第522回 女子中の数の性質・規則性 3
「第522回 女子中の数の性質・規則性 3」
2020年度の女子中の入試問題から、「数の性質・規則性」について見ています。
前回は「倍数判定法」や「余り」がテーマとなる問題を取り扱いました。
今回は、「数の規則性」に関する問題について考えてみたいと思います。
では、さっそく問題を見ていきましょう。
【問題】
8で割って5余る整数が5、13、21、29、37、……のように小さい順にならべられています。ある隣り合う2つの数を足したところ、和は594でした。小さい方の整数は、前から数えて何番目ですか。
(吉祥女子中学校 2020年 問題1-(4))
【考え方】
問題文中に「ある隣り合う2つの数を足したところ」とありますから、実際に、隣り合う2つの数を小さい方から順に足してみて、何か規則性がないかを調べてみます。
調べるときは並んでいる数のはじめの方から順に見ていき、それを表に整理すると規則を見つけやすくなります。
上の表より、隣り合う2数の和は18から16ずつ増える等差数列だということに気づけます。
「前から数えて何番目ですか」という問題ですから、等差数列の公式
「□番目の数=初項(先頭の数)+公差(隣り合う2数の差)×(□-1)」
を利用します。
18+16×(□-1)=594 → □=37
594は37番目の「隣り合う2数の和」ですから、並べられた整数の37番目と38番目を足したものです。
答え 37番目
なお、「8で割って5余る整数」は、「初項が5、公差が8の等差数列」と見ることもできます。
この場合は「和が594で差が8の2数」より、「和差算」を利用して、
(594-8)÷2=293
のように、隣り合う2数のうち小さい方の整数を求めることができます。
5+8×(□-1)=293 → □=37
本問は、「数の規則性」でもっとも基本となる「等差数列」の問題でした。
「等差数列」の計算方法は、「数の性質」の問題でよく使いますから、きちんと覚えておくようにします。
では、2問目です。
【問題】
ある規則にしたがって並んだ分数の列
があります。5/6ははじめから数えて何番目の数ですか。また、116番目の数は何ですか。
(鎌倉女学院中学校 2020年 問題3-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
2問目は「群数列」と呼ばれる数列です。
分数の「群数列」を解くときは、
①「分子だけ」または「分母だけ」
② 分子と分母の和または差
に着目し、「群」に区切っていくことが基本です。
この問題の数列で、「分子だけ」に着目すると、
1、1、2、1、2、3、1、2、3、4、…
となっていますから、
1/1、2/1、2、3/1、2、3、4/…
のように区切ることができ、また、「分母だけ」に着目すると、
1、2、2、3、3、3、4、4、4、4、…
となっていますから、
1/2、2/3、3、3/4、4、4、4/…
のように区切ることができ、どちらに着目しても
のように区切っていくことができますから、「5/6は、第6群の5番目の数」とわかります。
分数の個数は、第1群が1個、第2群が2個、第3群が3個、第4群が4個、第5群が5個ですから、第6群の5番目にある「5/6」は、はじめから数えて、
1個+2個+3個+4個+5個+5個=20個目
です。
答え 20番目
続いて、問題の後半に入ります。
「116番目」の分数は、「116個目」の分数ですから、前問でわかった、第1群が1個、第2群が2個、第3群が3個、…という特徴を利用することができます。
116個目=1個+2個+3個+4個+5個+6個+7個+8個+9個+10個+11個+12個+13個+14個+11個
ですから、116個目の分数は「第15群の11個目の分数」だとわかります。
第15群の分母は15なので、答えは11/15です。
なお、上記では、
116個目=1個+2個+…+14個+11個
のように順に調べましたが、「1~15までの和は120」であることを覚えていると、よりはやく答えを見つけることができます。
また、上記のように書き出していく方法の他、「等差数列の和の公式」の逆算から解くこともできます。
(1+□)×□÷2≒116
この場合は、
116×2=232
が、平方数の
15×15=225
より少しだけ大きいことから、□=15前後だと見当をつけ、
(1+15)×15÷2=120 → 116=1+…+14+11
を導き出すことができます。
今回は、「数の性質・規則性」の中から「数の規則性」に関する問題について見てきました。
ご紹介した2つの問題からは、数の規則性の問題を解く上で、
① 規則性は表にすると見つけやすい
② 等差数列の計算公式を覚えておく
③ 群数列や分数列には着目ポイントがある
など、いくつかの基本となるポイントがあることがわかりました。
次回は、数列の応用問題として「数表」を取り上げる予定ですが、基本問題で間違うことがあるようでしたら、これらのポイントが押えられているかをまずは確認してみましょう。