第514回 女子中の平面図形 4
「第514回 女子中の平面図形 4」
近年の女子中で出された「平面図形」の問題の中から、今回も前回に引き続き「辺の比と面積比」の大問形式の問題を見ていきます。
前回は「高さの等しい三角形の面積」がテーマでしたが、今回は「相似」が中心となる問題です。
【問題】
右の図のように三角形ABCがあり、AD:DB=5:4、 AE:EC=1:1、AF:FC=1:2となるようにD、E、Fをとります。また、DEとBFが交わった点をGとし、DHとACが平行となるようにBF上にHをとります。このとき、次の各問いに答えなさい。
(1) DG:EGをもっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(2) BG:GF をもっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(3) 三角形BDGの面積は三角形ABCの面積の何倍ですか。
(白百合学園中学校 2019年 問題3)
【考え方】
(1)
問題条件と求める部分を図に記入します。
上の図より、三角形DHGと三角形EFGの相似を利用すればよいとわかります。
はじめに、辺AC上の比をそろえておきます。(「比合わせ」)
DHはACと平行ですから、三角形DBHと三角形ABFも相似です。
DG:EG =DH:EF=8/9:1=8:9
(2)
(1)より、
BH:HF=4:5
HG:GF=8:9
とわかりますから、HFで「比合わせ」をします。
(3)
(2)でわかったことが利用できます。
三角形ABF=三角形ABC×2/6
ですから、「隣辺比」を利用すると、
三角形DBG=三角形ABC×2/6×(4/9×12/17)=三角形ABC×16/153
と求められます。
答え 16/153
本問は、「補助線DH」が与えられていましたので、「問題の条件からわかること」、「前問でわかったこと」を利用していくと、順々に正解を得ることができる問題でした。
次は「補助線を自分で引く」問題です。
【問題】
図の四角形ABCDは平行四辺形で、AB:AD=3:4、DF:FC=1:1です。同じ印の角は、同じ大きさです。
(1) AG:GEの比を、最も簡単な整数の比で表しなさい。
(2) 三角形AGFと四角形CFGEの面積の比を、最も簡単な整数の比で表しなさい。
(鷗友学園女子中学校 2020年 問題5)
【考え方】
(1)
問題の条件からわかることを書いていきます。
上の図のように、ADとBCが平行なので
角BEA=角DAE
ですから、三角形ABEはAB=EBの二等辺三角形です。
ここから、三角形ABGと三角形BEGの面積比がわかれば、「高さの等しい三角形」の関係を利用してAG:GEを求めることができますが、その面積比がわかりません。
そこで、「三角形ABGと四角形CFGE」、または「三角形GBEと四角形AGFD」に着目して、「相似完成」を利用して解くことにします。
今回は、下の図で「角出し」をしてみます。
上の図より、
AG:GE=8:3
と求められます。
(別解)
平行四辺形の内部に平行線を引いて、AG:GEを求めることもできます。
上の図で、緑色の三角形(ピラミッド型相似)に着目すると、
HE=③×3/4=9/4〇
ですから、
AG:GE=BA:HE=⑥:9/4〇=8:3
です。
(2)
(1)でわかったことと、(2)で求める図形を図にあらわしてみます。
上の図で、三角形AGF(赤色斜線)は平行四辺形ABCDの1/2である三角形ABFをBG:GFで区切った図形と考えることができますし、また、三角形AEFから三角形EFGを引いた図形とみることもできます。
また、四角形CFGE(水色斜線)は、三角形BCFから三角形BEGを引いた図形、あるいは三角形EFGと三角形ECFをあわせた図形ととらえることができます。
上側の図を利用するときはBG:GFを求めればよいでしょうし、下側の図の場合は(1)で求めた8:3を利用することができます。
ここでは、下側の図で解いていきます。
上の図で、平行四辺形ABCD、三角形ABE、三角形ECF、三角形ADFの面積比は、「隣辺比」を利用して求めることができます。
平行四辺形ABCDの面積:三角形ABEの面積:三角形ECFの面積:三角形ADFの面積
=⑥×⑧:⑥×⑥×1/2:②×③×1/2:③×⑧×1/2=16:6:1:4
上の図より、
三角形AEFの面積
=16-(6+1+4)=5
↓
三角形AGFの面積:四角形CFGEの面積
=三角形AEFの面積5×8/11:(三角形AEFの面積5×3/11+三角形ECFの面積1)
=20:13
今回の問題で利用した「等しい高さの三角形の面積比」の発展的な解法である「隣辺比」と補助線を引いて2組の相似な三角形をつくる「相似完成」が使えるようになると、塾の実力テストや入試問題で出される少し難しめの「辺の比と面積比」の問題でも正解を増やすことができます。
得点アップのため、「隣辺比」や「相似完成」を学んだら、ぜひ、これらを身につけていきましょう。