小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 図形の練習問題  -> 第578回 女子中の入試問題 平面図形 4

第578回 女子中の入試問題 平面図形 4

このエントリーをはてなブックマークに追加
図形の練習問題 2022年04月16日18時00分

「第578回 女子中の入試問題 平面図形 4」

ここまで、近年の女子中の入試で出された「平面図形」の中から、「角の大きさ」、「面積を求める」問題について考えてきました。

今回取り扱うテーマは、等高図形や相似、隣辺比などの「辺の比と面積比」です。

 

はじめは定番の問題から見ていきます。

 

【問題】図のような長方形ABCDがあります。AE=2㎝、EB=1㎝、BF=3㎝、FC=2㎝であるとき、次の問いに答えなさい。

(1)AH:HFを最も簡単な整数の比で表しなさい。

(2)三角形BHFの面積は何㎠ですか。

(3)AG:GFを最も簡単な整数の比で表しなさい。

(4)AG:GH:HFを最も簡単な整数の比で表しなさい。

(立教女学院中学校 2021年 問題2)

 

【考え方】

(1)

三角形AHDと三角形FHBは2つの角が等しいので相似です。

その相似比は、

AD:FB=(3+2):3=5:3

ですから、AH:HFも5:3です。

答え 5:3

 

(2)

三角形AHDと三角形FHBの相似比は5:3ですから、高さの比も5:3です。

(2+1)㎝×3/8=9/8㎝ … 三角形FHBの高さ

3㎝×9/8㎝÷2=27/16㎠

答え 1 11/16㎠

(別解)

三角形BHAと三角形BHFは高さが等しい三角形ですから、面積比と底辺の長さの比(AH:HF)は同じです。(等高図形)

3㎝×3㎝÷2×3/8=27/16㎠

 

(3)

図のようにDEとBCを延長します。(角出し)

三角形AEDと三角形BEIは相似(2つの角が等しい)で、その相似比は

AE:BE=2:1

です。

よって、AD:BIも2:1なので、

BI=5㎝×1/2=2.5㎝

です。

三角形AGDと三角形FGIは相似(2つの角が等しい)で、その相似比は

AD:FI=5:(2.5+3)=10:11

なので、AG:GFも10:11です。

答え 10:11

 

(4)

(1)と(3)でわかったことを利用します。

AG+GF=AF=AH+HF

なので、

AG+GF=10+11=21

AH+HF=5+3=8

最小公倍数168をAFとします。(比合わせ)

GH=AF-(AG+HF)=168-(80+63)=25

答え 80:25:63

 

本問の(4)は、2組の相似を利用して解く定番問題で、(1)と(3)がその誘導となっていました。

ポイントは(3)で「相似完成」の補助線を見つけるところにありますが、上記以外の補助線を用いても相似を完成させることは可能です。

 

では、もう1問見ていきましょう。

 

【問題】図の平行四辺形ABCDはAE:ED=1:3で、ADとGFは平行です。

(1)BH:HF:FEを、最も簡単な整数の比で表しなさい。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。

(2)平行四辺形ABCDの面積は三角形FGHの面積の何倍ですか。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。

(鷗友学園女子中学校 2021年 問題3 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

はじめにBF:FEを求めるため、相似な三角形AFEと三角形CFBに着目します。

図より、

BF:FE=4:1

とわかります。

次にBH:HFを求めるため、相似な三角形BHCと三角形FHGに着目します。

図より、GFの長さが必要になりますので、先ほど求めた

BF:BE=4:5

を利用します。

GF=1×4/5=4/5

BH:HF=BC:FG=4:4/5=5:1

ここでBFに着目して比をそろえます。(比合わせ)

BH:HF:FE=10:2:3

答え 10:2:3

 

(2)

(1)で求めた

BH:HF:FE=10:2:3

より、

HF:BE=2:(10+2+3)=2:15

ですから、三角形FGHの高さと平行四辺形ABCDの高さの比も2:15です。

また、底辺の長さの比は、

GF:AD=4/5:(1+3)=1:5

です。

よって、

三角形FGHの面積:平行四辺形ABCDの面積=1×2÷2:5×15=1:75

です。

75÷1=75(倍)

答え 75倍

 

(別解) … 等高図形・相似の利用

三角形FGBの面積:三角形FGHの面積=(10+2):2=6:1

三角形FGBの面積:三角形EABの面積=4×4:5×5=16:25

三角形FGHの面積:三角形EABの面積=16/6:25=8:75

三角形EABの面積:平行四辺形ABCDの面積=1:(4+4)=1:8

三角形FGHの面積:平行四辺形ABCDの面積=8/75:8=1:75

 

本問の(1)は、前問の(4)と同様に2組の相似を利用する大切な問題でした。

また、(2)も辺の比と面積比の解き方が身についているかが確認できます。

 

今回は近年の女子中の入試で出された「辺の比と面積比」の定番問題を中心に見てきました。

次回も「辺の比と面積比」の問題を取り扱う予定ですので、まずは今回の問題で解法の定着度を確認してみましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加
図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2022年04月16日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.