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第566回 女子中の入試問題 比と割合 3

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割合の練習問題 2021年10月30日18時00分

「第566回 女子中の入試問題 比と割合 3」

ここまで2021年度の女子中の入試で出された「比と割合」の問題について考えています。

前回は「比と割合」の文章題の基本を取り扱いました。

そこで今回は食塩水の問題について見ていこうと思います。

 

【問題】4つの容器A、B、C、Dがあります。容器Aには6%の食塩水、容器Bには4%の食塩水が入っています。次の(  )に当てはまる数を求めなさい。

(1)容器Aの食塩水をいくらか取り出して空の容器Cに入れ、そこへ容器Bの食塩水150gと水100gを加えてよく混ぜたところ、4%の食塩水ができました。容器Aから取り出した食塩水は(  )gです。

(2)容器Aの食塩水400gと容器Bの食塩水75gを取り出して空の容器Dに入れ、そこへ水125gを加えてよくかき混ぜました。このとき、容器Dの食塩水の濃さは(  )%です。

(3)容器Aの食塩水をいくらか取り出して(1)の容器Cの食塩水に加えてよく混ぜたところ、容器Cの食塩水の濃さは(2)の容器Dの食塩水の濃さと等しくなりました。容器Aから取り出した食塩水は(  )gです。

(横浜共立学園中学校 2021年 問題2 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)問題の条件を「塩分数(分母:食塩水の重さ、分子:食塩の重さ)」で表してみます。

容器Aからの食塩水の重さ、食塩の重さがわかりませんので、すぐに答えを求めることはできませんが、赤枠部分をまとめることができます。

(6g+0g)÷(150g+100g)×100=2.4%

まとめましたが、やはりこのままでは計算できませんから、面積図(天秤図でもOK)に表し直すことにします。(注:容器Aから食塩水を100○入れたとし、比例式や消去算を用いて計算することは可能です)

250×(4-2.4)=400 … ☆

★=☆なので

400÷(6-4)=200(g) … ★の横の長さ=容器Aから入れた食塩水の重さ

です。

答え 200

【別解】

A6%+B4%+水0%→C4%ですから、A6%+水0%→4%ということがわかり、これに着目して面積図で解く方法があります。

また、6%÷4%=1.5(倍)に薄めることから、1.5-1=0.5(倍)の水を加えたとする解き方もあります。

 

(2)問題の条件を「塩分数」で表してみます。

今回は「塩分数」をすべて埋めることができました。

27g÷600g×100=4.5%

答え 4.5%

 

(3)問題の条件を「塩分数」で表してみます。

今回も(1)と同様に計算できませんから、面積図を利用します。

450×(4.5-4)=225 … ☆

★=☆なので

225÷(6-4.5)=150(g) … ★の横の長さ=容器Aから入れた食塩水の重さ

です。

答え 150

 

本問は食塩水の問題を解く上で基本となる「塩分数」、「塩分数」だけで答えが求められないときに用いる面積図(または天秤図)を、問題の条件に応じて使い分けることができるかが確認できる問題でした。

 

 

では、もう1問、見ていきましょう。

 

【問題】ビーカーAには濃度10%の食塩水300g、ビーカーBには濃度5%の食塩水500gが入っており、ビーカーCとビーカーDは空でした。A、B、C、Dのビーカーを使って次のように操作①~操作③を順番に行います。

操作①A、Bそれぞれのビーカーから食塩水を200gずつ取り出して、ビーカーCに入れて混ぜます。

操作②ビーカーCにA、Bどちらか片方の残りの食塩水を加えて7%の溶液を作ります。

操作③A、Bの残りの食塩水を使ってビーカーDに7%の溶液を作ります。

(1)操作①終了時、ビーカーCの食塩水の濃さは何%ですか。

(2)操作②では、A、Bどちらの食塩水を何g加えましたか。

(3)操作③終了時、A、Bどちらか一方の食塩水をすべて使い果たすことになりました。このとき、A、Bどちらの食塩水が何g残っていますか。

(淑徳与野中学校 2021年 問題3)

 

【考え方】

(1)問題の条件を「塩分数」で表してみます。

30g÷400g×100=7.5%

答え 7.5%

 

(2)濃さに着目します。

□%+7.5%→7%

上の式で□%は7%よりも小さい値でなければいけませんから、加えた食塩水はビーカーBの食塩水だとわかります。

上の「塩分数」だけでは計算できません。

そこで、今回は面積図の代わりに天秤図を利用してみます。

④=400g

①=100g

答えB、100g

 

(3)ここでも天秤図を利用します。

操作②の後で残っている食塩水は、ビーカーAが100g、ビーカーBが200gです。

【ビーカーAを使い果たす場合】

②=100g

①=50g

③=150g

200g-150g=50g … ビーカーBに残る食塩水

【ビーカーBを使い果たす場合】

③=200g

①=200/3g

②=133 1/3g → ビーカーAの食塩水100gでは足りない

答えB、50g

 

本問も、前問と同様に「塩分数」と天秤図(または面積図)の使い分けがポイントでした。

特に、(3)では天秤図が使えると考えやすいでしょう。

 

 

今回は2021年度の女子中の入試問題から、「比と割合」の文章題として、食塩水の問題をご紹介しました。

上記の2問は、「塩分数」と面積図(または天秤図)という、食塩水の基本的な解き方を用いる問題です。

もし、食塩水の問題で困っているときは、これらの基本解法が身についているかをまずはチェックしてみましょう。

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