第563回 女子中の入試問題 数の性質 4
「第563回 女子中の入試問題 数の性質 4」
これまで3回にわたって2021年度の女子中の入試で出された「数の性質」の問題について考えてきました。
今回は「数の性質」の最終回として、大問形式の問題を見ていきます。
1問目は「規則性」に関する問題です。
【問題】図のように、ある規則にしたがって第1段、第2段、・・・の順に数が並んでいます。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)第8段の数の和を求めなさい。
(2)第50段の左から2番目の数を求めなさい。
(3)第101段の左から3番目の数を求めなさい。
(田園調布学園中等部 2021年 問題4)
【考え方】
(1)「和」についての問題ですから、各段の和に規則性がないかを調べます。
このとき、表をかくと規則性が見つけやすくなります。
上の表を見ると、「第□段目の和はその前の段の和の2倍」になっていることがわかります。
32×2=64 … 第7段の和
64×2=128 … 第8段の和
答え 128
(2)「左から2番目の数」についての問題ですから、左から2番目の数を表にしていきます。
上の表から、「第□段の左から2番目の数=□-1」となっていることがわかります。
50-1=49
答え 49
(3)「左から3番目の数」についての問題ですから、左から3番目の数を表にしていきます。
このとき、第7段についても調べて表の中に書き込める数を増やしておくと、より規則性が考えやすくなります。
上の表のように「増え方」も書いておくと、
第4段の左から3番目の数=第3段目の左から3番目の数+2
第5段の左から3番目の数=第4段目の左から3番目の数+3
第6段の左から3番目の数=第5段目の左から3番目の数+4
第7段の左から3番目の数=第6段目の左から3番目の数+5
・・・
となっていることがわかりやすくなります。
「たす数」は段の数よりも2小さい数となっていますから、
第101段目の左から3番目の数=(第3段の左から3番目の数 1)+2+3+4+5+…+99
です。
(1+99)×99÷2=4950
答え 4950
本問はいろいろな規則性が含まれている「パスカルの三角形」を題材とした問題でしたが、解き方の基本は他の規則性の問題と同じです。
「問われているもの」について番号をつけた表=「数列」を作ることで、規則が見つけやすくなります。
もう1問は、「数の大小関係」についての問題です。
【問題】4個の整数が小さい方から順にA、B、C、Dと並んでいます。この4個の整数の中から異なる3個を取り出してその和を計算したところ、14、21、28、(ア)となりました。次の問いに答えなさい。ただし、(ア)は28より大きい整数です。
(1)A+B+Dはいくつですか。
(2)C-Bはいくつですか。
(3)(ア)にあてはまる整数を答えなさい。
(吉祥女子中学校 2021年 問題3 問題文一部変更)
【考え方】4つの整数の中から3つの整数の和を作るということを、「4つの整数のうち、1つを選ばない」と読みかえ、それを利用して表を作ると次のようになります。
「大きい数を選ばない」と和は小さくなりますから、
和の大小関係は上の表のようになることがわかります。
(1)上の表から、A+B+D=21です。
答え 21
(2)「A+B+D」と「A+C+D」では、「A+D」が共通していますから、「3つの数の和」のちがいは、「BとCの差」と同じです。
表より、
A+B+D=21
A+C+D=28
28-21=7
答え 7
(3)表の「A+B+C=14」と(2)でわかったことを線分図に表してみます。
上の線分図より、
☆+★+★=14-7=7
となります。
☆<★なので、これにあてはまるのは、1+3+3だけです。
A(☆)=1、B(★)=3、C(★+7)=10とわかりましたので、(1)の「A+B+D=21」より、
D=21-(1+3)=17
と求められます。
(ア)=B+C+D=3+10+17=30
答え 30
本問は数の大小関係がテーマとなっており、定番の「異なる4つの整数から2数を選んだときの和」に関する問題の応用ともいえるものでした。
今回は、2021年度の女子中の入試で出された「数の性質」の最終回として、大問形式の問題を取り扱いました。
ご紹介した問題の1問目を解くときには規則性の基本である数列を用いましたし、2問目でも定番問題の知識が重要であったように、大問形式の問題を正解するためには、1行問題に代表される基本の理解が大切です。
数の性質は学年の始めに学ぶことが多いため、忘れてしまっていたり理解が十分でなかったりすることもあります。
夏期中に納得のいく復習ができなかったときは、秋の連休などを活用して振り返り学習をしてみましょう。