第621回 共学中の入試問題 平面図形 3
「第621回 共学中の入試問題 平面図形 3」
前回は、近年の共学中入試で出された「平面図形」の中から「円の一行問題」を取り扱いました。
今回は「辺の比と面積比の一行問題」について考えていきます。
1問目は、等高三角形の定番問題です。
【問題】三角形ABCを下の図のように面積の等しい6つの三角形に分けました。ABの長さが24㎝のとき、DEの長さは何㎝ですか。
(法政大学中学校 2022年 問題2-(8) 問題文一部変更)
【考え方】
「イナズマ切り」ともいわれる、等高三角形の定番問題です。
等高三角形
高さが同じ三角形の面積比=底辺比
「イナズマ切り」は、小さい三角形から考える解き方と全体から考える解き方の2つがあります。
今回は小さい三角形から見ていく解法を使ってみます。
図より、各辺の長さの比は次のように整理できます。
DE=24㎝×15/48=7.5㎝
答え 7.5㎝
本問は等高三角形の考え方が確認できる問題です。
2問目は、隣辺比の基本問題です。
【問題】図のように3辺の長さがAB=9㎝、BC=10㎝、CA=7㎝の三角形があります。辺BC上に点Dがあり、BD=3㎝とします。辺CA上に点Pがあり、2点D、P、を通る直線が三角形ABCを2等分します。このとき、CPの長さは何㎝ですか。
(昭和学院秀英中学校 2023年 問題2-(1) 問題文一部変更)
【考え方】
1つの角を共有する2つの三角形の面積比は、その角をはさむ2辺の長さの積に等しいことを利用する問題です。
面積比 △ABC:△PDC=2:1
↓
辺の比(積)(AC×BC):(PC×DC)=2:1
(7㎝×10㎝):(□㎝×7㎝)=2:1
□=5(㎝)
答え 5㎝
本問は隣辺比の基本が確認できる問題です。
3問目は、相似の基本問題です。
【問題】下の三角形ABCでEF、DGは辺ACに平行です。BF:FG:GC=3:5:2で、斜線部分の面積が110㎠のとき、三角形ABCの面積を求めなさい。
(明治大学付属中野八王子中学校 2022年 問題2-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
三角形ABCと三角形DBGと三角形EBFは相似で、相似比は
BC:BG:BF=10:8:3
です。
(面積比)=(相似比)×(相似比)なので、三角形ABCと三角形DBGと三角形EBFの面積比は
(10×10):(8×8):(3×3)=100:64:9
です。
よって、
(三角形ABCの面積):(斜線部分の面積)=100:(64-9)=20:11
です。
110㎠×20/11=200㎠
答え 200㎠
本問は三角形の相似の基本が確認できる問題です。
今回最後の問題は、相似の応用問題です。
【問題】下の図のような面積が120㎠の平行四辺形ABCDがあります。対角線BDを3等分する点をE、Fとし、直線AE、AFを延長した直線が辺BC、CDと交わる点をそれぞれG、Hとします。五角形EGCHFの面積を求めなさい。
(広尾学園中学校 2022年 問題1-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
「ダブル・チョウチョ」といわれることのある2組の相似を利用する、これも定番の問題です。
点E、Fが対角線BDを3等分していますので、辺の比と面積比は次のようになります。
三角形ABDの面積に着目すると、
②+④=4□+2□
となっていますので、
①=1□
とわかります。
よって、平行四辺形ABCDの面積は次のように区切られていることになります。
②×3=120㎠÷2
①=10㎠
120㎠-10㎠×(2×3+1×2)=40㎠
答え 40㎠
本問は2組の相似な三角形と等高三角形を組み合わせて解く問題です。
「比合わせ」を必要としない問題ですから、もし正解できなかったときは「辺の比と面積比」の考え方がまちがっていないかをチェックしましょう。
なお、対角線ACを引いて平行四辺形ABCDを三角形ABCと三角形ADCに分けて解く方法もあります。
今回は、近年の共学中入試で出された「辺の比と面積比の一行問題」をご紹介しました。
いずれも定番の問題ですので、等高三角形、相似までの学習を終えているようでしたら、基本の解法がマスターできているかを、これらの問題で確かめてみましょう。
次回は、同じ「辺の比と面積比」の問題から、大問形式のものを取り扱っていく予定です。