第578回 女子中の入試問題 平面図形 4
「第578回 女子中の入試問題 平面図形 4」
ここまで、近年の女子中の入試で出された「平面図形」の中から、「角の大きさ」、「面積を求める」問題について考えてきました。
今回取り扱うテーマは、等高図形や相似、隣辺比などの「辺の比と面積比」です。
はじめは定番の問題から見ていきます。
【問題】図のような長方形ABCDがあります。AE=2㎝、EB=1㎝、BF=3㎝、FC=2㎝であるとき、次の問いに答えなさい。
(1)AH:HFを最も簡単な整数の比で表しなさい。
(2)三角形BHFの面積は何㎠ですか。
(3)AG:GFを最も簡単な整数の比で表しなさい。
(4)AG:GH:HFを最も簡単な整数の比で表しなさい。
(立教女学院中学校 2021年 問題2)
【考え方】
(1)
三角形AHDと三角形FHBは2つの角が等しいので相似です。
その相似比は、
AD:FB=(3+2):3=5:3
ですから、AH:HFも5:3です。
答え 5:3
(2)
三角形AHDと三角形FHBの相似比は5:3ですから、高さの比も5:3です。
(2+1)㎝×3/8=9/8㎝ … 三角形FHBの高さ
3㎝×9/8㎝÷2=27/16㎠
答え 1 11/16㎠
(別解)
三角形BHAと三角形BHFは高さが等しい三角形ですから、面積比と底辺の長さの比(AH:HF)は同じです。(等高図形)
3㎝×3㎝÷2×3/8=27/16㎠
(3)
図のようにDEとBCを延長します。(角出し)
三角形AEDと三角形BEIは相似(2つの角が等しい)で、その相似比は
AE:BE=2:1
です。
よって、AD:BIも2:1なので、
BI=5㎝×1/2=2.5㎝
です。
三角形AGDと三角形FGIは相似(2つの角が等しい)で、その相似比は
AD:FI=5:(2.5+3)=10:11
なので、AG:GFも10:11です。
答え 10:11
(4)
(1)と(3)でわかったことを利用します。
AG+GF=AF=AH+HF
なので、
AG+GF=10+11=21
と
AH+HF=5+3=8
の最小公倍数168をAFとします。(比合わせ)
GH=AF-(AG+HF)=168-(80+63)=25
答え 80:25:63
本問の(4)は、2組の相似を利用して解く定番問題で、(1)と(3)がその誘導となっていました。
ポイントは(3)で「相似完成」の補助線を見つけるところにありますが、上記以外の補助線を用いても相似を完成させることは可能です。
では、もう1問見ていきましょう。
【問題】図の平行四辺形ABCDはAE:ED=1:3で、ADとGFは平行です。
(1)BH:HF:FEを、最も簡単な整数の比で表しなさい。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。
(2)平行四辺形ABCDの面積は三角形FGHの面積の何倍ですか。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。
(鷗友学園女子中学校 2021年 問題3 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
はじめにBF:FEを求めるため、相似な三角形AFEと三角形CFBに着目します。
図より、
BF:FE=4:1
とわかります。
次にBH:HFを求めるため、相似な三角形BHCと三角形FHGに着目します。
図より、GFの長さが必要になりますので、先ほど求めた
BF:BE=4:5
を利用します。
GF=1×4/5=4/5
BH:HF=BC:FG=4:4/5=5:1
ここでBFに着目して比をそろえます。(比合わせ)
BH:HF:FE=10:2:3
答え 10:2:3
(2)
(1)で求めた
BH:HF:FE=10:2:3
より、
HF:BE=2:(10+2+3)=2:15
ですから、三角形FGHの高さと平行四辺形ABCDの高さの比も2:15です。
また、底辺の長さの比は、
GF:AD=4/5:(1+3)=1:5
です。
よって、
三角形FGHの面積:平行四辺形ABCDの面積=1×2÷2:5×15=1:75
です。
75÷1=75(倍)
答え 75倍
(別解) … 等高図形・相似の利用
三角形FGBの面積:三角形FGHの面積=(10+2):2=6:1
三角形FGBの面積:三角形EABの面積=4×4:5×5=16:25
三角形FGHの面積:三角形EABの面積=16/6:25=8:75
三角形EABの面積:平行四辺形ABCDの面積=1:(4+4)=1:8
三角形FGHの面積:平行四辺形ABCDの面積=8/75:8=1:75
本問の(1)は、前問の(4)と同様に2組の相似を利用する大切な問題でした。
また、(2)も辺の比と面積比の解き方が身についているかが確認できます。
今回は近年の女子中の入試で出された「辺の比と面積比」の定番問題を中心に見てきました。
次回も「辺の比と面積比」の問題を取り扱う予定ですので、まずは今回の問題で解法の定着度を確認してみましょう。