小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 場合の数の練習問題  -> 第525回 女子中の場合の数 1

第525回 女子中の場合の数 1

このエントリーをはてなブックマークに追加
場合の数の練習問題 2020年12月05日18時00分

「第525回 女子中の場合の数 1」


これまで、2020年度に女子中で出された入試問題の「文章題」、「比と割合」、「速さ」、「平面図形」、「立体図形」、「数の性質・規則性」について見てきました。


今回からは、最後の単元となる「場合の数」について考えていこうと思います。


まずは、場合の数の基本となる「場合分け」の問題を取り扱っていきます。




【問題】
洋室と和室の2部屋があります。Aさん、Bさん、Cさんの3人がこの2部屋に入る方法は何通りあるか求めなさい。ただし、どちらの部屋にも少なくとも1人は入るものとします。
(晃華学園中学校 2020年 問題1-(5))








【考え方】
はじめに洋室と和室に入る「人数」について場合分けをし、その次にそれを誰にするかを決めます。



(洋室、和室)=(2人、1人)のとき 

人数の少ない和室の入り方に着目すると、Aさん、Bさん、Cさんのいずれか1人が入りますので3通りあります。


そのいずれの場合も残りの2人が自動的に洋室に入ることになりますので洋室への入り方は1通りとなり、全部で

3通り×1通り=3通り

あります。


20201202115419.jpg



(洋室、和室)=(1人、2人)の場合も同様ですから、3通りです。


3通り+3通り=6通り 

答え 6通り 






本問を「人数→人名」の順で考えたように、「場合分け」を利用するときは、2段階に分けると考えやすくなります。




では、2問目です。




【問題】
りんご、みかん、ももの3種類のくだものが3個ずつあります。この中から好きなものを4個選ぶとき、何通りの選び方がありますか。ただし、選ばないくだものがあってもよいものとします。
(横浜雙葉中学校 2020年 問題1-(2))








【考え方】
本問も、はじめに果物の「個数」について場合分けをし、そのあとでどの果物にするかの2段階で考えていきましょう。


(3個、1個、0個)の場合 

前問と同じように、樹形図をかくと次のようになります。

20201202115510.jpg

このことは、「りんごさんは3個、1個、0個のどれかを選べるから3通り、みかんさんは残った2つの個数から選べるから2通り、ももさんは最後に残った1つの個数になるから1通り」のように擬人化すると、

3通り×2通り×1通り=6通り

のような計算でも求められることがわかります。



残りの場合についても、樹形図と計算方法の2つの解き方をみていきます。



(2個、2個、0個)の場合

20201202115559.jpg

「2個」の果物が2種類、「0個」の果物が1種類ですから、種類が少ない「0個」の果物に着目すると、りんご、みかん、もものいずれかを0個にする3通りがあり、そのそれぞれについて「2個」の果物が1通りあります。

3通り×1通り=3通り 



(2個、1個、1個)の場合 

20201202115630.jpg

「2個」の果物が1種類、「1個」の果物が2種類ですから、(2個、2個、0個)の場合と同じように、種類が少ない「2個」の果物に着目すると、りんご、みかん、もものいずれかを2個にする3通りがあり、そのそれぞれについて「1個」の果物が1通りあります。

3通り×1通り=3通り


6通り+3通り+3通り=12通り 

答え 12通り 






前問で「人数→人名」の順に考えたのと同様に、本問も「個数→果物名」の順に考えていくと、抜けや漏れ、重複が防いで解くことができます。




続けて、3問目を見ていきましょう。




【問題】
大中小3つのさいころを投げたとき、出た目の和が15になる場合は、全部で何通りありますか。
(東洋英和女学院中学部 2020年 問題2-(5) 問題文一部変更)








【考え方】
この問題も、これまでの2問と同じように、「目の数→さいころ名」の順に考えていくこともできますが、今回は、さいころの問題を解くときに便利な「六六表」を利用してみようと思います。

(六六表)
20201202115812.jpg



大+中=12の場合

「六六表」より大と中のさいころの出た目の和が12になるのは、(大、中)=(6、6)の1通りで、そのときに小のさいころの目が3であれば、3つのさいころの目の和が15になります。

1通り×1通り=1通り 



大+中=11の場合

「六六表」より大と中のさいころの出た目の和が11になるのは、(大、中)=(6、5)、(5、6)の2通りで、そのときに小のさいころの目が4であれば、3つのさいころの目の和が15になります。

2通り×1通り=2通り 


以下も同様に見ていきます。


大+中=10の場合は3通り、そのときの小のさいころの目が5の1通りですから、

3通り×1通り=3通り

です。



大+中=9の場合は4通り、そのときの小のさいころの目が6の1通りですから、

4通り×1通り=4通り

です。 



1通り+2通り+3通り+4通り=10通り 

答え 10通り




本問は「3つのさいころ」についての問題でした。


さいころの問題は、個数が2個であれば上記のように「六六表」を利用することができますので、3個のさいころの問題のときは、さいころを2個と1個に分けると考えやすいでしょう。






今回は、2020年度に女子中の入試で出された「場合の数」のうち、問題を解くときの基本となる「場合分け」について考えました。


「場合の数」を塾で習う場合、はじめは「樹形図」などの書き出しを利用して解き、その次に「順列」や「組み合わせ」などの計算方法、そして「場合分け」、最後に「特別な考え方」の4つの段階になることが多いと思います。


場合の数が苦手なときは、この4つの段階のどの部分の理解や定着に課題があるかを見つけて、その段階の問題に取り組むことで、正解を増 やしていくことができると思います。

mflog.GIF

このエントリーをはてなブックマークに追加
場合の数の練習問題 / 中学入試の算数問題 2020年12月05日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.