第581回 女子中の入試問題 平面図形 7
「第581回 女子中の入試問題 平面図形 7」
これまで近年の女子中の入試で出された「平面図形」の問題を取り扱ってきました。
今回は「平面図形」の最終回として、「点の移動」から始まり「角(平面図形の性質)」、「辺の比と面積比」も登場してくる平面図形の総合問題です。
【問題】<図1>のように辺ABと辺ADの長さの比が2:3、あ○とい○の角度の比が2:1で、面積が60㎠の平行四辺形ABCDがあります。この辺上を、点Pが頂点Bを出発して、B→C→D→Aと移動します。点Pは一定の速さでしばらく進んでから、途中で速さを1/2倍に変えて、そのままの速さで進みます。
このとき、点PがBを出発してからDに到着するまでの時間と、三角形PABの面積との関係を表したものが<図2>のグラフです。
次の問いに答えなさい。
(1)点Pの速さが1/2倍になったのは、点PがBを出発してから何秒後ですか。
(2)点PがAに到着したのは、点PがBを出発してから何秒後ですか。
(3)点PがBを出発してから30秒後の三角形PABの面積を求めなさい。
(4)<図3>のように点PがBを出発してから何秒後かに、○印をつけた3つの角度がすべて同じ大きさになりました。
①点PがBを出発してから何秒後ですか。途中の式や考え方も書きなさい。
②AB:ACをもっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(5)<図4>のように点PがBを出発してから何秒後かに、色のついた部分の面積が12㎠となりました。点PがBを出発してから何秒後ですか。
(横浜雙葉中学校 2021年 問題3)
【考え方】
(1)
グラフより、12秒後に三角形PABの面積が初めて30㎠になることが読み取れます。
30㎠は平行四辺形ABCDの面積60㎠の半分ですから、12秒後に点PはCに到着したことがわかります。
AB:AD=2:3より、AB=16、AD=24とします。
※点Pの速さが整数で表せるので計算がしやすくなりますが、2:3のままでもOKです。
24÷12秒=2/秒 … 点Pのはじめの速さ
2/秒÷2=1/秒 … 点Pのあとの速さ
グラフは「Dに到着するまで」を表していると問題文にありますから、点PはCからDまでの16の距離を
23秒-12秒=11秒
で移動したことになります。
つるかめ算の考え方を利用して、
(16-1/秒×11)÷(2/秒-1/秒)=5秒 … 点Pがはじめの速さでCから進んだ時間
12秒+5秒=17秒後
答え 17秒後
(2)
23秒+24÷1/秒=47秒後
答え 47秒後
(3)
<図2>のグラフを完成させます。
30秒後の面積は下の相似な三角形(赤色の斜線部分)を利用すると、
30㎠×17/24=21.25㎠
とわかります。
答え 21.25㎠
※面積が毎秒1.25㎠減ることや、下の図のように高さの等しい三角形の面積比から求めることもできます。
(4)-①
ADとBCは平行ですから角ACB=○です。
さらに
三角形APCの外角BPA=角PAC+角PCA=○×2
です。
ABとCDは平行なので角ACD=○×2ですから、三角形ABPと三角形ADCは相似です。
相似比はAB:AD=2:3なので、
CD=3□=16
BP=2□=16×2/3=32/3
です。
BC上での点Pの速さは2/秒ですから、
32/3÷2/秒=16/3秒後
とわかります。
答え 5 1/3秒後
(4)-②
①からわかる長さを図にかきこみます。
三角形APCは二等辺三角形なので、
AP=CP=40/3
です。
さらに、三角形ABPと三角形ADCの相似比が2:3なので、
AC=AP×3/2=40/3×3/2=20
とわかります。
よって、
AB:AC=16:20=4:5
です。
答え 4:5
(5)
<図4>の三角形ABPの面積は<図2>のグラフより30㎠です。
※グラフを用いず、平行四辺形の面積の半分と考えてもOKです。
30㎠-12㎠=18㎠ … 三角形ABEの面積
三角形ABEと三角形APEは高さが等しい三角形ですから、
面積比 18㎠:12㎠=3:2
↓
底辺の比 BE:PE=3:2
とわかります。
三角形ABEと三角形CPEは相似で、相似比は
BE:PE=3:2=AB:CP
です。
16×2/3=32/3 … CPの長さ
(1)より、点Pの速さはCを出発してから5秒後に1/2倍になったので、その5秒間に進む距離は
2/秒×5秒=10
残りの
32/3-10=2/3
は1/秒の速さで進みます。
12秒+5秒+2/3÷1/秒=17 2/3秒後
答え 17 2/3秒後
本問の前半は点が移動する様子を図形とグラフから読み取り、後半は平行線と角の大きさ、三角形の外角、高さが等しい三角形や相似な三角形、そして最後にもう一度点の移動が関係してくる、平面図形の総合問題でした。
平面図形の性質、辺の比と面積比を習い終えていましたら、平面図形で学んだいろいろな知識や解法が確認できますので、一度取り組んでみるとよいと思います。