第574回 女子中の入試問題 速さ 7
「第574回 女子中の入試問題 速さ 7」
これまで2021年度の中学入試において女子中で出された「速さ」の問題から、「旅人算」と「流水算」を見ました。
今回は「速さ」の最後として、「通過算」と「時計算」の問題を取り扱います。
まずは、「通過算」からです。
【問題】毎分1380mで走っている列車が284mの鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまでに18秒かかりました。この列車が675mのトンネルに入り始めてから通り抜けるまでにかかる時間は何秒ですか。
(横浜共立学園中学校 2021年 問題1-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
問題の条件を図に表します。
通過算の図をかくときは、
1 列車の1点(先頭や最後尾)の動きに着目する
2 図は縦に並べる
が基本です。
1380m÷60秒=23m/秒 … 列車の秒速
通過算の図は線分図ですから→に距離を書きます。
414m-284m=130m … 列車の長さ
(130m+675m)÷23m/秒=35秒
答え 35秒
本問は通過算の基本レベルの問題です。
正解できないときは正しい図がかけているかを確認してみましょう。
では、もう1問、通過算の問題です。
【問題】秒速25mの列車Aと秒速40mの列車Bがあり、列車Bの長さは列車Aの長さの2倍です。列車Aはトンネルに入り始めてから出終わるまでに20秒かかりました。列車Bが同じトンネルの中に完全にかくれていた時間は8秒でした。このトンネルの長さは何mですか。
(淑徳与野中学校 2021年 問題2-(1))
【考え方】
前問同様、図をかきます。
このとき、トンネルの出口側で→をそろえると比べやすくなります。
①+②=500m-320m
①=60m
500m-60m=440m
答え 440m
本問は2つの図を比べて解く問題でした。
図を
のようにかいても解けますが、少しわかりにくいと感じるようでしたら、着目する点を変えてみる(例:最後尾を先頭に変える)と考えやすくなることがあります。
最後は、「時計算」の問題です。
【問題】下の図のように特別な時計があります。
この時計は、長針は1時間で1周、短針は1日で1周します。図は8時40分を表しています。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)16時24分のとき、2つの針が作る小さい方の角度は何度ですか。
(2)4時から5時までの間で、2つの針がちょうど重なるのは4時何分ですか。
(3)8時から9時までの間で、2つの針が一直線になるのは8時何分と8時何分ですか。
(淑徳与野中学校 2021年 問題6 問題文一部変更)
【考え方】
時計算も通過算と同じように図をかくことが基本の解き方です。
このとき、□時0分の図をかいておくと考えやすくなります。
(1)
360度÷24=15度
15度×16=240度 … 16時0分のときの2つの針の角度
360度÷60分=6度/分 … 長針の動く速さ
6度/分×24分=144度 … 長針が「24」から動いた角度
15度÷60分=0.25度/分 … 短針の動く速さ
0.25度/分×24分=6度 … 短針が「16」から動いた角度
240度+6度-144度=102度
答え 102度
(2)
2つの針が重なる問題や一直線になる問題では、短針を止めた図をかくと解きやすいです。
図では短針を止めています。
時計算は「長針が短針を追いかける旅人算」ですから、この問いで用いる速さは「長針と短針の速さの差」です。
60度÷(6度/分-0.25度/分)=240/23分
答え 4時10 10/23分
(3)
120度÷(6度/分-0.25度/分)=480/23分 … 1回目
300度÷(6度/分-0.25度/分)=1200/23分 … 2回目
答え 8時20 20/23分と8時52 4/23分
本問は「変わり時計」の問題ですが、2つの針が1分間に動く角の大きさを利用する点は基本の時計算と同じです。
まちがえるようでしたら、□時0分の図をかいているか、針が動く速さは正確かなどをチェックしましょう。
今回は、2021年度に女子中の入試で出された「速さ」の問題の中から、「通過算」と「時計算」について考えました。
これらは「問題の条件を図にする」ことが問題を解くときの基本です。
直線上になるか円形になるかの違いはありますが、考え方は通常の線分図と同じ「→に距離(または角度)をかく」が原則です。
ご紹介した問題は基本レベルから中級レベルですので、通過算や時計算が既習範囲であれば、学習の定着度を確認するのに利用してみてください。