第562回 女子中の入試問題 数の性質 3
「第562回 女子校の入試問題 数の性質 3」
ここまで、2021年度の女子中の入試で出された「数の性質」の問題を取り扱ってきています。
今回見ていく問題は、「規則性」をテーマとした1行問題です。
1問目は、「分数の数列」の問題です。
【問題】あるきまりにしたがって次のように分数を並べたとき、分子と分母の和が2021になるのは最初から数えて何番目ですか。
(淑徳与野中学校 2021年 問題2-(2))
【考え方】
問題は「分子と分母の和」についてですから、それぞれの分数について分子と分母の和を調べていきます。
このとき、次のように「番号」をつけておくと、計算ミスを防ぐことができます。
上のように、和は3から始まって2ずつ増えていく等差数列になっています。
□番目の分数の分子と分母の和が2021になるとします。
3+2×(□番目-1)=2021
□=(2021-3)÷2+1=1010(番目)
答え 1010番目
本問は等差数列の公式を使う、規則性では基本レベルの問題です。
中学入試において、等差数列の公式はとても大切ですから、必ず覚えておきましょう。
では、2問目を見ていきます。
【問題】下の図のように、黒と白のボールを交互に使って、正三角形をつくっていきます。最も外側の正三角形に使われたボールが174個のとき、この図形には白のボールは全部で何個使われていますか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図などを書きなさい。
(洗足学園中学校 2021年 問題3-(3))
【考え方】
問題文にある「最も外側のボール」について調べていきます。
問題の図を「三角陣」と考えると、「方陣算」を応用した
外側の個数=(1辺の個数-1)×3辺
が利用できます。
図形の規則性の問題は、上のように表に整理するとミスしにくくなります。
174個÷3+1個=59個 … 1辺の個数
表を見ると、1辺の個数は2から始まって3ずつ増える等差数列になっています。
□番目の図の1辺の個数が59個になるとします。
2個+3個×(□番目-1)=59個
□=(59-2)÷3+1=20(番目)
※外側の個数が9個ずつ増えていることを利用してもOKです。
次に、白のボールの個数を調べます。白のボールが外側に使われるのは、偶数番目のときです。
先ほどの表を利用すると、白のボールの個数は12から174まで18ずつ増える等差数列の和と分かります。
20番目÷2=10
(12個+174個)×10÷2=930個
答え 930個
本問のように、図形の規則性に関する問題では、表を用いて整理することがポイントです。
表を利用するときも、前問と同様に「番号」をつけておくとミスを防ぐことができます。
最後に、もう1問見ていきます。
【問題】ある規則にしたがって、○、●、☆を左から順に一列に並べました。
○●☆○○●☆☆☆○○○●☆☆☆☆☆○○○○●☆☆…
10個目の●は、左から何番目ですか。
(品川女子学院中等部 2021年 問題3-(3)問題文一部変更)
【考え方】
○→●→☆の順でくり返していることに着目すると、次のように区切ることができます。
○●☆/○○●☆☆☆/○○○●☆☆☆☆☆/○○○○●☆☆…
そこで○、●、☆を1組として、カレンダータイプの表に整理します。
●は1組の中に1個ありますから、10個目の●は第10組にあることになります。
そこまでに何個の○、●、☆があればよいかを計算すればよいので、先ほどの表に合計欄を追加します。
すると、各組の合計は3から始まって3ずつ増える等差数列(または3の倍数)になっていることが分かります。
9組目の個数は
3個+3個×(9-1)=27個
と計算できますから、10個目の●は左から数えて
(3個+27個)×9組÷2+10個+1個=146(番目)
です。
答え 146番目
本問は○、●、☆をくり返しながら個数が増えていく規則性の問題でした。
くり返しの問題は、上記のようにカレンダータイプの表を利用すると解きやすくなります。
今回は、2021年度の女子中の入試で出された「規則性」に関する問題について考えました。
規則性のポイントは、規則が見やすくなる整理方法と計算に必要な等差数列の公式を身につけることです。
また、整理したときに「番号」をつけておくと計算しやすくなりますし、「1ずれる」というミスを防ぐこともできます。
まずは、今回ご紹介したような1行問題で、整理方法や計算公式の確認をしてみましょう。