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第573回 女子中の入試問題 速さ 6

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速さの練習問題 2022年02月05日18時00分

「第573回 女子中の入試問題 速さ 6」

前回は2021年度の中学入試において女子中で出された「速さ」の問題のうち、「流水算」について考えました。

今回は同じ「流水算」の中からグラフ問題を取り扱います。

 

【問題】静水での速さが同じ船A、Bがあります。船A、Bはある川に沿って20kmはなれた上流のなでしこ町と下流の田園町を往復します。8時に船Aはなでしこ町を出発し、同時に船Bは田園町を出発しました。下のグラフは、そのときの船A、Bの往復の様子を表しています。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)船A、Bの静水での速さは時速何kmですか。また、川の流れの速さは時速何kmですか。

(2)1回目に船A、Bがすれ違う場所は、なでしこ町から何km地点ですか。

(3)2回目に船A、Bがすれ違うのは何時何分か、求めなさい。また、なぜそうなるのかを図や式などを使って説明しなさい。

(田園調布学園中等部 2021年 問題2)

 

【考え方】

(1)

グラフから、20kmを船Aは40分で下り、船Bは50分で上っていることがわかります。

20km÷40/60時間=30km/時 … 船Aの下りの速さ

20km÷50/60時間=24km/時 … 船Bの上りの速さ

2つの船の静水時の速さは同じですから、速さの関係は次のようになります。

(30km/時-24km/時)÷2=3km/時 … 流速

24km/時+3km/時=27km/時 … 静水での速さ

答え 静水での速さ 時速27km、 川の流れの速さ 時速3km

 

(2)

ダイヤグラム解法の原則「相似」の利用です。

⑤+④=20km

①=20/9km

⑤=100/9km

答え 11 1/9km地点

 

(3)

(1)より、2つの船は下りに40分、上りに50分かかることがわかっています。

9:45+40分=10:25

9:15+50分=10:05

上のグラフについて、(2)と同じようにダイヤグラムの原則「相似」を用いても、旅人算の考え方で計算してもよいですが、今回はダイヤグラムの原則「等高三角形(山&谷)」を使って解いてみます。

速さの比 上り:下り=24km/時:30km/時=4:5

時間の比 上り:下り=⑤:④

⑤+④=10:25-9:15

⑨=70分

①=70/9分

9:15+70/9分×5=9:53 8/9

答え 9時53 8/9分

 

本問は流水算のグラフを読み取り、ダイヤグラムの5原則が利用できるかが確認できる基本問題です。

中学入試では「上りの速さ・下りの速さ・静水時の速さ・流速の関係」とグラフを組み合わせた問題もよく出されますので、「流水算」の基本を習い終えたら本問のような問題も練習してみましょう。

 

では、2問目です。

 

【問題】流れの速さが毎分36mの川の下流にア町、上流にイ町があります。この区間を2そうの船A、Bが往復しています。Aが上流に向かって進む速さとBが下流に向かって進む速さは同じです。この2そうの船A、Bが、ア町からイ町に向かって同時に出発しました。Aがイ町に到着したとき、Bはイ町より1728m下流の地点にいました。その後Aはすぐにア町に向かって戻り、途中Bとすれ違った後、出発してから40分後にア町に戻りました。下のグラフは、2そうの船がア町を出発してからの時間と、アまちからの距離を表したものです。ただし、静水時での船の速さはそれぞれ一定であるとします。

(1)静水時での船A、Bの速さの差は、毎分何mですか。

(2)静水時での船Aの速さは毎分何mですか。

(3)船A、Bが2度目にすれ違ったのは、ア町から何m上流の地点ですか。

(浦和明の星女子中学校 2021年 問題3)

 

【考え方】

(1)

問題文中の「Aが上流に向かって進む速さとBが下流に向かって進む速さは同じです」は、次のような線分図に表すことができます。

Aの静水時の速さ-Bの静水時の速さ=流速36m/分×2=72m/分

答え 毎分72m

 

(2)

船Aがイ町に着いたのは、2そうの船が出発してから2そうの船の距離の差が1728mになったときです。

1728m÷72m/分=24分 … 船Aが上りにかかる時間

40分-24分=16分 … 船Aが下りにかかる時間

時間の比 船Aの上り:船Aの下り=24分:16分=3:2

速さの比 船Aの上り:船Aの下り=②:③

船Aの静水時の速さ-流速36m/分=②

船Aの静水時の速さ+流速36m/分=③

③-②=36m/分×2

①=72m/分

72m/分×2+36m/分=180m/分

答え 毎分180m

 

(3)

これまでにわかったことから、

(180m/分-36m/分)×24分=3456m … アイ間の距離

180m/分-72m/分=108m/分 … 船Bの静水時の速さ

108m/分-36m/分=72m/分 … 船Bの上りの速さ

3456m÷72m/分=48分 … 船Bが上りにかかる時間

がわかります。

これらより、グラフは次のようになります。

ダイヤグラムの原則「相似」を利用します。

時間の比 16分:32分=1:2

距離の比 ①:②

①+②=3456m

①=1152m

②=2304m

答え 2304m

 

本問は(1)の正解がキーとなる問題で、流水算の速さの関係の理解が重要になっています。

 

今回は、2021年度に女子中の入試で出された「流水算」のグラフに関する問題をご紹介しました。

入試レベルの流水算の問題を解くためには、「上りの速さ・下りの速さ・静水時の速さ・流速の関係」という流水算の特徴に加えて、旅人算やダイヤグラムの5原則などいろいろな速さの知識が求められます。

流水算の応用問題が苦手なときは、流水算の基本は大丈夫か、旅人算など他の速さの問題が解けるかなどに分けて課題を見つけていくようにしましょう。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2022年02月05日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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