第523回 女子中の数の性質・規則性 4
「第523回 女子中の数の性質・規則性 4」
ここまで、2020年度に女子中で出された入試問題の「数の性質・規則性」について見てきています。
前回は「数の規則性」に関する問題の中から、「等差数列」などについて考えました。
今回は、その応用となる「数表」の問題を取り扱っていきます。
では、さっそく問題を見ていきましょう。
【問題】
あるきまりにしたがって下表のように数が並んでいます。例えば、2行目4列目の数は11です。2020は何行目何列目の数ですか。
(大妻中学校 2020年 問題7)
【考え方】
制限時間があるテストのときは難しいと思いますが、家庭学習で「数表」の問題を解く場合などは、自分で小さい順に数を書いて表を作っていくと、規則を見つけやすくなります。
上の表より、4以降の数は「→、→、→」という3個1組の並びになっていることがわかります。
この「3個1組」から、「3の倍数が問題を解くポイントになっている」と考えることができると、計算方法も見つかります。
2020÷3=673あまり1 → 2020=3×673+1
この計算より、2019は673番目の3の倍数とわかります。
表の3行目には3の倍数が6から順に並んでいて、列の番号は「3にかける数」よりも1小さくなっていますから、□=672です。
4以降の数は「→、→、→」という3個1組の並びでしたから、2020は1行目675列目にあると求められます。
答え 1行目675列目
1問目は「長方形型の数表」問題でした。「長方形型」に関わらず、「数表」の問題を解くときは、規則を見つけるために自分で小さい順に数を書いて表を作り、答えの近辺は計算結果をもとに表を完成させる(上表の赤枠部分)と、正解を得やすくなります。
では、もう1問、見ていきましょう。
【問題】
1から300の数を1枚に1つずつ書いた、同じ大きさの正方形のカードがあります。これら300枚のカードを、1のカードの右に2のカード、その下に3のカード、というように、時計の針が進む方向にうずをまくようにして小さい順に並べていきます。下の図は、カードを11枚並べ終えたときの様子を表したものです。
(1) カードを25枚並べ終えたとき、25のカードと同じ縦の列および横の列に並んでいるカードは、25のカードを含めてそれぞれ何枚ありますか。
(2) カードを順に並べていくとき、100のカードのまわりはどのようなカードになりますか。右の図のア、イ、ウに当てはまる数を答えなさい。
(3) 300枚のすべてのカードを並べ終えたとき、300のカードと同じ縦の列および横の列に並んでいるカードについて、それぞれ最も小さい数を答えなさい。
(浦和明の星女子中学校 2020年 問題4)
【考え方】
(1)
規則と数の並び方の特徴を正しく理解するため、25枚のカードを実際に並べてみます。
答え 縦 5枚、横 5枚
(2)
(1)で1から順にカードを並べていくと、平方数である1、4、9、16、25のカードを並べ終えたとき、並べたカードが正方形になっていることに気づけます。
問題となっている100も平方数ですから、100のカードの位置を正確に把握できると、答えもわかりそうです。
36までカードを追加すると、奇数の平方数は1から右上に、偶数の平方数は4から左下に、それぞれ伸びていくことがわかります。
100は偶数ですから、4、16、36、64、100、144、…と4から左下に伸びていくライン上にあります。
数の並びに気をつけて100のカード付近を完成させると、次のようになります。
答え ア 64、イ 101、ウ 144
(3)
(1)(2)から、この問題のポイントが平方数にあることわかります。
17×17=289
18×18=324
より、300付近の平方数のカードは次のようになっています。
上の図のように、300のカードは、右上の角にある290のカードから10枚下の位置(11枚目)にあります。
また、1のカードのある横の列は、
17=8+1+8
より、290のカードから8枚下の位置(9枚目)にありますから、300のカードがある横の列で最小のカードは13とわかります。
答え 縦 290、横 13
「渦巻き型の数表」は「数表」の中でも難しい問題のひとつです。
本問はカードの並びが正方形になっていますので、「正方形型の数表は平方数に着目する」が利用できますが、それでも(3)は「答えが1ちがい」になることもあるでしょう。
そのような場合は、上の表のように途中を省略せず、平方数だけはすべて書くようにすると、自分が間違えた理由をみつけることができると思います。
今回は、「数の性質・規則性」の中から、「数の規則性」の応用問題である「数表」の問題について見ました。
「数表」は「数列」に比べると、規則性が複雑な場合もありますので、正確に規則を見つけるために、数を小さい方から順に自分で表を書いていくとよいでしょう。
そして、練習問題を通して、「どの部分は省略しても間違えないか」をつかむことで、制限時間のあるテストなどでも正解を増やしていくことができると思います。