第603回 共学中の入試問題 数と計算 6
「第603回 共学中の入試問題 数と計算 6」
ここまで、2022年度の共学中入試の中から「数と計算」の問題を見てきています。
今回は「数の規則性」について取り上げていきます。
それでは、1問目です。
【問題】1、2、3、4、5、1、2、3、4、5、1、…のように、1から5までの数がくり返し並んでいます。左から数えて1番目から111番目の数の和を求めなさい。
(広尾学園中学校 2022年 問題1-(1)② 問題文一部変更)
【考え方】
繰り返しの問題は、「カレンダー型の表に整理」が基本の解き方です。
5つの数を繰り返していること、求めるものが「和」であることから、次のように整理します。
111番目÷5個=22(群)余り1番目
より、111番目の数は第23群の1番目の数の「1」です。
よって、和は
15×22+1=331
です。
答え 331
本問は、「繰り返しタイプの数列」の基本が確認できる問題です。
同じ5つの数を繰り返す問題ですから、正解が得られるのであれば式だけで解いてもOKです。
続けて、2問目を見ていきます。
【問題】次のように、ある規則にしたがって数が並んでいます。
このとき、50番目までの数をすべて足すといくつになりますか。
(帝京大学中学校 2022年 問題2-(3))
【考え方】
分子に着目すると、
1 / 1、2 / 1、2、3 / 1、2、3、4 / 1、…
のように、1個、2個、3個、4個、…と区切ることができます。
また、分母に着目しても、
1 / 2、2 / 3、3、3 / 4、4、4、4 / 5、…
のよう、やはり1個、2個、3個、4個、…と区切ることができます。
50番目までの数の和を求めますから、群ごとに「個数」と「和」について整理します。
50=1+2+…+9+5
より、50番目の数は第10群の5番目の数である「5/10」と分かります。
2/2+3/2+4/2+…+10/2=27 … 第1群から第9群までの和
1/10+2/10+…+5/10=1.5 … 第10群の1番目から5番目までの和
27+1.5=28.5
答え 28.5
※ 和を1からはじまる公差0.5の等差数列として求めてもOKです。
本問は、「(個数が増えていく)増殖タイプの数列」の基本が確認できる問題です。
ここでは「横1列」のまま条件整理をしましたが、解きにくいときは「繰り返しタイプの数列」のときと同じように、カレンダー型の表を書いて解きましょう。
次の問題を見ていきましょう。
【問題】次の各数は、ある規則にしたがって数が並んでいます。
この規則にしたがって並べていくと、50番目の数は何ですか。
(お茶の水女子大学附属中学校 2022年 問題2-(1))
【考え方】
前問と同じく「増殖タイプの数列」です。
50=1+2+…+9+5
より、50番目の数は第10群の5番目の数です。
各群の分子は1から始まる奇数、分母は群番号の2倍ですから、第10群の5番目の数は「9/20」と分かります。
答え 9/20
本問も、増殖タイプの数列の基本が確認できる問題でした。
もう1問、「数の規則性」の一行問題を見ておきます。
【問題】ある規則にしたがって、分数が次のように並んでいます。18番目の分数は何ですか。
(法政大学中学校 2022年 問題2-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
分子に着目すると、
1 / 1、2 / 1、2、3 / 1、2、3、4 / 1、…
のように、1個、2個、3個、4個、…と区切ることができます。
また、分母は
と、階差数列になっています。
18=1+2+…+5+3
より、18番目の分数の分子は第6群の3番目なので「3」、分母は
1+(1+2+3+…+17)
=1+(1+17)×17÷2
=154
と求められます。
答え 3/154
本問は、分数の数列を分子と分母に分けて考えていくことを確認できる問題です。
分母はとなり合う2つの数の差が1ずつ増えていく数列ですが、番号をつけておくと17番目の分母と18番目の分母の差が17となることが分かりやすくなります。
最後は、分数の数列がテーマの大問形式の問題です。
【問題】下のような分子と分母の和が2022となるような分数を考えます。分子が1から2021までの整数である分数をつくります。次の問いに答えなさい。
(1)これらの分数のうち、約分すると5になる分数の分母を答えなさい。
(2)これらの分数のうち、約分すると整数になる分数はいくつあるか求めなさい。
(3)これらの分数のうち、整数部分が1となる分数はいくつあるか求めなさい。
(広尾学園中学校 2022年 問題4)
【考え方】
(1)
約分すると5になる分数は、分子:分母=⑤:①です。
⑤+①=⑥=2022
①=2022÷6=337
答え 337
(2)
約分すると整数になる分数は、分子÷分母=整数ですから、分子は分母の倍数です。
図より、
分母+分子=分母×(□+1)=2022
と表せますので、分母は2022の約数です。
2022=2×3×337
より、2022の約数は1、2、3、6、337、674、1011、2022の8個と分かりますが、分母は1以上2021以下の整数なので、あてはまる分母は7個です。
よって、求める分数は7個です。
答え 7個
(3)
問題の条件より、求める分数は1以上2未満です。
(2)と同じように線分図で考えると、次のようになります。
よって、分母は、
2022÷3=674
より大きく
2022÷2=1011
以下と分かります。
1011-674=337(個)
答え 337個
本問は、分数の数列が与えられていますが、問題自体は「約数と倍数」に関するものでした。
「数と計算」の問題は本問のようにいくつかのテーマが含まれる問題も少なくありませんので、それぞれのテーマについて正確な学習が必要です。
今回は、2022年度の共学中で出された「数の規則性」に関する問題をご紹介しました。
一行問題では基本の解き方の定着が確認できますので、不正解の場合はすぐにおさらいをするようにしましょう。