第628回 共学中の入試問題 立体図形 4
「第628回 共学中の入試問題 立体図形 4」
前回に引き続き、近年の共学中入試で出された「立体図形」の中から「立体図形の切断」について見ていきます。
早速、問題を見ていきましょう。
【問題】下の図は、すべての辺の長さが5㎝の三角柱です。この三角柱を3点A、E、Fを通る平面で切断し、2つの立体に分けるとき、点Cを含む立体の表面積と点Dを含む立体の表面積の差を求めなさい。
(芝浦工業大学附属中学校 2023年 問題2-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
見取り図のまま考えても構いませんが、ここでは展開図を利用してみます。
展開図をかくときは、頂点の記号も書きます。
記号に注意して切断線(赤線)をかき込みます。
5㎝×5㎝+5㎝×5㎝÷2×2+★㎠ … 点Cを含む立体の表面積(白色部分)
5㎝×5㎝÷2×2+★㎠ … 点Dを含む立体の表面積(赤色部分)
よって、差は
5㎝×5㎝=25㎠
です。
答え 25㎠
本問は、立体図形の表面積の基本が確認できる問題です。
立体図形の問題で、立体のイメージを浮かべやすくするときは見取り図、辺などの正確な長さを求めるときは展開図や投影図を使い分けるとよいでしょう。
では2問目です。
【問題】1辺が6㎝である立方体の上に、1辺が3㎝である立方体を図のように角をそろえてくっつけた立体を考えます。この立体を3点B、C、Dを通るような平面で切断しました。点Aを含む方の立体の体積を求めなさい。
(昭和学院秀英中学校 2023年 問題2-(3) 問題文一部変更)
【考え方】
切断の3原則を使って、切断面を作図します。
はじめに、「切断の原則 ① 同じ面の2点を結ぶ」を利用します。
次に、「切断の原則 ② 平行に向かい合う面の切り口は平行」を利用します。
もう一度、「切断の原則 ② 平行に向かい合う面の切り口は平行」を利用します。
最後に、「切断の原則 ① 同じ面の2点を結ぶ」を利用します。
図より、求める立体の体積は2つの立方体の体積から2つの三角すいの体積を引けばよいことがわかります。
3㎝×3㎝×3㎝+6㎝×6㎝×6㎝=243㎤ … 2つの立方体の体積の和
3㎝×3㎝÷2×3㎝÷3+6㎝×6㎝÷2×6㎝÷3=40.5㎤ … 2つの三角すいの体積の和
243㎤-40.5㎤=202.5㎤
答え 202.5㎤
本問は、「積み木の切断」の作図方法が確認できる問題です。
もし正解できなかったときは、切断の3原則に従った作図ができたかを調べてみましょう。
なお、立方体と切断した三角すいの体積比が6:1の関係になっていることを利用して求めてもOKです。
最後は少し難しい問題です。
【問題】下の図のように、1辺が6㎝の立方体を3つ重ねた立体があります。次の問いに答えなさい。
(1)3つの頂点A、B、Cを通る平面でこの立体を切断したとき、切断面の切り口を解答らんにある図(問題と同じ見取り図)にかき込みなさい。ただし、頂点以外を通る線の位置は正確でなくても構いません。
(2)(1)で切断してできる立体のうち、体積が大きい方の立体の体積を求めなさい。答えに至るまでの考え方なども記述しなさい。
(広尾学園中学校 2022年 問題5 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
立方体を1つ付けたして、大きなにして直方体おくと作図がしやすくなります。
「切断の原則 ① 同じ面の2点を結ぶ」を利用します。
ABをB側に延長すると「切断の原則 ① 同じ面の2点を結ぶ」が利用できます。
さらに、「切断の原則 ① 同じ面の2点を結ぶ」を利用します。
「切断の原則 ② 平行に向かい合う面の切り口は平行」を利用します。
「切断の原則 ① 同じ面の2点を結ぶ」を利用します。
答え 解説の最後の図
(2)
切断面の奥側の立体を左右2つの立体に分けて考えます。
赤色の立体も青色の立体も断頭四角柱です。
(1)の作図で用いた補助線を利用します。
底面の相似形より、ア=2㎝、イ=4㎝とわかります。
(2㎝+2㎝)÷2=2㎝ … 平均の高さ(赤色)
(0㎝+6㎝)÷2=3㎝ … 平均の高さ(青色)
36㎠×2㎝+72㎠×3㎝=288㎤ … 切断面の奥側の立体
3つの立方体の体積の合計は
6㎝×6㎝×6㎝×3=648㎤
ですから、切断面の奥側の立体は体積が小さい方の立体です。
648㎤-288㎤=360㎤
答え 360㎤
本問も、「積み木の切断」の考え方が確認できる問題です。
切断の3原則や切断された立体の体積の求め方を上手く使うことができたかチェックしてみましょう。
なお、(2)は三角すいを利用して体積を求めてもOKです。
今回は、2023年度と2022年度に共学中の入試で出された「立体図形の切断」の問題をご紹介しました。
3問目はやや難しいのですが、1問目と2問目はこの範囲を習い終えていたら正解したい問題です。
まちがえてしまったときは、展開図の利用や切断の3原則の復習をしていきましょう。