第544回 共学校の平面図形 5
「第544回 共学校の平面図形 5」
中学入試の問題の中から、2020年、2021年に共学校で出された「平面図形」の問題について考えています。
今回も、前回に引き続き「辺の比と面積の比」をテーマに見ていきます。
前回は基本レベルの問題を取り扱いましたので、今回はその応用となる「相似完成」の問題を見ていくことにします。
【問題】
右の図のような、長方形ABCDがあります。AB=8cm、BC=12cmで、辺ABのまん中の点をMとします。また辺BC上に点Nをとると、BN:NC=2:1となります。さらに辺ANと辺MDの交わる点をP、ANをNの方に延長した直線と、辺DCをCの方に延長した直線の交わる点をQとします。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)三角形CNQはどのような三角形ですか。最も適切な形を答えなさい。
(2)MP:PDを求めなさい。
(3)AP:PN:NQを求めなさい。
(4)三角形PNDの面積を求めなさい。
(江戸川学園取手中学校 2020年 問題6)
【考え方】
(1)
下の図のように、わかる長さを書き込んでいきます。
BN:NC=2:1より、
NC=12cm×1/3=4cm
です。
また、三角形DAQと三角形CNQは相似ですから、
QC=8cm×1/2=4cm
です。
角QCNは直角なので、三角形CNQは直角二等辺三角形とわかります。
答え 直角二等辺三角形
(2)
下の図で、三角形AMPと三角形QDPは相似です。
AM=4cm、
QD=4cm+8cm=12cm
ですから、
MP:PD=AM:QD=4cm:12cm=1:3
です。
答え 1:3
(3)
(1)より三角形DAQと三角形CNQは相似ですから、
AN:NQ=DC:CQ=8cm:4cm=2:1
です。
AQ=⑫とすると、(2)より
AP:PQ=1:3=③:⑨
AN:NQ=2:1=⑧:④
ですから、
AP:PN:NQ=③:⑤:④=3:5:4
とわかります。
答え 3:5:4
(4)
三角形DAQの面積は、DPとDNによって3:5:4に分けられます。
12cm×12cm÷2×5/12=30cm2
答え 30cm2
本問は、問題の条件によって「角出し」が与えられていました。
問題の難度が上がると、この「角出し」によって自分で相似を作ることになりますので、上記のような問題を練習しておくことが大切です。
次は、自分で相似を作る=「相似完成」の問題を見ていくことにしましょう。
【問題】
右の図のような平行四辺形ABCDがあります。辺AB上に点E、辺AD上に点Fをとり、点Cと点E、点Bと点Fをそれぞれ結びました。その2本の線の交点をGとしたところ、EG:GC=5:12、BG:GF=8:9となりました。このとき、AF:FDを最も簡単な整数の比で求めなさい。
(市川中学校 2020年 問題1ー(4))
【考え方】
前問の図と、上下が逆さまになり、長方形が平行四辺形に変わったのが、この問題の図です。
そこで、BFをFの方に、CDをDの方に延長した図を作ります。
「相似完成」のポイントは、「同時に2組の相似ができる」ように補助線を引くことです。
この問題でも、BFをFの方に、CDをDの方に延長することで、三角形ABFと三角形DHF、三角形EBGと三角形CHGの2組の相似ができています。
※三角形ABFと三角形DHFの代わりに、三角形BCHと三角形FDHの相似を見てもOKです。
三角形EBGと三角形CHGで、
EG:GC=5:12
ですから、BG:GHも5:12です。
したがって、
GH=8’×12/5=19.2′
FH=19.2’-9’=10.2′
です。
すると、三角形ABFと三角形DHFで、
FB:FH=(8’+9’):10.2’=5:3
となりますので、AF:FDも5:3とわかります。
答え 5:3
※上記のほかに、次のような補助線から答えを求めることもできます。
今回は、「辺の比と面積の比」の問題の中から、前回の応用となる「相似完成」の問題を見てきました。
1問目は延長線が与えられた、中学入試の問題としてはどちらかと言えば”親切な問題”でしたが、実際には2問目のように自分で延長線を引いて「相似を完成させる」問題の方が多いと思います。
また、難問になりますと、「角出し」が2回必要になることもありますので、今回ご紹介した2つの問題を通して「相似完成」の基礎を確認し、もう1ランクレベルの高い問題に取り組む準備ができるといいですね。
中学入試の問題の中から、2020年、2021年に共学校で出された「平面図形」の問題について考えています。
今回も、前回に引き続き「辺の比と面積の比」をテーマに見ていきます。
前回は基本レベルの問題を取り扱いましたので、今回はその応用となる「相似完成」の問題を見ていくことにします。
【問題】
右の図のような、長方形ABCDがあります。AB=8cm、BC=12cmで、辺ABのまん中の点をMとします。また辺BC上に点Nをとると、BN:NC=2:1となります。さらに辺ANと辺MDの交わる点をP、ANをNの方に延長した直線と、辺DCをCの方に延長した直線の交わる点をQとします。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)三角形CNQはどのような三角形ですか。最も適切な形を答えなさい。
(2)MP:PDを求めなさい。
(3)AP:PN:NQを求めなさい。
(4)三角形PNDの面積を求めなさい。
(江戸川学園取手中学校 2020年 問題6)
【考え方】
(1)
下の図のように、わかる長さを書き込んでいきます。
BN:NC=2:1より、
NC=12cm×1/3=4cm
です。
また、三角形DAQと三角形CNQは相似ですから、
QC=8cm×1/2=4cm
です。
角QCNは直角なので、三角形CNQは直角二等辺三角形とわかります。
答え 直角二等辺三角形
(2)
下の図で、三角形AMPと三角形QDPは相似です。
AM=4cm、
QD=4cm+8cm=12cm
ですから、
MP:PD=AM:QD=4cm:12cm=1:3
です。
答え 1:3
(3)
(1)より三角形DAQと三角形CNQは相似ですから、
AN:NQ=DC:CQ=8cm:4cm=2:1
です。
AQ=⑫とすると、(2)より
AP:PQ=1:3=③:⑨
AN:NQ=2:1=⑧:④
ですから、
AP:PN:NQ=③:⑤:④=3:5:4
とわかります。
答え 3:5:4
(4)
三角形DAQの面積は、DPとDNによって3:5:4に分けられます。
12cm×12cm÷2×5/12=30cm2
答え 30cm2
本問は、問題の条件によって「角出し」が与えられていました。
問題の難度が上がると、この「角出し」によって自分で相似を作ることになりますので、上記のような問題を練習しておくことが大切です。
次は、自分で相似を作る=「相似完成」の問題を見ていくことにしましょう。
【問題】
右の図のような平行四辺形ABCDがあります。辺AB上に点E、辺AD上に点Fをとり、点Cと点E、点Bと点Fをそれぞれ結びました。その2本の線の交点をGとしたところ、EG:GC=5:12、BG:GF=8:9となりました。このとき、AF:FDを最も簡単な整数の比で求めなさい。
(市川中学校 2020年 問題1ー(4))
【考え方】
前問の図と、上下が逆さまになり、長方形が平行四辺形に変わったのが、この問題の図です。
そこで、BFをFの方に、CDをDの方に延長した図を作ります。
「相似完成」のポイントは、「同時に2組の相似ができる」ように補助線を引くことです。
この問題でも、BFをFの方に、CDをDの方に延長することで、三角形ABFと三角形DHF、三角形EBGと三角形CHGの2組の相似ができています。
※三角形ABFと三角形DHFの代わりに、三角形BCHと三角形FDHの相似を見てもOKです。
三角形EBGと三角形CHGで、
EG:GC=5:12
ですから、BG:GHも5:12です。
したがって、
GH=8’×12/5=19.2′
FH=19.2’-9’=10.2′
です。
すると、三角形ABFと三角形DHFで、
FB:FH=(8’+9’):10.2’=5:3
となりますので、AF:FDも5:3とわかります。
答え 5:3
※上記のほかに、次のような補助線から答えを求めることもできます。
今回は、「辺の比と面積の比」の問題の中から、前回の応用となる「相似完成」の問題を見てきました。
1問目は延長線が与えられた、中学入試の問題としてはどちらかと言えば”親切な問題”でしたが、実際には2問目のように自分で延長線を引いて「相似を完成させる」問題の方が多いと思います。
また、難問になりますと、「角出し」が2回必要になることもありますので、今回ご紹介した2つの問題を通して「相似完成」の基礎を確認し、もう1ランクレベルの高い問題に取り組む準備ができるといいですね。