第604回 共学中の入試問題 数と計算 7
「第604回 共学中の入試問題 数と計算 7」
前回は、2022年度の共学中入試の中から「数の規則性」の一行問題を中心に見ました。
今回は、同じ「数の規則性」から大問形式の問題を取り上げます。
それでは、1問目です。
【問題】等くんは左の手のひらを広げ、親指から番号をつけて次のように数えました。
1(親指)、2(人差し指)、3(中指)、4(薬指)、5(小指)、6(薬指)、7(中指)、8(人差し指)、9(親指)、10(人差し指)、11(中指)、…
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)小指が20回目に数えられる番号はいくつですか。
(2)人差し指が100回目に数えられる番号はいくつですか。
(3)( ア )に当てはまる語句と( イ )に当てはまる数字をそれぞれ答えなさい。
( ア )指が( イ )回目に数えられる番号は2022です。
(東京都市大学等々力中学校 2022年 問題3 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
「繰り返しタイプの数列」なので、カレンダー型の表に整理します。
この数列の各群には8個の番号があり、その中に小指は1回だけ含まれます。
よって、小指が20回目に数えられるのは第20群です。
小指の番号は「5からはじまる公差が8の等差数列」になっていますから、20回目に数えられる小指の番号は、
5+8×(20-1)=157
です。
答え 157
(別解)
各群で「2回目に数えられる人差し指の番号が8の倍数」になっていることに着目すると、第20群で2回目に数えられる人差し指の番号は、
8×20=160
です。
小指の番号はそれよりも3小さいので、
160-3=157
のようにして求めることもできます。
(2)
各群で人差し指は2回数えられますから、100回目は
100÷2=50余り0
より、第 50群の2回目です。
(1)の別解の考え方を利用します。
8×50=400
答え 400
(3)
これも(1)の別解の考え方が利用できます。
2022÷8=252余り6
より、第252群で2回目に数えられる人差し指の番号は
8×252=2016
です。
続きを書き出すと
となるので、番号が2022となるのは、第253群で2回目に数えられる薬指です。
2×253=506(回目)
答え ア 薬、 イ 506
本問は数の並びが蛇行している「繰り返しタイプの数列」の問題ですが、「カレンダー型の表に整理」するという基本は変わりません。
数の並びはやや複雑ですが、「8つの番号を繰り返しているから8の倍数に着目」のように考えると、(2)、(3)も考えやすくなります。
では、2問目です。
【問題】次のように、1段目に1から100までの数を並べ、2段目から100段目は1つ上の段のとなり合った2数の和を並べます。
また、A段目の左からB番目の数を(A、B)と表します。例えば、(3、2)=12です。
(1)(6、6)はいくつですか。
(2)奇数は何個ありますか。
(3)320は全部で3個あります。(A、B)=320になる(A、B)をすべて答えなさい。
(中央大学附属中学校 2022年 問題5)
【考え方】
(1)
書き出して調べてみます。
上の表から、6段目には112からはじまる公差が32の等差数列が並ぶと分かります。
112+32×(6-1)=272
答え 272
(2)
(1)の表から、奇数が並ぶ段は1段目と2段目だけと分かります。
100÷2=50(個) … 1段目の奇数の個数
また、1段目には100個の数が並んでいますから、間の個数は
100-1=99(個)
です。
50+99=149(個)
答え 149個
※ 2段目は3からはじまる奇数ですから、
(199+1)÷2-1=99(個)
のように求めることもできます。
(3)
となり合う2数の差は1段目から順に1、2、4、8、16、32、…のように2倍になっています。
2段目の最後の数が199、3段目の最後の数が396ですから、320が並ぶのは3段目以下と分かります。
3段目の場合
8からはじまる公差が4の数が98個並んでいます。
8+4×(□-1)=320
□=(320-8)÷4+1=79(番目) → 適する
4段目の場合
20からはじまる公差が8の数が97個並んでいます。
20+8×(□-1)=320
□=(320-20)÷8+1=38.5 → 小数は適さない
5段目の場合
48からはじまる公差が16の数が96個並んでいます。
48+16×(□-1)=320
□=(320-48)÷16+1=18(番目) → 適する
6段目の場合
112からはじまる公差が32の数が95個並んでいます。
112+32×(□-1)=320
□=(320-112)÷32+1=6.5 → 小数は適さない
7段目の場合
256からはじまる公差が64の数が94個並んでいます。
256+64×(□-1)=320
□=(320-256)÷64+1=2(番目) → 適する
8段目は1番目の数が
256+320=576
ですから、320はありません。
答え (3、79)、(5、18)、(7、2)
本問は、前問が次の問題のヒントになっている誘導形式の問題です。
大問形式の「数の規則性」では、本問のように「前半の問題で調べると、後半の問題につながる規則が見つかる」ように作られた問題があります。
このような問題では、「調べる」ときに見やすく書くと、以降の問題の正解を増やすことができます。
今回は、2022年度の共学中の入試で出された、大問形式の「数の規則性」をご紹介しました。
1問目では「繰り返しタイプの数列」は「カレンダー型の表に整理」という基本の解き方の他に「倍数に着目」というポイントを、また、2問目では誘導形式の問題で正解を増やすための方法を確認してみましょう。
次回は、「約束記号」と「数の操作」がテーマの問題を見ていく予定です。