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第625回 共学中の入試問題 立体図形 1

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図形の練習問題 2023年07月01日18時00分

「第625回 共学中の入試問題 立体図形 1」

前回まで、2022年度と2023年度の共学中入試で出された「平面図形」の問題を見てきました。

今回からは「立体図形」の問題を取り扱っていきます。

1回目の今回のテーマは「立体図形の表し方」です。

 

1問目は、「積み木の表面積」に関する問題です。

 

【問題】同じ大きさの立方体が右の図のように上から1個、3個、6個…を積み重なっています。表面を全て赤色でぬったとき、1つの面だけが赤くぬられている立方体は何個ありますか。

(明治大学付属中野八王子中学校 2022年 問題2-(6))

 

【考え方】

「積み木の表面積」の問題を解くときの基本は、

・投影図の利用する

・スライス解法の利用する

の2つです。

 

本問は「1つの面だけが赤色の立方体」だけについて考えますので、6段に積まれた「積み木」を水平に切り分けるスライス解法を用います。

 

上から1段目は、図の青色の正方形の面が2段目の立方体と接していますので、赤色の面は5つあります。

このことを次のように表します。

 

上から2段目は、図の青色の正方形の面が上下の段の立方体や同じ2段目の立方体と接しています。

よって、赤色の面はの数は次のように表せます。

 

3段目以降も同様に表します。

 

6段目は下の面も赤色にぬられているので、赤色の面が1つだけぬられている立方体は図の6個です。

 

0個+0個+2個+4個+6個+6個=18個

答え 18個

 

本問は、積み木の表面積の求め方が確認できる問題です。

もし、まちがえてしまったときは、1段ずつ正しく調べることができたかをチェックしましょう。

 

2問目は、円すいと最短距離に関する問題です。

 

【問題】底面が半径2㎝の円で、母線の長さが6㎝である円錐があります。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)この円錐の展開図を、コンパスと定規を用いて作図しなさい。ただし、[解答らん]のXYの長さを2㎝とします。

(2)図のように、底面の円周上に点Aをとり、Aから再びAに戻るように最短距離でひもをかけました。このとき、ひもの長さを求めなさい。ただし、1辺の長さが2㎝の正三角形の高さは1.73㎝とします。

(3)図のように、底面の円周上に2点A、Bを、ABが底面の直径となるようにとり、Aから再びAに戻るように、Bから再びBに戻るように最短距離でひもをかけました。このとき、図の斜線部分の面積を求めなさい。ただし、高さが1㎝の正三角形の面積を0.58㎠とします。

(市川中学校 2023年 問題4)

 

【考え方】

(1)

はじめに、半径2㎝の円をかき、円の中心Oから直線を引きます。

次に、直線に半径が2㎝の円の一部をかいて2㎝を6回区切ります。

 

ここで、円すいの公式

を利用すると、

2㎝/6㎝=中心角/360度 → 中心角=120度

が求められます。

 

そこで、A、Pを中心にそれぞれ半径6㎝の円の一部を直線の上側にかくと(交点をCとします)三角形APCは正三角形になりますので、角BPCを120度にすることができます。

 

最後に、Pを中心に半径6㎝のおうぎ形をかきます。

答え (上の図)

 

(2)

「立体図形の表面を通るときの最短距離=展開図にかいた直線の長さ」です。

(1)の図を利用します。

(記号は(2)用に書き直しています。)

 

上の図の三角形PADは、(1)より1辺の長さが6㎝の正三角形とわかっています。

 

問題の条件「1辺の長さが2㎝の正三角形の高さは1.73㎝」より、

1.73㎝×6㎝/2㎝=5.19㎝

が 正三角形PADの高さAHとわかります。

 

三角形PAAは二等辺三角形、角APDはその三角形の外角です。

60度÷2=30度 … 二等辺三角形の底角A

 

ですから、三角形AAHは30度、60度、90度の直角三角形とわかりますので、ひもAAの長さはAHの2倍です。

5.19㎝×2=10.38㎝

答え 10.38㎝

 

(3)

Bは弧AAの真ん中(角APB=60度)にありますから、円すいの側面を2つ分にした展開図をかき、そこに2本のひもを書き入れると次のようになります。

 

斜線部分の面積は、おうぎ形の面積から2つの合同な二等辺三角形(底角=30度)の面積を引いて求められます。

 

底角が30度の二等辺三角形を半分に切って移動させると、高さが3㎝の正三角形に等積変形することができます。

相似比 1㎝:3㎝=1:3 → 面積比 1:9

0.58㎠×9=5.22㎠ … の面積

6㎝×6㎝×3.14×60度/360度-5.22㎠×2=8.4㎠

答え 8.4㎠

 

本問の(1)は円すいの公式の使い方と分度器を使わずに120度が作図できるか、(2)は最短距離の基本が身についてるか、(3)の作図は「ひもを2周りさせるときは、側面も2つかく」の考え方を応用できるかが確認できる問題です。

(3)はやや難しい問題ですが、(1)と(2)はそれよりも基本レベルに近い問題ですから、正解できなかったときはどこでまちがえたかをチェックしておきましょう。

 

今回は、近年の共学中入試で出された「立体図形の表し方」がテーマの問題をご紹介しました。

立体図形を見取り図、展開図、投影図で表すことや、立体の見えない部分をスライス解法で視覚化することは大切な解法です。

「自分の手で正確にかける、使える」ができるように、練習をしていきましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年07月01日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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