第602回 共学中の入試問題 数と計算 5
「第602回 共学中の入試問題 数と計算 5」
2022年度の共学中入試の問題の中から「数と計算」について考えています。
今回は大問形式の「余り処理」と「N進法」の問題を見ていきます。
1問目は「余り処理」の大問です。
【問題】
(1)2桁の整数10、11、12、…、98、99について、7で割ったときの余りが1になる素数をすべて求めなさい。
(2)7で割ると2余る2桁の整数と7で割ると3余る2桁の整数がある。この2つの数の合計が5の倍数になるとき、2つの数の合計の中で2番目に小さい値を答えなさい。
(3)Aを7で割った余りがCで、Bを7で割ったときの余りがDのとき、A×Bを7で割った余りはC×Dを7で割った余りに等しいことがわかっています。10×10、11×11、12×12、…、98×98、99×99の整数について、7で割った余りが1になる数の個数を求めなさい。
(昭和学院秀英中学校 2022年 問題3)
【考え方】
(1)
問題文を式に表します。
□÷7=■余り1
↓
□=7×■+1
■に整数を当てはめて調べていくと、
7×4+1=29
7×6+1=43
7×10+1=71
の3つが見つかります。
答え 29、43、71
(2)
問題文を式に表します。
□=■×7+2
△=▲×7+3
□+△
=■×7+2+▲×7+3
=(■+▲)×7+5
=5の倍数
この式から、■+▲が5の倍数のときに適するとわかります。
□と△は2桁の整数ですから、■は2以上、▲は1以上の整数です。
■+▲の値は小さい方から順に、5、10、…ですから、2番目に小さい□+△の値は
10×7+5=75
です。
答え 75
(3)
問題文の前半は、次のような面積図で表せます。
例えば、10×10の場合を下のように面積図で表すと、
(10×10)を7で割った余り
=(3×3)を7で割った余り
=2となります。
問題は余りが1になる場合ですから、次のような図になります。
7×■+1は2桁の整数なので、■=2~14の13個があります。
7×■+6も2桁の整数なので、■=1~13の13個があります。
13+13=26(個)
答え 26個
本問は、余りどうしの和や積に関する知識が確認できる問題です。
(2)で用いた「分配のきまり」や(3)のように面積図で考えることはとても大切です。
2問目は「N進法」の問題です。
【問題】5つの枠にA、B、Cを書くか、または空らんとして、図のようにあるきまりにしたがって、整数を表すことにします。下の問いに答えなさい。
(1)100を図で表すとどのようになりますか。解答らんにある5つの枠に表しなさい。
(2)右の図が表す整数はいくつですか。考え方と答えを書きなさい。
(3)5つの枠にA、B、Cを書いて表せる整数の中で最も大きい整数はいくつですか。
(淑徳中学校 2022年 問題3)
【考え方】
(1)
「1=A、2=B、3=C、0=空らん」で表す4進法の問題です。
4進法の位は小さい方から順に、1の位、4の位、16の位、64の位、256の位、…のように4倍ずつ大きくなります。
従って、
100=256×0+64×1+16×2+4×1+1×0
より、
と表せます。
答え
(2)
16の位の数が1、4の位の数が2、1の位の数が3ですから、
16×1+4×2+1×3=27
です。
答え 27
(3)
すべての枠(位)にC(3)を書いたときの数です。
256×3+64×3+16×3+4×3+1×3=1023
答え 1023
(別解)
もし、枠が6つあれば(3)より1大きい数は
のように表せます。
256×4=1024
1024-1=1023
本問は、「N進法」の考え方が確認できる問題です。
数を空らんとA、B、Cの4種類の数字で表すことから4進法の問題だとわかり、「その位は4倍ずつ大きくなる」が使えたかをチェックしてみましょう。
なお、(1)では次のような計算ができればなおよいでしょう。
では、3問目です。
【問題】2から2022までの整数のうち、0、2、4、6、8だけを使ってできるものを次のように小さい順に並べます。
2、4、6、8、20、22、24、…、2022
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)小さい方から数えて20番目の数は何ですか。
(2)全部で何個の数が並んでいますか。
(3)全部の数の和はいくつになりますか。
(中央大学附属横浜中学校 2022年 問題3)
【考え方】
(1)
1桁の整数は、2、4、6、8の4個です。
20台の整数
20、22、24、26、28の5個
40台の整数
40、42、44、46、48の5個
60台の整数
60、62、64、66、68の5個
ここまで全部で
4個+5個+5個+5個=19個
あります。
従って、20番目の数は80です。
答え 80
(別解)
0、2、4、6、8を0、1、2、3、4に置き換えると「5進法」として解くことができます。
10進法の20は
20=5×4+1×0
なので、5進法の20番目の数は「40」です。
4を元の8に戻すと、問題の数の列の20番目の数は80とわかります。
答え 80
(2)
1桁の整数
2、4、6、8の4通り → 4個
2桁の整数 □■
□=2、4、6、8の4通り
■=0、2、4、6、8の5通り
4×5=20(個)
3桁の整数 □■■
□=2、4、6、8の4通り
■=0、2、4、6、8の5通り
4×5×5=100(個)
4桁の整数
200□
□=0、2、4、8、8の5通り → 5個
202□
2020と2022の2個
従って、
4個+20個+100個+5個+2個=131個
です。
答え 131個
(別解)
(1)と同様に2022の「2を1に置き換える」と、「5進法」の1011となります。
125×1+25×0+5×1+1×1=131
5進法の1011は131番目の数より、並んでいる数は131個とわかります。
答え 131個
(3)
2を002、4を004のように表し、さらに0を000として補うと、0以上888以下の整数は□□□(□=0、2、4、6、8)として考えることができますので、
5×5×5=125(個)
あることがわかります。
※(2)を利用して、1+4+20+100=125(個)としてもOKです。
0、2、4、6、8の5種類の数字は、それらの整数の百の位、十の位、一の位にそれぞれ
125個÷5種類=25個
使われますので、各位の数の和は
(0+2+4+6+8)×25=500
です。
よって、0以上888以下の整数の和は、
500×100+500×10+500×1=55500
です。
55500+2000+2002+2004+2006+2008+2020+2022=69562
答え 69562
本問の(1)、(2)は、5進法に置き換える工夫ができるかを確認することができます。
問題の条件のまま順に調べて解くことができるときは、N進法を利用する解き方もチェックしてみましょう。
今回は,2022年度の共学中の入試で出された大問形式の「余り処理」の問題と「N進法」の問題をご紹介しました。
次回は「数の規則性」がテーマの問題を見ていく予定です。