第596回 女子中の入試問題 場合の数 2
「第596回 女子中の入試問題 場合の数 2」
前回から、2022年度の女子中の入試で出された「場合の数」の問題について考えています。
今回は「数作り」と「ご石並べ」の大問形式の問題を取り扱います。
はじめは「数作り」の問題です。
【問題】次の問いに答えなさい。
(1)2022のように、4けたの整数で、千の位の数、百の位の数、十の位の数、一の位の数のうち3つが2である整数は全部で何個ありますか。
(2)(1)で求めた整数のうち、3の倍数は何個ありますか。
(白百合学園中学校 2022年 問題1)
【考え方】
(1)
はじめに、問題の条件を□を使って表してみましょう。
222□
22□2
2□22
□222
次に、それぞれの□にあてはまる数が何通りあるか考えます。
222□ … □は2以外の9通り
22□2 … □は2以外の9通り
2□22 … □は2以外の9通り
□222 … □は0と2以外の8通り
9+9+9+8=35(個)
答え 35個
※ 9×4-1=35(個)のように求めてもOKです。
(2)
3の倍数は各位の数の和が3の倍数となる数です。
2が3つと□が1つありますから
2+2+2+□=6+□=3の倍数
です。
6が3の倍数のなので、□は3の倍数または0であることが 分かります。
222□ … □は0、3、6、9の4通り
22□2 … □は0、3、6、9の4通り
2□22 … □は0、3、6、9の4通り
□222 … □は3、6、9の3通り
4+4+4+3=15(個)
答え 15個
※ 4×4-1=15(個)のように求めてもOKです。
本問は、整数の先頭に0がこないことに注意して解く「数作り」の問題です。
4つの場合に分けて考えられたかを確認してみましょう。
次は、「ご石並べ」の問題です。
【問題】白い碁石と黒い碁石がたくさんあります。この中の6つの碁石を次のA、B、Cの規則にしたがって横一列に並べます。
A 白い碁石を3つ以上使う。
B 白い碁石を3つ以上連続して並べない。
C 黒い碁石を3つ以上連続して並べない。
次の(ア)~(ウ)にあてはまる数を求めなさい。
①左はしと右はしが黒い碁石になる並べ方は(ア)通りあります。
②左はしと右はしが白い碁石になる並べ方は(イ)通りあります。
③左から3番目が白い碁石になる並べ方は(ウ)通りあります。
(フェリス女学院中学校 2022年 問題1-(5)問題文一部変更)
【考え方】
白い碁石が5個と黒い碁石が1個のとき規則B(連続は最大で2個まで)を満たすことができませんので、白い碁石は4個以下です。
このことと規則に気をつけながら、白い碁石を○、黒い碁石を●(テストのときは×とするほうが書きやすいでしょう)、色の分からない碁石を□として、問題の条件を表していきます。
①
●□□□□●という並べ方です。
白い碁石は3個または4個ですから、
4個の□に○が4個
または
4個の□に○が3個と●が1個
の2つの場合があります。
○が4個の場合
●○○○○● → 規則Bに反する。
○が3個と●が1個の場合
●●○○○● → 規則Bに反する。
●○●○○● → 適する。
●○○●○● → 適する
●○○○●● → 規則Bに反する。
答え ア 2(通り)
②
○□□□□○という並べ方です。
白い碁石は3個または4個ですから、
4個の□に○が2個と●が2個
または
4個の□に○が1個と●が3個
の2つの場合があります。
○が2個と●が2個の場合は、
○○●○●○
○○●●○○
○●○○●○
○●○●○○
の4通りがあります。
○が1個と●が3個の場合は、
○●○●●○
○●●○●○
の2通りがあります。
4+2=6(通り)
答え イ 6
③
□□○□□□という並べ方です。
はじめに○の左側の□について調べます。
○●○□□□ … ア
●○○□□□ … イ
●●○□□□ … ウ
この3つの場合について、右側の□も含めて調べていきます。
アの場合
○●○○●○
○●○○●●
○●○●○○
○●○●○●
○●○●●○
の5通り
イの場合
●○○●○○
●○○●○●
●○○●●○
の3通り
ウの場合
●●○○●○
●●○●○○
の2通り
5+3+2=10(通り)
答え ウ 10
本問は「連続する個数」と「使う個数」の2つの条件に注意して場合分けをし、それぞれ書き出して解いていきます。
計算だけでは上手くいかないことを見抜き、書き出しに切り替える判断力も大切なことが分かる問題でした。
今回は2022年度の女子中の入試で出された「場合の数」の問題の中から、場合分けがポイントとなる問題をご紹介しました。
前回と今回の2回にわたってみてきましたように、場合の数は樹形図に代表される書き出しの技術と順列や組み合わせのような計算の技術、それらを利用するために場合分けをする力、そして書き出しと計算の使い分け方(判断力)が必要な単元です。
書き出し、計算、場合分けの順に理解を深め、さらに今回見たような大問形式の問題を通して使い分け方を強化していきましょう