第582回 女子中の入試問題 立体図形 1
「第582回 女子中の入試問題 立体図形 1」
前回まで、近年の女子中の入試で出された「平面図形」の問題を取り扱ってきました。
今回からは「立体図形」について見ていきます。
はじめに取り扱うテーマは「展開図」です。
【問題】下の展開図を組み立ててできる立体の体積は何㎤ですか。
(品川女子学院中等部 2021年 問題2-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
長方形と正方形と三角形からなる展開図ですので、組み立てると長方形と正方形が側面、三角形が底面の三角柱になることがわかります。
3㎝×4㎝÷2×3㎝=18㎤
答え 18㎤
本問は、柱体の側面が展開図の長方形や正方形であることを確認ができる基本問題でした。
では、2問目です。
【問題】下図はある立体の展開図で、長方形か円、または円の一部を組み合わせた形をしています。この展開図からできる立体の体積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(東洋英和女学院中学部 2021年 問題7)
【考え方】
前問で見たように柱体の側面が展開図では長方形や正方形になることから、求める立体が円柱の一部であることがわかります。
4㎝×4㎝×3.14×10㎝=160㎤×3.14 … もとの円柱の体積
4㎝×4㎝×3.14×90度/360度×6㎝=24㎤×3.14 … 取り除かれた部分の体積
(160㎤-24㎤)×3.14=427.04㎤
答え 427.04㎤
本問も文中の「長方形か円、または円の一部を組み合わせた形」から、円柱からその一部を取り除いた立体だとわかる問題で、柱体は側面が長方形や正方形、すい体は側面が三角形という基本の知識が確認できます。
それでは、最後の問題です。
【問題】下の図のような展開図を組み立てて、直方体を組み合わせた形の密閉された容器を作ります。この容器の中には1060㎤の水が入っています。次の( )に当てはまる数を求めなさい。
(1)できた容器の表面積は( )㎠です。
(2)できた容器の容積は( )㎤です。
(3)できた容器を影をつけた部分が下の底面になるように机の上に置くと、水の深さは( )㎝になります。
(横浜共立学園中学校 2021年 問題5 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
立体の表面積は展開図の面積と等しいですから、見取り図をかかなくても計算ができます。
はじめに、組み立てると重なる辺に着目して底面の各辺の長さを求め、その面積を計算します。
(10㎝+2㎝)×15㎝-2㎝×3㎝-7㎝×2㎝=160㎠ … 底面積
側面は8つの長方形を合わせた長方形で、縦の長さは10㎝、横の長さは底面の周りの長さと同じです。
次の図のように、底面の周りの長さが縦12㎝、横15㎝の長方形の周りの長さと等しいことを利用すると、
(10㎝+2㎝+15㎝)×2×10㎝=540㎠ … 側面積
のように求められます。
160㎠×2+540㎠=860㎠
答え 860(㎠)
(2)
問題文中に「直方体を組み合わせた形」とありますから、斜線部分を底面とする八角柱であることがわかります。
160㎠×10㎝=1600㎤
答え 1600(㎤)
(3)
影をつけた部分が下の底面になるように容器を机の上に置いたときの見取り図は、次のようになります。
容積が1600㎤の容器に1060㎤の水を入れると、すき間(空気の部分)の体積は
1600㎤-1060㎤=540㎤
です。
容器の上側の体積(下の図の赤色斜線部分)が
10㎝×15㎝×5㎝=750㎤
ですから、水面はこの部分にあることがわかります。
540㎤÷(10㎝×15㎝)=3.6㎝ … すき間(直方体)の高さ
10㎝+2㎝-3.6㎝=8.4㎝
答え 8.4(㎝)
本問は、角柱の底面の周りの長さが展開図の側面の横の長さの和と等しいとわかっているかが確認できる問題でした。
また、底面の周りの長さを求めるときに8つの側面(長方形)の横の長さをひとつずつ足していかなくてもよいことや、すき間が小さいので容器の上側から計算するなどの工夫ができる問題でもありました。
今回は、近年の女子中入試の中から「立体図形の展開図」をテーマにした問題をご紹介しました。
「立体図形」では、3問目のように見取り図をかくと解きやすくなる問題もありますので、ふだんから自分の手で図をかく練習をしておくことがとても大切だと思います。