第592回 女子中の入試問題 文章題 5
「第592回 女子中の入試問題 文章題 5」
これまで2022年度の女子中の入試問題から、「文章題」について見てきています。
今回のテーマは仕事算の一行問題です。
基本レベルの問題が中心ですので、習い終えていましたら基礎ができているかを確認してみましょう。
では、1問目です。
【問題】Aさんが1人でやるとちょうど6分かかり、Bさんが1人でやるとちょうど10分かかる仕事があります。この仕事を、AさんとBさんが2人でやると、何分何秒かかりますか。
(吉祥女子中学校 2022年 問題1-(3))
【考え方】
仕事算には、大きく分けると「人名のある仕事算」、「人名のない仕事算」の2種類があります。
本問は「人名のある仕事算」ですので、仕事全体を1として条件を整理します。
1÷6=1/6 … Aさんが1分間にする仕事の量
1÷10=1/10 … Bさんが1分間にする仕事の量
1/6+1/10=4/15 … AさんとBさんの2人が1分間にする仕事の量
1÷4/15=3 3/4(分)
3/4×60=45(秒)
答え 3分45秒
本問は、仕事算の基本が確認できる問題です。
ここでは「仕事全体」=1としましたが、次のように「仕事全体=時間の最小公倍数」とする解き方もあります。
(別解)
L.C.M.(6、10)=30 … 仕事全体
30÷6=5 … Aさんが1分間にする仕事の量
30÷10=3 … Bさんが1分間にする仕事の量
30÷(5+3)=3.75(分)→3分45秒
2問目も、基本レベルの問題です。
【問題】ある仕事を完成させるのに、Aさんが1人ですると8時間、Bさんが1人ですると6時間、Cさんが1人ですると5時間かかります。この仕事をBさんとCさんが1時間30分行い、残りをAさんが行いました。Aさんが働いた時間は何時間何分ですか。
(田園調布学園中等部 2022年 問題1-(4))
【考え方】
1問目の別解のように、仕事全体を時間の最小公倍数として解いてみます。
L.C.M.(8、6、5)=120 … 仕事全体
120÷8=15 … Aさんが1時間にする仕事の量
120÷6=20 … Bさんが1時間にする仕事の量
120÷5=24 … Cさんが1時間にする仕事の量
ここで仕事の様子を線分図に整理してみます。
(20+24)×1.5=66 … BさんとCさんが1.5時間働いたときの仕事の量
120-66=54 … 残りの仕事の量
54÷15=3.6(時間)
0.6×60=36(分)
答え 3時間36分
本問も、基本問題の1つのパターンである「手分けして行う仕事算」です。
正解できないときは、線分図などを利用して仕事の様子を整理してみましょう。
3問目は、基本レベルの中ではやや難しい問題です。
【問題】ある仕事を仕上げるのに、AさんとBさんの2人では20日、BさんとCさんの2人では30日、CさんとAさんの2人では40日かかります。Aさんが1人だけで仕事をすると、この仕事を仕上げるのに( )日かかります。
(横浜共立学園中学校 2022年 問題1-(6))
【考え方】
この問題も仕事全体を日数の最小公倍数として解いてみます。
L.C.M.(20、30、40)=120 … 仕事全体
120÷20=6 … AさんとBさんが1日にする仕事の量
120÷30=4 … BさんとCさんが1日にする仕事の量
120÷40=3 … CさんとAさんが1日にする仕事の量
わかったことを整理すると次のようになります。
整理すると「3つの消去算」になっていることに気づけます。
120÷2.5=48(日)
答え 48(日)
本問は、仕事算と消去算が組み合わさった問題です。
1、2問目は仕事算の基本問題でしたが、3問目のように他の文章題と組み合わさった問題もよく出題されます。
4問目は3問目と似ていますが、注意しなければいけない条件があります。
【問題】ある品物を500個作る仕事を、AとBの2人が毎日行うと56日目に終了します。同じ仕事をAとCの2人が毎日行うと46日目に終了し、BとCの2人が毎日行うと42日目に終了します。A、B、Cはそれぞれ1日に何個の品物を作りますか。ただし、A、B、Cが1日に作る品物の個数はそれぞれ一定で、整数であるとします。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図などを書きなさい。
(洗足学園中学校 2022年 問題3-(3))
【考え方】
3問目とのちがいは「○日目」のように「目」がついている部分です。
AとBが仕事をすると56日目に終了するということは、「55日分の仕事の量は500個より少なく、56日分の仕事の量は500個以上」という意味です。
ですから、AとBが1日に作る品物の個数は
500÷55=9.0…(個)より少なく
500÷56=8.9…(個)以上
ということになります。
作る品物の個数は「整数」という条件がありますから、AとBが1日に作る品物の個数は9個です。
他の条件も、同じように考えていきます。
500÷45=11.1…
500÷46=10.8…
A+C=11(個/日)
500÷41=12.1…
500÷42=11.9…
B+C=12(個/日)
ここから先は3問目と同じく、消去算です。
答え A 4個、B 5個、C 7個
本問は、仕事全体が500個と与えられていますので仕事算の要素は少ないのですが、「○日目」という条件は他の仕事算の問題でも出てくることがあります。
この問題などを通して「(ちょうど)○日」と「○日目」のちがいに注意が必要なことをおさえておきましょう。
今回は、2022年度の女子中の入試で出された、仕事算の一行問題をご紹介しました。次回は、大問形式の仕事算の問題を予定しています。