第512回 女子中の平面図形 2
「第512回 女子中の平面図形 2」
近年の女子中入試の中から、「平面図形」の問題を見ています。
前回は「角の大きさ」に関する1行問題をご紹介しましたが、今回は「求積(面積を求める)」の問題について考えていこうと思います。
問題は、面積の公式と「解法知識」を使って解くものばかりですから、「図形の拡大と縮小(相似、辺の比と面積比)」の手前まで学習が進んでいれば、5年生でも十分に正解できると思います。
ぜひ、チャレンジしてみてください。
では、問題を見ていきましょう。
【問題】
下の図の影の部分の面積を求めなさい。ただし、方眼の1目は2cm、円周率は3.14とします。
(東洋英和女学院中学部 2020年 問題3)
【考え方】
円と円が重なっている図形ですので、「重なりは引く」という解き方を用います。
このとき、「重なりを引く回数」に注意します。
また、重なっている部分(影のついていない部分)は「レンズ形(葉っぱ形)」ですから、「(おうぎ形-三角形)×2」または「おうぎ形×2-正方形」で求めることができます。
2cm×2cm×3.14×1/4×2-2cm×2cm=2.28cm2 … レンズ形の面積
2cm×2cm×3.14×4-2.28cm2×3×2=36.56cm2
本問は円周率が3.14ですから、「正方形の中のレンズ形の面積=正方形の面積×0.57」という計算方法でもよいと思います。
(別解)
上記の「重なりを引く」以外に、「弓形は移動して合体」という解き方もあります。
上の図のように、右上と左下の円から弓形を6つ切り取り、影のついていない部分に移動させると、正方形が3つでき、残りの水色の図形を合体させると円を1つ作ることができます。
4cm×4cm×1/2×3+2cm×2cm×3.14=36.56cm2
では2問目です。
【問題】
図のようなABを直径とする円があります。斜線部分の面積は何cm2ですか。(円周率は3.14)
(洗足学園中学校 2020年 問題3-(2))
【考え方】
円に関する問題です。
「円問題の補助線は中心と円周上の点を結ぶ半径」を利用して解きましょう。
上の図のように補助線を引くと、次のような図形式を作ることができます。
図形式で、三角形OACはOA=OCですから直角二等辺三角形とわかりますので、おうぎ形CODの中心角は、
180°-(90°+30°)=60°
と求められます。
また、三角形OADは、底辺をOA=6cmとみると、角BQDが30°ですから、「30度問題」の考え方より、高さは
6cm(OD)÷2=3cm
です。
6cm×6cm×1/2+6cm×6cm×3.14×1/6-6cm×3cm×1/2=27.84cm2
ここまでご紹介してきた2問は、「重なりは引く」や「円問題の補助線」といったような「解法知識」を用いて解く問題でした。
最後は「解法知識」の他に、「作図」も必要とする問題を取り扱おうと思います。
【問題】
1辺20cmの正方形の紙を3回折ります。3回折ってできる長方形の4つの角を2cmずつ切りとり、再び広げます。このとき、広げた紙の面積を求めなさい。
(頌栄女子学院中学校 2019年 問題4-(2))
【考え方】
折り紙の問題です。
折ってできる図形は線対称ですから、折り線を対称の軸とし、巻き戻すようにして折る前の図形をかいていきます。
20cm×20cm-2cm×2cm×1/2×32=336cm2
なお、本問のように、常にもとの半分となるような折り方をすると、図形はもとの1/2の1/2の1/2となっていきますから、それを巻き戻すと、 が、
2×2×2=8個分
あると、計算を利用して解くこともできます。
しかし、入試問題の中には「広げたときに空いている穴の部分の面積を求めなさい」といったようなものもありますから、「折る前の図がかける」ことも必要です。
今回は、近年の女子中入試で出された「平面図形」のうち、「求積(面積を求める)」の1行問題を見てきました。
図形の1行問題は、前回の「角の大きさ」がそうであったように、「解法知識」を身につけていると、素早く正確に解ける問題が多くあります。
ですから、ご紹介しました「重なりは引く」、「正方形の中のレンズ形の面積=四分円×2-正方形」、「円問題の補助線は中心と結ぶ半径」、「30度問題」などの「解法知識」を学ぶたびに、「解法知識専用まとめノート」や大きめの「単語カード」を作って、できるだけ多くの「解法知識」を覚えていくと、平面図形の得点を伸ばしてくことができると思います。