小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 図形の練習問題  -> 第622回 共学中の入試問題 平面図形 4

第622回 共学中の入試問題 平面図形 4

このエントリーをはてなブックマークに追加
図形の練習問題 2023年06月10日18時00分

「第622回 共学中の入試問題 平面図形 4」

近年の共学中入試で出された「平面図形」の問題について考えています。

今回は大問形式の「辺の比と面積比」を中心に取り扱っていきます。

 

1問目は「相似完成」の一行問題です。

 

【問題】下の図の平行四辺形ABCDで、黒丸は各辺を3等分する点を表します。このとき、BG:GEをもっとも簡単な整数の比で表しなさい。

(國學院大學久我山中学校 2023年 問題2-(6))

 

【考え方】

BGとGEを辺とする相似な三角形を利用します。

そのために、「線を延長(「角出し」)」または「平行線」を補助線(青線)として相似な三角形を作ります。

今回は「角出し」を利用してみます。

「相似完成」では、正しい補助線を引くと2組の相似な三角形ができます。

図の赤色三角形の相似より、

AD:HC=DF:CF=2:1

ですから、

AD=BC=⑥とすると、HC=③です。

よって、図の青色三角形の相似比は、

BH:EA=(⑥+③):④=9:4

なので、

BG:EG=9:4

です。

答え 9:4

 

本問は相似完成の解き方が確認できる問題です。

上記以外にもBEとCDを延長する解き方やBCと平行でFを通る直線を補助線とする方法もあります。

習い終えていましたら、どれか1つの解き方が利用できるように合っているかをチェックしてみましょう。

 

では、2問目です。

 

【問題】身長150㎝のPさんが、高さ4.5mの街灯Aの真下から、高さ6mの街灯Bの真下に向かってまっすぐに歩いたところ、ちょうど14mだけ進んだ場所で、Pさんの前にできる影の長さと後ろにできる影の長さが等しくなりました。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)街灯Aの真下から街灯Bの真下までのきょりを求めなさい。

(2)Pさんの前にできる影の長さが後ろにできる影の長さのちょうど2倍になるのは、街灯Aの真下から何m進んだ場所ですか。

(法政大学中学校 2022年 問題4)

 

【考え方】

問題本文の条件を図に表します。

図をかくと、街灯Aによってできる相似な三角形と街灯Bによってできる相似な三角形があることがわかります。

Pさんの前後にできた影の長さは等しいので。これらの図をひとつにまとめると次のようになります。

図より、

②=14m → ①=7m

AB間のきょり=①+①+①+②=⑤=35m

答え 35m

 

(2)

問題の条件を図に表します。

このとき、街灯Aの高さ、街灯Bの高さ、Pさんの身長は変わりませんから、距離の比は(1)のときと同じであることが利用できます。

図より、

CD=②×3-②-①=③

FG=①×4-①-②=①

CG=③+①+②+①=⑦=35m

とわかります。

①=35m÷7=5m

CE=③+①=④=20m

答え 20m

 

本問は、影の問題の解き方が確認できる問題です。

2つの街灯の影の問題としては基本レベルですので、もし正解できなかったときは図と長さの比が正しく書けているかをチェックしましょう。

 

最後にもう1問見ていきます。

 

【問題】下の図のような辺ADと辺BCが平行である台形ABCDがあります。点Eは辺AB上の点、点Fは辺CD上の点、点Hは辺BC上の点で、DF=4㎝、CF=1㎝、BH=2㎝、CH=4㎝で、ABとDHは平行です。また、点GはEFとDHが交わる点です。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)三角形DHFの面積と台形ABCDの面積の比を最も簡単な整数の比で求めなさい。

(2)EG:GFを最も簡単な整数の比で求めなさい。

(東邦大学付属東邦中学校 2022年 問題3)

 

【考え方】

(1)

小問に関係のある部分だけの図にします。

図より、等高図形の面積比の問題とわかります。

台形ABCDの面積を上底と下底の長さの和から⑧とします。

台形ABCDと三角形DHCは高さが同じですから、面積比は(上底+下底)の比と同じです。

上底+下底 台形ABCD:三角形DHC=8㎝:4㎝=2:1

面積比 台形ABCD:三角形DHC=2:1=⑧:④

三角形DHFと三角形CHFも高さが同じ三角形ですから、面積比は4:1です。

三角形DHFの面積:台形ABCDの面積=④×4/5:⑧=2:5

答え 2:5

 

(2)

三角形DHEと三角形DHFは底辺DHが共通ですから、

三角形DHEの面積:三角形DHFの面積=EG:GF

となることを利用します。

四角形ABHDは面積が④の平行四辺形ですから、三角形DHEの面積はその半分の②です。

三角形DHEの面積:三角形DHFの面積=②:④×4/5=5:8

EG:GF=5:8

答え 5:8

 

本問は台形を区切ったときの面積比と等高図形の面積比の使い方が確認できる問題です。

点Eの位置は不明ですが、その位置に関係なく三角形DHEの面積が平行四辺形ABHDの半分となることに注意します。

(三角形DHAや三角形DHBに等積変形してもOKです。)

 

今回は近年に共学中入試で出された「辺の比と面積比」の大問形式の問題を中心にご紹介しました。

1問目と2問目は定番の問題ですから、もし間違えてしまったときはすぐに復習をすることが必要です。

3問目は(2)が少しむずかしいのですが、(1)が誘導になっていることに気づけたかを確認しておきましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加
図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年06月10日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.