第601回 共学中の入試問題 数と計算 4
「第601回 共学中の入試問題 数と計算 4」
前回は、2022年度に出された共学中入試の「数と計算」の中から大問形式の「約数と倍数」の問題を見ました。
今回は「余りの処理」の一行問題について考えていきます。
では、1問目です。
【問題】45をある整数で割った余りは11です。そのような整数をすべて求めなさい。
(東邦大学付属東邦中学校 2022年 問題2-(1))
【考え方】
「余り処理」は、「問題文を式に表す」が基本の解き方です。
45÷□=○余り11
「割る数>余り」ですから、□は12以上の整数と分かります。
さらに
45-11=34
より、
34÷□=○
と表せますので、□は34の約数です。
34の約数は、1、2、17、34の4個で、そのうち12以上の数は17と34です。
答え 17、34
本問は、余り処理の基本が確認できる問題です。
「割る数>余り」から求める数の範囲を絞り込む点が大切なポイントです。
続けて2問目を見ていきます
【問題】6で割っても、16で割っても2余る整数のうち、2より大きい整数について考えます。
① 最も小さい整数はいくつですか。
② 1000に最も近い整数はいくつですか。
(神奈川大学附属中学校 2022年 問題2-(1))
【考え方】
① 問題文を式に表すと
□÷6=○余り2
□÷16=●余り2
となります。
「余り処理」のもうひとつの基本は、「わり算の式を検算の式に直す」です。
□=6×○+2
□=16×●+2
この2つの式は、
□=6の倍数+2=16の倍数+2
と読みかえることができます。
上の線分図より、
□=(6と16の公倍数)+2
=(6と16の最小公倍数)×△+2
とわかります。
6と16の最小公倍数は48なので、2より大きい最小の整数は
48×1+2=50
です。
答え 50
② ①より
□=48×△+2
ですから、
48×△+2=1000
とすると、
(1000-2)÷48=20余り38
より、△は20または21です。
48×20+2=962
48×21+2=1010
なので、1000に最も近い整数は1010です。
答え 1010
本問は「余り処理」の中の「余り共通」と言われる問題です。
上記のような考え方が身についていれば、「余り共通→割る数の最小公倍数×□+余り」という求め方ですぐに答えを導き出すこともできると思います。
②は次のような線分図を利用すると、
1000+(48-38)=1010
のように求めることもできます。
では、3問目です。
【問題】18で割ると割り切れて、81で割ると商と余りが等しくなる数があります。このような数のうち最大の数を求めなさい。
(青山学院中等部 2022年 問題6 問題文一部変更)
【考え方】
これまでと同じように、問題文を式に表します。
□÷18=○
□÷81=●あまり●
1つめの式から□は18の倍数であることが分かり、2つめの式から●は80以下の整数と分かります。
また、2つめの式を検算の式に直すと、
□=81×●+●
=81×●+1×●
=82×●
となりますので、□は
82×80=6560
以下の82の倍数であることも分かります。
条件を整理します。
・□は18の倍数
・□は82の倍数
・□は6560以下
18と82の最小公倍数は738ですから、
738×△≦6560
です。
6560÷738=8余り656
より、最大の数は
738×8=5904
です。
答え 5904
本問は、「81で割った商と余りが等しい」という条件を、分配のきまりを使って「82の倍数」に読みかえるという解き方が確認できる問題です。
最後に、もう1問見ておきましょう。
【問題】ある数を3で割ると割り切れ、その商をさらに3で割ると2余ります。このような数のうち、100に一番近いものは何ですか。
(中央大学付属横浜中学校 2022年 問題1-(7) 問題文一部変更)
【考え方】
問題文を式に表します。
□÷3=○
○÷3=●余り2
1つめの式から□は3の倍数と分かり、2つめの式を検算の式にすると
○=3×●+2
=3の倍数+2
と分かります。
○は小さい順に2、5、8、11、…ですから、33に近い○は32と35です。
よって、□は
32×3=96
または
35×3=105
なので、100に最も近い数は96と分かります。
答え 96
本問は上記の他に、100に近い3の倍数について、3で割った数をさらに3で割って2余るかどうかを調べていくという解き方もありますし、
□=3×(3×●+2)
=9×●+6
とし、
(100-6)÷9=10余り4
から、
●=10または11
として求めていく方法もあります。
今回は2022年度の共学中の入試で出された「数と計算」の中から、「余り処理」の一行問題をご紹介しました。
「約数と倍数」と同じく「余り処理」の問題も中学入試ではよく出されますので、この単元を学び終えていましたら、定着度をチェックしてみましょう。