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第579回 女子中の入試問題 平面図形 5

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図形の練習問題 2022年04月30日18時00分

「第579回 女子中の入試問題 平面図形 5」

近年の女子中の入試で出された「平面図形」の中から「辺の比と面積比」について考えています。

今回は、正方形や長方形などの四角形と面積の比がテーマとなっている問題を見ていきます。

 

1問目は、2022年度の入試で出された問題です。

 

【問題】下の図の四角形ABCDは長方形で、EF、GHは長方形の縦の辺に、IJは横の辺にそれぞれ平行です。また、長方形ABHGの対角線BGは、EFとIJの交点Kを通ります。四角形AIKEが正方形で、長方形KFHLと長方形GLJDの面積の比が1:3、LHとLJの長さの比が4:9です。次の問いに答えなさい。

(1)正方形AIKEと長方形KFHLの面積の比を最も簡単な整数の比で答えなさい。

(2)正方形AIKEの面積が24㎠のとき、長方形ABCDの面積を答えなさい。

(浦和明の星女子中学校 2022年 問題1-(7))

 

【考え方】

(1)

長方形ABHGの部分だけを抜き出すと「見やすい」です。

対角線BGは3つの長方形ABHG、IBFK、EKLGの面積をそれぞれ2等分します。

図より、

正方形AIKEの面積=☆-(★+◎)

長方形KFHLの面積=☆-(★+◎)

なので、正方形AIKEの面積と長方形KFHLの面積は同じです。

答え 1:1

 

(2)

はじめに与えられている数値を図に書きこみます。

上の図で、KLとGLの長さの比は面積の比÷辺の比より、

(1÷4):(3÷9)=③:④

とわかります。

面積比 正方形AIKE:長方形KFHL=1:1

横の長さの比 IK:KL=④:③

縦の長さの比 AI:HL=(1÷④):(1÷③)=3:4

AI=IK=12□として、各辺の長さを□で表します。(比合わせ)

正方形AIKEの面積:長方形ABCDの面積

=12×12:28×57

=12:133

24㎠×133/12=266㎠

答え 266㎠

 

本問は、辺の長さの比の積が面積の比になることを利用して解く問題でした。

なお、上記の他に高さが等しい四角形の面積比を利用した解き方もあります。

 

2問目は正方形と直角二等辺三角形に関する問題です。

 

【問題】次の問いに答えなさい。

(1)図1のように、一辺の長さが4㎝の正方形Xと、一辺の長さが5㎝の正方形Yがあり、それぞれに2本の対角線を引いてあります。

① 図2において、正方形Xの影の部分と正方形Yの影の部分の面積の比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。

② 図3において、正方形Xの影の部分と正方形Yの影の部分の面積の比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。

(2)図4のように、2つの直角二等辺三角形ABC、DEFがあります。三角形ABCと三角形DEFの面積の比は18:25です。

① ABとDFの長さの比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。

② ACとDEの長さの比をもっとも簡単な整数の比で答えなさい。

(3)図5のように、2つの直角二等辺三角形ABC、ADEがあります。三角形ABCと三角形ADEの面積の比は25:98です。ABとAEの長さの比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。

(4)図6のように、2つの直角二等辺三角形ABC、ADEがあります。三角形BEFを三角形DFCの面積の比は49:50です。

① ABとBEの長さの比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。

② 三角形ABCと三角形ADEの面積の比をもっとも簡単な整数の比で答えなさい。

(吉祥女子中学校 2021年 問題4)

 

【考え方】

(1)-①

4×4÷2:5×5÷4

=32:25

答え 32:25

 

(1)-②

4×4÷4:5×5÷2

=8:25

答え 8:25

 

(2)-①

三角形ABCの面積の2倍の正方形と三角形DEFの面積の4倍の正方形で考えます。

AB×AB:DF×DF

=18×2:25×4

=9:25

AB:DF=3:5

答え 3:5

 

(2)-②

三角形ABCの面積の4倍の正方形と三角形DEFの面積の2倍の正方形で考えます。

AC×AC:DE×DE

=18×4:25×2

=36:25

AB:DF=6:5

答え 6:5

 

(3)

EからADに垂直な直線EFを引きます。

三角形ABCと三角形AEFは相似で面積の比が

25:(98÷2)

=25:49

ですから、相似比AB:AEは5:7です。

答え 5:7

 

(4)-①

DからBCに垂直な直線DGを引きます。

三角形BEFと三角形GDFは相似で面積の比が

49:(50÷2)

=49:25

ですから、相似比BF:GFは7:5です。

 

AB=BC=BF+FG+GC=7+5+5=17

BE=BF=7

より、

AB:BE=17:7

答え 17:7

 

(4)-②

AE=AB+BE=17+7=24

より、

DH=24÷2=12

三角形ABCの面積:三角形ADEの面積

=17×17÷2:24×12÷2

=289:288

答え 289:288

 

本問は、小問(1)(2)で正方形と直角二等辺三角形の関係を確認することで、(3)(4)の補助線が見つけられる問題でした。

 

今回は、近年の女子中の入試で出された、四角形と面積比に関する問題をご紹介しました。

ひとつひとつの小問は決して難しくありませんが大問形式で出題されていますので、「この問題に用いる解法(知識)が何かを自分で見つける」練習にはとてもよい問題だと思います。

平面図形の一行問題ができるようになりましたら、今回のような大問形式の問題を用いて「解法を頭の中から引っ張り出す」練習に取り組んでみるとよいと思います。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2022年04月30日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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