第619回 共学中の入試問題 平面図形 1
「第619回 共学中の入試問題 平面図形 1」
今回から2022年度、2023年度に共学中入試で出された「平面図形」の問題を取り扱います。
その1回目は「角の大きさの一行問題」などを見ていきます。
では、1問目です。
【問題】図の三角形ABCで、ADは角Aを2等分する直線です。角Bと角Cの角度の比が5:2のとき、角xは何度ですか。
(中央大学附属中学校 2022年 問題1-(5))
【考え方】
角の問題は、角の5原則を利用して解くことが基本です。
「角の5原則」
① 三角形の内角に着目
② 三角形の外角に着目
③ 二等辺三角形に着目
④ 合同な三角形に着目
⑤ 復元
問題の条件は次のように表せます。
三角形ABDについて、「角の5原則 ① 内角に着目」が利用できます。
⑤+x+72度=180度
⑤+x=108度 … ア
また、三角形ACDについて、「角の5原則 ② 外角に着目」が利用できます。
②+x=72度 … イ
消去算です。
アとイの差に着目します。
⑤-②=108度-72度
①=12度
12度×2+x=72度
x=48度
答え 48度
本問は、「角の5原則」の使い方を確認できる問題です。
続いて、2問目です。
【問題】下の図で、同じ印をつけた角の大きさはそれぞれ等しいです。
① 角アの大きさは何度ですか。
② ○印をつけた角の大きさは何度ですか。
(神奈川大学附属中学校 2023年 問題2-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
①
「角の5原則 ① 内角に着目」を利用します。
左の図より
○○○+●●=138度 … (あ)
右の図より
○○+●=85度 … (い)
とわかります。
(あ)と(い)の差に着目します。
○+●=53度 … (う)
180度-53度=127度
答え 127度
②
消去算です。
(い)と(う)の差に着目します。
○=85度-53度=32度
答え 32度
本問も前問と同様に、「角の5原則」と消去算の組み合わせが確認できる問題です。
3問目を見ていきます。
【問題】図は正方形と正五角形を組み合わせたものであり、線は正方形と正五角形の頂点をまっすぐな線で結んだものです。(あ)の角の大きさを求めなさい。
(帝京大学中学校 2022年 問題2-(5))
【考え方】
正方形と正五角形の各辺の長さは等しいので、影をつけた三角形は二等辺三角形です。
1つの内角の大きさは正方形が90度、正五角形が108度ですから、二等辺三角形の3つの角はそれぞれ、
108度-90度=18度
(180度-18度)÷2=81度
です。
正五角形の1つの外角の大きさが
360度÷5=72度
であることを利用します。
(あ)+(108度-81度)=72度
(あ)=45度
答え 45度
本問は、「角の5原則 ② 外角に着目 ③ 二等辺三角形に着目」と正多角形の内角・外角について確認ができる問題です。
大きさを求めることができる角にどんどん数値を書きこんで解けるようになれば、次は方針を立てて必要な角の大きさだけを書いて解くようにしていきましょう。
4問目です。
【問題】次の図で印のついた角度の和は何度ですか。
(三田国際学園中学校 2022年 問題1-(3) 問題文一部変更)
【考え方】
何通りかの解き方がありますが、ここでは「凹みをふくらませる」を使っていきます。
水色の四角形と赤色の四角形で、
3つの●の角の大きさの和=3つの○の角の大きさの和
です。
ですから、問題図の印をつけた角度の和は八角形の内角の和と同じです。
180度×(8-2)=1080度
答え 1080度
本問は「凹みをふくらませる」という解き方を確認できる問題です。
他に、次の図のように四角形を2つの三角形に分割し、
「三角形の内角の和+七角形の内角の和」
とする解き方もあります。
では、最後の問題です。
【問題】新しく学校にできたスチューデントセンター「オリーブ」の屋根の設計図は、下の図のように、9つの点が中心角90度のおうぎ形の曲線上(点線)の両はしから等間隔に並んでいることがわかりました。印のついた5つの角の大きさの和は何度ですか。
(青山学院横浜英和中学校 2022年 問題1-(8) 問題文一部変更)
【考え方】
中心角90度のおうぎ形を4つ集めると円になることが利用できます。
上の図より、問題図の印のついた角は、赤色の正十六角形と青色の正十六角形の内角とわかります。
180度×(16-2)÷16×5=787.5度
答え 787.5度
本問は、おうぎ形を集めて円にすること、正多角形が円に内接することの2つを利用して解く問題です。
円で考えることによって計算が簡単になるところがポイントです。
今回は、2022年度と2023年度の共学中入試で出された「角の大きさの一行問題」を中心にご紹介しました。
角の問題は、内角の和の求め方や外角の和が360度であることの他に、「角の5原則」や「凹みをふくらませる」、「おうぎ形を集めて円にする」、「正多角形と円の関係」などの知識も必要とする問題があります。
「角の大きさ」を習い終えていましたら、今回の問題などを使ってこれらの知識もチェックをしておくとよいでしょう。