第560回 女子校の入試問題 数の性質 1
「第560回 女子校の入試問題 数の性質 1」
今回から、2021年度の女子校の中学入試で出された「数の性質」の問題を見ていきます。
1回目の今回は「約数と倍数」をテーマとした問題を見ていこうと思います。
1問目は、約数や倍数の意味についての問題です。
【問題】□÷9=△と126÷□=○という2つの式があります。△と○がどちらも整数となるとき、□にあてはまる整数をすべて求めなさい。ただし、□には同じ数が入ります。
(田園調布学園中等部 2021年 問題1-(9))
【考え方】
「□÷9=整数」を文に直すと、「□を9で割ると、商は整数になります」となりますから、□は9で割り切れる整数、つまり□は9の倍数という意味です。
また、「126÷□=整数」は「126を□で割ると、商は整数になります」ということですから、□は126を割り切ることができる整数、つまり□は126の約数という意味です。
□は9の倍数=9、18、27、36、45、54、63、72、81、90、99、108、117、126、…
□は126の約数=1、2、3、6、7、9、14、18、21、42、63、126
両方に含まれる整数は、9、18、63、126です。
答え 9、18、63、126
本問は、約数や倍数という大切な算数の言葉の意味が理解できているかを確認できる問題です。
上記は倍数から書き出しましたが、個数に限りのある約数から調べていく方が簡単です。
また、126=9×14と書き換えると、9×1、9×2、9×7、9×14の4つを見つけやすくなります。
では、次の問題を見ていきましょう。
2問目は、倍数と約分の関係についての問題です。
【問題】分母と分子の和が208で、約分すると5/21になる分数を求めなさい。
(品川女子学院中等部 2021年 問題3-(1) 問題文一部変更)
【考え方】
「約分する」の意味は、分母と分子を同じ数で割ることですから、問題を次のように表すことができます。
「倍数」を利用して解くと、次のようになります。
A÷□=5は、Aが□の倍数であることを表していますから、A=□×5のように書き換えることができます。
同様に、B÷□=21もB=□×21と書き換えられます。
ですから、
A+B=208=□×5+□×21=□×(5+21)=□×26
より、
□=208÷26=8
です。
したがって、
A=8×5=40
B=8×21=168
より、求める分数が40/168とわかります。
答え 40/168
「倍数」を利用すると上記のような解き方になりますが、通常は「約分前の和が208、約分後の和が5+21=26なので208÷26=8→8で約分した」という解き方になると思います。
また、「比」を習い終えていれば、「208を5:21に比例配分すればよいから、208×5/26=40がA」という解き方もできます。
最後にもう1問、見ておきましょう。
【問題】次の(ア)、(イ)にあてはまる数をそれぞれ求めなさい。
1~400までの整数が1つずつ書かれたカードを重ねます。上から1枚目には1、2枚目には2、…、400枚目には400と書いてあります。はじめに、上から数えて3の倍数目のカードを取りのぞきます。このとき、残ったカードの上から(ア)枚目には286と書かれています。続けて、残ったカードについても、同じように上から数えて3の倍数目のカードを取りのぞきます。最後に残ったカードの上から47枚目に書かれている整数は(イ)です。
(フェリス女学院中学校 2021年 問題1-(5))
【考え方】
3の倍数は、
(1、2、3)、(4、5、6)、(7、8、9)、(10、…
のように3ごとに並んでいますから、「3枚1組」として考えることができます。
286は、
286÷3=95あまり1
より、96組目の1番目の数です。
「3枚1組」のうち、3の倍数は取りのぞかれますから、各組のカードは2枚です。
2枚×95組+1枚=191枚目 … ア
イも、アのときと同じように考えてみましょう。
残ったカードのから取りのぞかれるカードを(太字)見てみると、
(1、2)、(4、5)、(7、8)、(10、11)、(13、14)、(16、17)、(19、…
のように、「6枚1組の中に2枚ある」ことがわかります。
ところで、「同じ枚数の組」が作れることと「くり返し」は同じことです。
「くり返し」は「カレンダータイプ」に整理すると解きやすくなります。
6枚-2枚=4枚…各組に残るカードの枚数
47枚目÷4枚=11組あまり3枚目
47枚目のカードは12組目の3枚目(表の4番目)ですから、
5+9×11=104
とわかります。
答え ア 191、イ 104
倍数の問題では、今回の1、2問目で見ましたように「□を整数倍した数」という以外、本問のように「倍数は規則的に現れる」ことを用いる場合もあります。
最適な解き方が選べるよう、これからの学習でいろいろな知識を増やしていけるといいですね。