第577回 女子中の入試問題 平面図形 3
「第577回 女子中の入試問題 平面図形 3」
近年の女子中の入試で出された問題の中から「平面図形」について見てきています。
前回までは「角の大きさ」をテーマとしましたが、今回は「面積を求める問題」を取り扱います。
【問題】下図の曲線はすべて円か半円か円の1/4です。影の部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(東洋英和女学院中学部 2021年 問題3-(1))
【考え方】
影のついた部分は「名前のない」図形=面積の公式がない図形です。
このような場合は、
① 分ける
② 全体から引く
の利用を考えるようにします。
ここでは、「全体から引く」が利用できます。
下の図のように、全体は半円2つと四分円1つです。
ここから問題図の白い部分(円1つ)を引くと、影の部分が残ります。
上の「図形式」より、全体の一部である半円2つ分の面積と、引く円の面積は同じですから、影の部分の面積は四分円の面積と等しいことがわかります。
18㎝×18㎝×3.14÷4=254.34㎠
答え 254.34㎠
本問は、「面積の公式がない図形の面積を求めるときは、図形を分ける・全体から引く」という基本的な考え方の確認ができる問題でした。
面積を求める問題の基本
1 面積の公式を用いる。
2 分ける・全体から引く
面積を求める問題のポイント
図形式を書く
では、2問目です。
【問題】下の図は、三角形ABCを、点Aを中心に90°回転させたものです。斜線部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(晃華学園中学校 2021年 問題1-(5))
【考え方】
図形の回転(回転移動)と面積がテーマの問題です。
ここでも求める斜線部分が面積の公式のない図形ですから、先ほどと同様に、「分ける」「全体から引く」が使えないかを考えます。
上の「図形式」より、半径15㎝の四分円1つと三角形(全体)の面積から、半径12㎝の四分円1つと三角形の面積を引けばよいことがわかります。
★の面積が同じですから、斜線部分の面積は
15㎝×15㎝×3.14÷4-12㎝×12㎝×3.14÷4=63.585㎠
です。
答え 63.585㎠
(別解)
下の図のように、半径12㎝の四分円の弧を延長すると、赤線で囲まれた部分を移動させることができます。(「等積移動」と言います。)
図より、斜線部分の面積=2つの四分円の面積の差とわかります。
本問は、全体から引くという解き方のほかに、等積移動という解き方もある問題でした。
等積移動は、面積を求める他の問題でも使うことがありますので、解法知識の1つとして身につけておきましょう。
では3問目です。
【問題】半径3㎝の円の円周を下の図のように12等分します。ABの長さが5.2㎝のとき、影をつけた部分の面積を求めなさい。(円周率は3.14とします。)
(横浜共立学園中学校 2021年 問題1-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
「円問題」と言われる問題です。
円問題で面積の公式のない図形の面積を求めるときは、「円周上の点と円の中心を結ぶ(半径)」を補助線として利用することができます。
補助線を引くと、求める図形は中心角が120度のおうぎ形と三角形に分かれます。
また、A、BはCDについて線対称の位置にありますからABとCDは直角に交わり、
AE=5.2㎝÷2=2.6㎝
です。
さらに、
角AOC=360度÷12×2=60度
ですから、角EAO=30度とわかります。
三角形EAOは3つの角の大きさが90度、30度、60度の直角三角形ですから、OAを1辺とする正三角形の半分とわかり、
OE=3÷2=1.5㎝
です。(「30度問題」と呼ばれることがあります。)
3㎝×3㎝×3.14×120度/360度+1.5㎝×2.6㎝÷2=11.37㎠
答え 11.37㎠
本問は、円問題で困ったときに引く補助線が円周上の点と円の中心を結ぶ半径であることと30度問題の知識を確認することができます。
円問題の補助線
円周上の点と円の中心を結ぶ(半径)
30度問題
今回は、近年の女子中の入試で出された面積を求める問題をご紹介しました。
面積を求めるときは、面積の公式、分ける・全体から引くといった基本に加えて、図形式の利用、等積移動、円問題の補助線、30度問題などの解法知識を利用します。
解法知識はこれ以外にも多くありますので、習うたびに一つ一つを整理して、問題に応じて使えるようにしておきましょう。