第511回 女子中の平面図形 1
「第511回 女子中の平面図形 1」
これまで、最近の中学入試の中から、女子中で出題された「文章題」、「比と割合」、「速さ」の問題を見てきました。
今回からは、「平面図形」について見ていこうと思います。
はじめにご紹介するのは、角度についての1行問題です。
【問題】
[図1]のように正三角形ABCと正五角形があります。アの角の大きさは何度ですか。
(日本女子大学附属中学校 2020年 問題Ⅱ-(4))
【考え方】
正三角形も正五角形も1つの内角の大きさを計算できますから、図の中にどんどん数値を書き込んでいけばOKですが、今回は、「角の五原則」を利用しながら、できるだけ書き込みを少なくする工夫を考えてみます。
角A=60°ですから、次の図で印をつけた角(三角形の外角)の大きさがわかればよいことに気づけます。
五角形のひとつの外角の大きさは
360°÷5=72°
ひとつの内角の大きさは
180°-72°=108°
ですから、
より、
〇=108°-60°=48°
とわかり、ひとつ上の図で印をつけた角の大きさが、
48°+108°=156°
と求められます。
角ア=156°-60°=96°
答え 96°
角の大きさを求めるときは、まず、「角の5原則」を使ってみましょう。
特に、基本レベルの問題では、「外角」に着目すると解きやすいことが多いです。
では、次の問題です。
【問題】
辺の長さが等しい正五角形、正三角形、正方形を図のように組み合わせた図形を考えます。角アと角イの大きさの合計は何度ですか。
(洗足学園中学校 2019年 問題3-(2))
【考え方】
「角の和」を求める場合は、「それぞれの角の大きさ」を求めなくてもよい問題が少なくありません。
また、本問のように「凸凹した図形は凹をなくす」と考えやすくなります。
上の図のように、凹をなくして角アとイを含む四角形を作ると、「二等辺三角形」が四角形の内部にできます。
360°-(108°+60°+90°)=102°…二等辺三角形の頂角
角アとイを含む四角形に着目すると、
360°-{(180°-102°)+108°+90°}=84°
のようにして、角アとイの和が求められます。
答え 84°
また、下の図のように、正五角形と正方形の辺を延長して大きな六角形を作ると、
六角形の内角の和は
180°×(6-2)=720°
ウ以外の赤色の角の和は
108°+108°+(108°+60°)+(60°+90°)+90°=624°
ですから、
角ウ=720°-624°=96°
です。
角ア、イ、ウの三角形に着目すると、
180°-96°=84°
が角アとイの和と求められます。
この他、下側に延長して「ブーメラン四角形」を作っても解くことができます。
今回、最後の問題です。
【問題】
次の図で、円周上の・は円周を10等分しています。角アの大きさは何度か求めなさい。
(頌栄女子学院中学校 2020年 問題1-(4))
【考え方】
円と角の大きさに関する問題です。
「円問題の補助線は中心と円周上の点を結ぶ半径」という原則を利用すると、二等辺三角形ができます。
上の図で印をつけた角の大きさは、
(180°-36°×3)÷2=36°…赤色の角
(180°-36°×4)÷2=18°…青色の角
です。
「ブーメラン四角形(矢じり型)」に着目すると、
角ア=72°+36°+18°=126°
とわかります。
答え 126°
(別解)
円周を20等分し、円の中心を通る平行線を補って解くことができます。
360°÷20×7=126°
今回は、近年の女子中で出された「平面図形」の問題の中から、「角の大きさ」をテーマとした1行問題を選んでみました。
はじめて角の問題に取り組むときは、「大きさのわかるところから数値をどんどん書き込んでいく」という取り組み方でよいのですが、ある程度慣れてきたら、「どこの角の大きさがわかればよさそうか?」と考え、方針を立てて解く練習をすると、実力テストや入試問題を解くときに正解しやすくなると思います。
方針を立てるときには「角の5原則」が役立ちますので、この「角の5原則」をいつでも使えるように覚えておきましょう。
また、「凹凸のある多角形の工夫の仕方」や「円問題の補助線」など、長さや面積を求めるときにも使用する「解法知識」は、「角の大きさ」を求める問題でも重要になってきますので、少し大きめの単語カードに整理するなどして、「解法知識」もできるだけ多く覚えていけるといいですね。