第605回 共学中の入試問題 数と計算 8
「第605回 共学中の入試問題 数と計算 8」
2022年度の共学中入試の中から「数と計算」の問題を見てきています。
今回は「約束記号」と「数の操作」を取り扱います。
1問目は「約束記号」の問題です。
【問題】整数xに対して、x自身とxの各位の数の和を【x】と表すことにします。例えば、【123】=123+1+2+3=129です。
(1)【2022】を求めなさい。
(2)【【456】÷3】を求めなさい。
(3)【A】+1=2022となる数Aは2014以外にもう1つあります。その数を求めなさい。
(三田国際学園中学校 2022年 問題2)
【考え方】
(1)
2022+2+0+2+2=2028
答え 2028
(2)
【456】=456+4+5+6=471
【471÷3】=【157】=157+1+5+7=170
答え 170
(3)
数Aの千の位の数をP、百の位の数をQ、十の位の数をR、一の位の数をSとすると、
A=1000×P+100×Q+10×R+1×S
と表せます。
【A】+1
=1000×P+100×Q+10×R+1×S+P+Q+R+S+1
=1001×P+101×Q+11×R+2×S+1=2022
Qは0以上9以下の整数ですから101×Qは0以上909以下、Rは0以上9以下の整数ですから11×Rは0以上99以下、Sは0以上9以下の整数ですから2×Sは0以上18以下です。
従って、101×Q+11×R+2×S+1は1以上1027以下なので、1001×Pは
2022-1027=995以上
2022-1=2021以下
となり、Pは1または2と分かります。
P=1のとき
101×Q+11×R+2×S+1=2022-1001=1021
11×R+2×S+1は1以上118以下なので、101×Qは
1021-118=903以上
1021-1=1020以下
となり、Qは9と分かります。
11×R+2×S+1=1021-909=112
2×S+1は1以上19以下なので、11×Rは
112-19=93以上
112-1=111以下
となり、R=9とわかります。
2×S+1=112-99=13
S=(13-1)÷2=6
以上より、数Aは1996と求められます。
答え 1996
本問は、はじめの2問が「約束記号」のルールに基づいた正確な処理、3問目はそのルールの利用と10進法の数の表し方の理解が問われる問題でした。
2問目は「数の操作」の問題です。
【問題】次のような操作を考えます。
操作:ある数に対して、その数が10の倍数のときは10で割り、10の倍数でないときは3倍して2を加える。
この操作を繰り返し行うとき、次の問いに答えなさい。
(1)(ⅰ)1に対してこの操作を5回行ったあとの数を求めなさい。
(ⅱ)2に対してこの操作を5回行ったあとの数を求めなさい。
(2)1から100までの数に対してこの操作を行うとき、10で割るという操作を1回も行わない数は何個ありますか。
(3)1から100までの数に対してこの操作を行うとき、10で割るという操作をちょうど1回だけ行う数は何個ありますか。
(市川中学校 2022年 問題5)
【考え方】
(1)(ⅰ)
1→5→17→53→161→485
答え 485
(1)(ⅱ)
2→8→26→80→8→26
答え 26
(2)
その数の一の位の数が0のときに10で割りますから、操作による一の位の数の変化に着目します。
すると、次の4つのグループに分類することができます。
10で割るという操作が1回も行われない数は、上のA、C、Dのグループの数です。
一の位の数が1、3、4、5、7、9の6通りですから、1以上100以下の整数は
6個×10=60個
あります。
答え 60個
(3)
操作を1回しか行わない数は、一の位の数が「0→1、3、4、5、7、9」と変化していく数です。
(2)にあてはまらない100個-60個=40個の数について調べていきます。
・□2の場合
2→8→26→80→8→26→80→8→…のように、一の位の数は4回目の操作のあと「8→6→0」を繰り返すので、2は題意にあてはまりません。
はじめの数が10大きい12の場合、1回目の操作をすると「2」のときよりも10×3=30大きい38となり、2回目の操作をすると「2」のときよりも30×3=90大きい116となり、3回目の操作をすると「2」のときよりも90×3=270大きい350となりますから、4回目の操作をすると「2」のときよりも270÷10=27大きい35となります。
22、32、…、92の場合も同じように4回目の操作をした後の数は、順に27ずつ大きくなっていきます。
27は10で割ると7余る数ですから、4回目の操作をした後の数の一の位の数は、順に8、5、2、9、6、3、0、7、4、1となります。
従って、はじめの数が□2の場合、一の位の数が「0→1、3、4、5、7、9」と変化していく数は6個あります。
・□8の場合
8→26→80→8→26→80→8→…のように、一の位の数は3回目の操作のあと「8→6→0」を繰り返すので、8は題意にあてはまりません。
はじめの数が10増えると、3回目の操作の後の数は10×3×3÷10=9増えます。
9は10で割ると9余る数なので、3回目の操作をした後の数の一の位の数は、順に8、7、6、5、4、3、2、1、0、9となります。
従って、はじめの数が□8の場合、一の位の数が「0→1、3、4、5、7、9」と変化していく数は6個あります。
・□6の場合
6→20→2→8→26→80→8→…のように、一の位の数が3回目の操作のあと「2→8→6→0」を繰り返すので、6は題意にあてはまりません。
はじめの数が10増えると、2回目の操作の後の数は10×3÷10=3増えます。
3は10で割ると3余る数なので、3回目の操作をした後の数の一の位の数は、順に2、5、8、1、4、7、0、3、6、9となります。
従って、はじめの数が□6の場合、一の位の数が「0→1、3、4、5、7、9」と変化していく数は6個あります。
・□0の場合
10→1→5→17→53→161→…のように、一の位の数が1回目の操作のあと「1→5→7→3」を繰り返すので、10はあてはまります。
はじめの数が10増えると、1回目の操作をした後の数は10÷10=1増えます。1は10で割ると1余る数なので、1回目の操作した後の数の一の位の数は、順に1、2、3、4、5、6、7、8、9となります。
従って、はじめの数が□0の場合、一の位の数が「0→1、3、4、5、7、9」と変化していく数は6個あります。
以上より、6個×4=24個が答えです。
答え 24個
本問は、(1)でルールの確認作業をしていると、一の位の数が繰り返すことに気付ける問題です。
数の操作の問題は規則性を見つけることがポイントになりますので、(1)のような作業を見やすく書くことが大切です。
今回は、2022年度の共学中入試で出された「約束記号」と「数の操作」に関する問題をご紹介しました。
これらの問題では、前半でルールの確認を行い、後半がその応用という構成になることが多いですから、後半の問題の正解を目指していく場合は前半の問題を見やすく書くことが大切です。
ここまで8回にわたって「数と計算」がテーマの問題について考えてきました。次回からは「比と割合」に関する問題を取り扱っていく予定です。