷(4㎝×4㎝+6㎝×6㎝)=2 19/26㎝ … 八角柱の高さ

 

ですから、水面は地面より

1㎝+2 19/26㎝=3 19/26㎝

の高さのところにあります。

答え 3 19/26㎝

 

本問は応用レベルの容器を傾ける水問題です。

「見取り図で求める立体の形を明確にし、投影図で正確な長さを求られる」ことが求められています。

不正解のときは基本レベルに戻って、図のかき方や使い方を確認しましょう。

 

今回は、近年の共学中の入試で出された「水問題」から応用レベルの問題をご紹介しました。

立体図形の問題も応用レベルになると差がつきやすいのですが、正解できる問題が増えるよう、問われていることに応じた図のかき方などをマスターできるといいですね、

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年08月05日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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