第595回 女子中の入試問題 場合の数 1
「第595回 女子中の入試問題 場合の数 1」
今回から、2022年度の女子中の入試で出された「場合の数」の問題を取り扱います。
その1回目は「三角形作り」と「数作り」について見てきます。
では、1問目です。
【問題】長さが2㎝、3㎝、4㎝。5㎝の棒が1本ずつあります。この中から3本を選んで三角形を作るとき、棒の選び方は何通りありますか。
(晃華学園中学校 2022年 問題1-(3))
【考え方】
「三角形作り」の問題です。
この問題は三角形の3つの辺の長さに「最も長い辺<残りの2辺の長さの和」という関係があることを表に整理して解きます。
はじめに最も長い辺(◎)に使う棒を決め、その後で残りの2辺(○)に使う棒を決めます。
答え 3通り
本問は、「三角形の3つの辺の長さの関係」という知識と「表に整理して解く」という整理方法が確認できる問題です。
なお、表の代わりに樹形図や(5、4、3)のように( )を用いて整理してもOKです。
2問目は「数作り」の問題です。
【問題】0、2、3、4から3種類の数字を選んで3けたの偶数をつくると、全部で何通りできますか。
(東洋英和女学院中学部 2022年 問題2-(4)問題文一部変更)
【考え方】
「数作り」の問題は、原則として「けた数→その他の条件」の順に考えていきます。
本問はけた数が「3けた」とありますので、まず、
のようなマス目を準備します。
次に「偶数」という条件から、一の位に入る数字が「0」、「2」、「4」と決まります。
この3つの場合について、「百の位→十の位」の順にあてはまる数を考えていきます。
3×2=6(通り) … 一の位が0のとき
2×2=4(通り) … 一の位が2のとき
2×2=4(通り) … 一の位が4のとき
6+4+4=14(通り)
答え 14通り
本問は、「場合の数」の基本である「場合分け」が確認できる問題です。
前問と同様に樹形図や順に書き出す解き方でもOKですが、もし習い終えていたら解答例のような整理方法を使うようにしましょう。
なお、作ることのできる3桁の整数が全部で
3×3×2=18(通り)
あり、そのうち奇数は203、243、403、423の4通りなので、偶数は
18-4=14(通り)
のように、「余事象」の考え方を用いてもOKです。
3問目は大問形式の「数作り」の問題です。
【問題】A、B、Cの3つの箱に、整数のかかれたカードが以下のように入っています
箱A:1から5が書かれたカードが1枚ずつ、計5枚
箱B:1、3、5が書かれたカードが1枚ずつ、計3枚
箱C:0から9の書かれたカードが1枚ずつ、計10枚
3つの箱からカードを1枚ずつ取り出して、Aから取り出したカードの数を百の位、Bから取り出したカードの数を十の位、Cから取り出したカードの数を一の位とした3桁の整数Xをつくります。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)Xが4の倍数となる取り出し方は何通りありますか。
(2)Xが3の倍数となる取り出し方は何通りありますか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図などを書きなさい。
(3)Xが12の倍数となる取り出し方は何通りありますか。
(洗足学園中学校 2022年 問題4)
【考え方】
(1)
Xが「3桁の整数」なので、マス目を3つ用意します。
次に「4の倍数」という条件がありますので、下2桁の数を決めていきます。
最後に百の位の数を決めますが、4の倍数は下2桁が4の倍数であれば百の位の数は何でもよいので、上記の6つの場合について、それぞれ1から5までの5通りがあります。
5×6=30(通り)
答え 30通り
(2)
3の倍数は各位の数の和が3の倍数になることを利用します。
はじめにカードの枚数が少ない箱A、Bに着目します。
上2桁の数の和を表に整理すると次のようになります。
このままでもよいのですが、「3で割った余り」の表にしておくとさらに考えやすくなります。
上2桁の数の和を3で割った余りが1のとき、3で割った余りが2の数が一の位であれば、整数Xの各位の数の和を3で割った余りは
1+2=3
より3で割った余りが0となりますから、Xは3の倍数になります。
表より、上2桁の数の和を3で割った余りが1になるのは
2通り(赤字)×2+1通り(黒字)=5通り
あり、このとき一の位(3で割った余りが2)は2、5、8の3通りがありますので、
5×3=15(通り)
です。
同様に、上2桁の数の和を3で割った余りが2のときが5通り、一の位(3で割った余りが1)は1、4、7の3通りですから、
5×3=15(通り)
です。
また、上2桁の数の和を3で割った余りが0のときが5通り、一の位(3で割った余りが0)は0、3、6、9の4通りですから、
5×4=20(通り)
です。
15+15+20=50(通り)
答え 50通り
(3)
12=3×4なので、12の倍数は3の倍数と4の倍数の両方の条件を満たす必要があります。
(1)、(2)より、個数の少ない4の倍数に着目します。
(1)で場合分けした6通りについて、下2桁の数の和を見ていきます。
下2桁の数の和を3で割った余りが1のときは、3で割った余りが2の数が百の位になりますので、百の位は2か5の2通りです。
2×2=4(通り)
下2桁の数の和を3で割った余りが2のときは、3で割った余りが1の数が百の位になりますので、百の位は1か4の2通りです。
2×2=4(通り)
下2桁の数の和を3で割った余りが0のときは、3で割った余りが0の数が百の位になりますので、百の位は3の1通りです。
1×2=2(通り)
4+4+2=10(通り)
答え 10通り
本問は倍数の条件と場合の数が融合した問題で、倍数に関する知識と順序よく整理する力が確認できます。
解答例では「3で割った余り」に着目しましたが、これを用いずに解いても構わないと思います。
今回は、2022年度の女子中の入試で出された「場合の数」の中から、「三角形作り」と「数作り」をご紹介しました。
いずれも入試でよく出される問題の1つですから、この単元を習い終えていたらどの程度までマスターできているかをチェックしてみましょう。