第575回 女子中の入試問題 平面図形 1
「第575回 女子中の入試問題 平面図形 1」
近年の女子中の入試問題について見てきています。
前回までは「速さ」について考えましたが、今回からは「平面図形」の問題を取り扱っていきます。
1回目のテーマは「角の大きさ」です。
【問題】下の図で、半円上にある点は半円の弧を6等分する点です。このとき、印をつけた角の大きさは何度ですか。
(吉祥女子中学校 2021年 問題1-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
半円を用いた「円問題」です。
円問題の基本
円周上の点と円の中心を結ぶ → 二等辺三角形やおうぎ形ができる
次の図のように、半円の中心Oと円周上の点Q、Rを結びます。
図の中に、二等辺三角形OAQ、OBRができます。
180度÷6=30度
30度×2=60度 … 角AOQ
(180度-60度)÷2=60度 … ○
30度×3=90度
(180度-90度)÷2=45度 … ×
180度-(60度+45度)=75度
答え 75度
本問は「円問題」の補助線がマスターできているかを確認できる問題でした。
補助線は、「円の中心と結ぶと二等辺三角形ができる」のように目的とセットで覚えておくと、補助線を引いた後の着目点に気づきやすくなります。
では、2問目です。
【問題】下の図のように正九角形の対角線を2本ひきました。角xの大きさは何度ですか。
(品川女子学院中等部 2021年 問題3-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
正多角形が円にピッタリと入る(「内接する」と言います)ことが利用できます。
円がでてきましたから、前問と同じように円周上の点A、B、C、Dと中心Oを結んでみます。
二等辺三角形OABに着目します。
360度÷9=40度
40度×4=160度 … 角AOB
(180度-160度)÷2=10度 … 角OAB
二等辺三角形OCDに着目します。
40度×3=120度
(180度-120度)÷2=30度 … 角OCD
ブーメラン四角形OACPに着目します。
80度+10度+30度=120度 … 角APC
180度-120度=60度
答え 60度
(別解)…□角形の内角の和=180度×(□-2)の利用
180度×(9-2)÷9=140度 … 正九角形の1つの内角の大きさ
{180度×(5-2)-140度×3}÷2=60度 … ●
140度-60度=80度 … ○
(360度-140度×2)÷2=40度 … △
180度-(80度+40度)=60度
本問は、正多角形が円に内接することを利用すると、「円問題」として考えることができますし、別解のように、□角形の内角の和の公式を用いても解くことができる問題です。
いずれの知識も、角の大きさの問題を解く上では大切ですから、もし正解できなかったときはよく復習しましょう。
最後に、もう1問見ていきます。
【問題】下の図は長方形の紙を折り返したものです。印をつけた角の大きさは何度ですか。
(東洋英和女学院中学部 2021年 問題3-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
最後は「折り返し」の問題です。
折り返しの基本
折り返した図形はもとの図形と合同
はじめに長方形の向かい合う辺が平行であることを利用します。
次に、折り返した図形はもとの図形と合同ですから、
180度-72度=108度 … ●
108度-72度=36度 … ○
とわかります。
180度-(90度+36度)=54度
答え 54度
(別解)
折り返した図形がもとの図形と合同であることをはじめに利用し、下の図のように時計回りに考えていくこともできます。
本問は、折り返しの基本問題です。
折り返した図形が合同であることや平行線と角の関係が身についているか、このような問題で確認しておきましょう。
今回は、近年の女子中の入試で出題された平面図形の1回目として、角の大きさに関する基本的な問題をご紹介しました。
このような問題に取り組んで基本の解き方をマスターし、大問形式の問題でも正解が増やせるといいですね。