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第624回 共学中の入試問題 平面図形 6

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図形の練習問題 2023年06月24日18時00分

「第624回 共学中の入試問題 平面図形 6」

近年の共学中入試で出された「平面図形」について考えています。

今回も前回に引き続き、「移動」に関する問題を取り上げていきます。

 

1問目は「回転移動」の問題です。

 

【問題】図のように三角形ABCを点Bを中心として一回転させたとき、辺ACが通過した部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

(帝京大学中学校 2022年 問題2-(6))

 

【考え方】

回転移動は、回転の中心から最も遠い点と最も近い点の動きに着目して作図します。

回転の中心Bから最も遠い点Aと最も近い点Cを1回転させます。

辺ACが通過した部分は、図の斜線部分です。

8㎝×8㎝×3.14-5㎝×5㎝×3.14=122.46㎠

答え 122.46㎠

 

本問は、回転移動の基本が確認できる問題です。

 

2問目は「2点の移動」の問題です。

 

【問題】図のような長方形ABCDがあります。2つの点P、Qは、それぞれ同時に点A、Bを出発し、点Pは秒速3㎝の速さでAD間を、点Qは秒速2㎝の速さでBC間を何度も往復します。図のようにPとQをまっすぐ結んだ線の長さについて、以下の問いに答えなさい。

(1)出発してから5秒後までで、PQの長さが最も長くなるのは何秒後ですか。

(2)出発してから6秒後までで、PQの長さが最も短くなるのは何秒後ですか。すべて答えなさい。

(3)出発してから6秒後までで、PQの長さが増加しているのは合計で何秒間ですか。

(神奈川大学附属中学校 2023年 問題5)

 

【考え方】

(1)

点Pは 6㎝÷3㎝/秒=2秒ごと にAまたはDと、

点Qは 6㎝÷2㎝/秒=3秒ごと にBまたはCと重なります。

そこで、2秒後、3秒後、4秒後、6秒後(2秒と3秒の最小公倍数=1周期)と、問題の条件にある5秒後の様子を図に表します。

図より、5秒後まででPQの長さが最も長くなるのは4秒後とわかります。

答え 4秒後

 

(2)

PQの長さが最も短くなるのは、PQがAB(CD)と平行になるときです。

ここでQのシャドーQ’がAD上を秒速2㎝でAから出発していたと仮定すると、PQがABと平行になったとき、PとQ’は重なっています。

PとQ’の動きをグラフに整理します。

2つのグラフが交わる点に着目します。

1回目 … 赤色三角形

相似比 (3-2):4=1:4

3秒×4/(1+4)=2.4秒後

 

2回目… 水色三角形

相似比 (6-3):(6-4)=3:2

4秒+2秒×2/(2+3)=4.8秒後

答え 2.4秒後と4.8秒後

 

(3)

(2)のグラフを利用します。

PとQ’の距離が増加しているのは、

0秒後から2秒後、

2.4秒後(1回目の出会い)から4秒後、

4.8秒後(2回目の出会い)から6秒後

の3か所です。

2秒間+1.6秒間+1.2秒間=4.8秒間

答え 4.8秒間

 

本問は、2点の動きの調べ方が確認できる問題です。

(2)はPとQの動きに着目した図をかいてもよいと思いますが、(3)まで含めて考えると、シャドーとグラフを併用した方が考えやすいでしょう。

 

最後も「2点の移動」の問題です。

 

【問題】下の図形は2つの合同な長方形をつなげたものです。点P、点Qはそれぞれ点A、点Cを同時に出発し、辺AB、辺CD上を往復します。点Pの速さを毎秒3㎝、点Qの速さを毎秒2㎝とするとき、点Pと点Qを結んだ直線が、この図形の対称の中心を最初に通るのは、点Pが動き始めてから何秒後ですか。また、1分間以内に何回ありますか。

(青山学院中等部 2022年 問題9 問題文一部変更)

 

【考え方】

対称の中心をOとします。

点Oは次の図のような位置にあります。

また、直線PQと直線EFが交わる点をR(2点P、Qの「真ん中シャドー」)とすると、はじめRはOと重なる位置にあります。

点Pや点Qが図形の頂点にあるときのRの位置を調べます。

調べたRの位置をOからの距離のグラフに整理します。

グラフより、Rは10秒後から15秒後までの5秒間に

5㎝+7.5㎝=12.5㎝

動いていますから、その速さは

12.5㎝÷5秒=2.5㎝/秒

です。

よって、1回目は

10秒+5㎝÷2.5㎝/秒=12秒後

とわかります。

また、0秒後と30秒後の図から、「30秒後から60秒後までのグラフ」は「0秒後から30秒後までのグラフ」と線対称になることがわかります。

ですから、Rは点Oと1分間以内(5回目はちょうど1分後)に

2回+2回+1回=5回

重なります。

答え 12秒後、5回

 

本問は、「真ん中シャドー(2点を結ぶ直線の中点)」の利用が確認できる問題です。

もし、シャドーが上手く使えないようでしたら、「2点の動きを調べるときは、それぞれの点が図形の頂点にあるときの図をかく」という原則に従って解いていくようにしましょう。

 

今回は近年の共学中入試で出された「移動」に関する問題を、前回に引き続きご紹介しました。

1問目の回転移動は定番の基本問題ですが、2,3問目の「点の移動」はやや難しい問題も含まれています。

正解できなかったときは、図が正確にかけているか、漏れはないかなどをチェック、また、グラフと組み合わせて解く方法が身についているかを確認してみましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年06月24日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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