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第600回 共学中の入試問題 数と計算 3

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数の性質の練習問題 2023年01月07日15時00分

「第600回 共学中の入試問題 数と計算 3」

ここまで、2022年度に出された共学中の入試問題の中から「数と計算」について見てきています。

今回は大問形式の「約数と倍数」を取り扱います。

 

では、1問目です。

 

【問題】三田くんと玉川さんが、約数について話をしています。

三田くん:ねぇ玉川さん、整数の約数について、先生から面白い話を聞いたんだ。

玉川さん:どんな話?

三田くん:例えば、12の約数が何個あるかって問題はどうやって考える?

玉川さん:こうやって書いて、6個って考えるかな?

三田くん:僕もそうやって解いてたんだけど、全部の約数を書き出さなくても分かる方法を教えてもらったんだ。

玉川さん:どうやるの?教えて!

三田くん:まずは、12を素数のかけ算で表すと、12=2×2×3だね。

玉川さん:それで?

三田くん:2×2の約数を横に並べ、別の素数である3の約数を縦に並べて長方形を区切ると、区切られてできた四角形の個数が約数の個数になるんだよ。

玉川さん:なるほどね。しかもそれぞれの四角形の面積が約数と対応しているんだね。

三田くん:玉川さん、すごい。そうなんだよ。僕は先生に言われるまで、そのことに気付けなかったな…。だから、12の約数の和をすべて求める問題が出たら、1+2+3+4+6+12と計算しなくても解けるんだ。そして、図の長さが正確でなくても求められるね。

玉川さん:なるほど。面白い解き方を教えてくれてありがとう!

(1)12の約数の和を求めなさい。

(2)3969の約数の個数を求めなさい。

(3)3969のすべての約数の和を、三田くんと玉川さんのやりとりを参考に、図を用いて求めなさい。どのように考えたかも合わせて答えなさい。

(三田国際学園中学校 2022年 問題4)

 

【考え方】

(1)

玉川さんの「それぞれの四角形の面積が約数と対応している」を利用します。

6個の区切られた四角形の面積をそれぞれ求めてからたしても構いませんが、6個の四角形を合わせた大きな長方形の面積を求める方が簡単です。

(1+2+4)×(1+3)=28

答え 28

 

(2)

3969を素数のかけ算で表します。

3969=3×3×3×3×7×7

これを問題の図と同じように長方形に表します。

5×3=15

答え 15個

 

(3)

1+3+9+27+81=121

1+7+49=57

121×57=6897

答え 図 (2)の図を参照、 和 6897

 

本問は、約数の個数と約数の和を計算で求める解き方が確認できる問題です。

解き方を知らなかったり忘れたりしていたときは、三田くんと玉川さんの会話がヒントに学び直しましょう。

 

では、2問目です。

 

【問題】電球が200個あり、それぞれの電球に1、2、3、…、200と番号がついています。すべて消灯しており、点灯したり消灯したりするためのボタンがついています。このボタンは消灯しているときに押すと点灯し、点灯しているときに押すと消灯します。これらの電球に対して

操作1 1の倍数の番号が書かれた電球のボタンを押す。

操作2 2の倍数の番号が書かれた電球のボタンを押す。

操作3 3の倍数の番号が書かれた電球のボタンを押す。

操作200 200の倍数の番号が書かれた電球のボタンを押す。

という操作を行います。次の問いに答えなさい。

(1)1から10の番号がついている電球に対して、この操作を行いました。点灯している電球の個数を求めなさい。

(2)1から100の番号がついている電球に対して、この操作を行いました。点灯している電球の個数を求めなさい。

(3)200個すべての電球に対してこの操作を行ったところ、操作1から操作200のうち、ある1つの操作を忘れてしまったため、点灯している電球は18個となりました。操作を忘れていなければ、その操作番号と同じ番号の電球は点灯しているはずでした。忘れた操作番号を求めなさい。

(広尾学園中学校 2022年 問題3)

 

【考え方】

(1)

順に調べてみます。

上の表より、操作10まで行ったときに点灯している電球は1、4、9の3個です。

答え 3個

 

(2)

(1)の表に着目します。

操作10まで行ったときに点灯している電球はボタンを奇数回押された電球で、偶数回押された電球は消灯してます。

また、ボタンが押されたときの操作番号は、電球の番号の約数にもなっています。

以上から、点灯する電球は電球の番号の約数が奇数個の電球であることが分かります。

いま操作を行う電球の番号は100以下です。

よって、操作番号が101以上の操作によってボタンを押される電球はありませんので、この問題は「番号が1から100までの電球に、操作1から操作100までを行う」ということになります。

約数の個数が奇数個となる整数は平方数ですから、点灯している電球の番号は

1、4、9、16、25、36、49、64、81、100

の10個です。

答え 10個

 

(3)200個すべての電球に問題の操作をすべて忘れずに行うと、

1×1=1

2×2=4

3×3=9

4×4=16

13×13=169

14×14=196

の14個の電球が点灯します。

よって、「操作を忘れていなければ、その操作番号と同じ番号の電球は点灯しているはずでした」という条件より、忘れた操作の番号は1、4、9、16、…、169、196のいずれかと決まります。

 

操作1を忘れたとき

1~200の200個の電球すべてについてボタンを押される回数が1回減るので、点灯している14個すべてが消灯し、消灯している186個がすべて点灯します。

よって、点灯している電球は14-14+186=186(個)です。 → 不適当

 

操作4を忘れたとき

200÷4=50(個)の電球についてボタンを押される回数が1回減ります。

点灯している14個のうち、4、16、36、100、144、196の6個が消灯し、消灯している186個のうち、50-6=14(個)が点灯します。

よって、点灯している電球は14-6+14=22(個)です。 → 不適当

 

操作9を忘れたとき

200÷9=22(個)余り2より22個の電球についてボタンを押される回数が1回減ります。

点灯している14個のうち、9、36、81、144の4個が消灯し、消灯している186個のうち、22-4=18(個)が点灯します。

よって、点灯している電球は14-4+18=28(個)です。 → 不適当

 

操作16を忘れたとき

200÷16=12(個)余り8より12個の電球についてボタンを押される回数が1回減ります。

点灯している14個のうち、16、64、144の3個が消灯し、消灯している186個のうち、12-3=9(個)が点灯します。

よって、点灯している電球は14-3+9=20(個)です。 → 不適当

 

操作25を忘れたとき

200÷25=8(個)の電球についてボタンを押される回数が1回減ります。

点灯している14個のうち、25、100の2個が消灯し、消灯している186個のうち、8-2=6(個)が点灯します。

よって、点灯している電球は14-2+6=18(個)です。

答え 25

 

本問は、整数と約数の個数の関係についての理解が確認できる問題です。

(1)が(2)の誘導になっていますので、もし正解できなかったときは(1)で問題の解き方をチェックしましょう。

(3)は(1)(2)よりも難しい問題です。

調べている過程で、18個-14個=4個から約数の個数が4個以上の場合だけでよいことに気づければ、「200÷4=50より1、4、9、16、25、49の6つの場合についてだけ」と分かる問題でした。

 

今回は、2022年度の共学中の入試問題から、大問形式の「約数と倍数」の問題をご紹介しました。

整数と約数の個数の関係は大切な知識です。

この単元を学習し終えているときは、1問目の解き方と合わせ、上記の表についても確認しておきましょう。

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数の性質の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年01月07日15時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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