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第511回 女子中の平面図形 1

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図形の練習問題 2020年08月29日18時00分

「第511回 女子中の平面図形 1」


これまで、最近の中学入試の中から、女子中で出題された「文章題」、「比と割合」、「速さ」の問題を見てきました。


今回からは、「平面図形」について見ていこうと思います。


はじめにご紹介するのは、角度についての1行問題です。


【問題】
[図1]のように正三角形ABCと正五角形があります。アの角の大きさは何度ですか。

20200826144828.jpg

(日本女子大学附属中学校 2020年 問題Ⅱ-(4))








【考え方】
正三角形も正五角形も1つの内角の大きさを計算できますから、図の中にどんどん数値を書き込んでいけばOKですが、今回は、「角の五原則」を利用しながら、できるだけ書き込みを少なくする工夫を考えてみます。


角A=60°ですから、次の図で印をつけた角(三角形の外角)の大きさがわかればよいことに気づけます。

20200826144902.jpg


五角形のひとつの外角の大きさは

360°÷5=72°

ひとつの内角の大きさは

180°-72°=108°

ですから、

20200826144944.jpg
より、

〇=108°-60°=48°

とわかり、ひとつ上の図で印をつけた角の大きさが、

48°+108°=156°

と求められます。


角ア=156°-60°=96° 

答え 
96° 






角の大きさを求めるときは、まず、「角の5原則」を使ってみましょう。


特に、基本レベルの問題では、「外角」に着目すると解きやすいことが多いです。

20200826145017.jpg





では、次の問題です。




【問題】
辺の長さが等しい正五角形、正三角形、正方形を図のように組み合わせた図形を考えます。角アと角イの大きさの合計は何度ですか。

20200826145037.jpg

(洗足学園中学校 2019年 問題3-(2))








【考え方】
「角の和」を求める場合は、「それぞれの角の大きさ」を求めなくてもよい問題が少なくありません。


また、本問のように「凸凹した図形は凹をなくす」と考えやすくなります。


20200826145159.jpg


上の図のように、凹をなくして角アとイを含む四角形を作ると、「二等辺三角形」が四角形の内部にできます。  

360°-(108°+60°+90°)=102°…二等辺三角形の頂角


角アとイを含む四角形に着目すると、

360°-{(180°-102°)+108°+90°}=84°

のようにして、角アとイの和が求められます。

答え 84°



また、下の図のように、正五角形と正方形の辺を延長して大きな六角形を作ると、

20200826145110.jpg


六角形の内角の和は

180°×(6-2)=720°

ウ以外の赤色の角の和は

108°+108°+(108°+60°)+(60°+90°)+90°=624°

ですから、

角ウ=720°-624°=96°

です。


角ア、イ、ウの三角形に着目すると、

180°-96°=84°

が角アとイの和と求められます。


この他、下側に延長して「ブーメラン四角形」を作っても解くことができます。


20200826145518.jpg




今回、最後の問題です。




【問題】
次の図で、円周上の・は円周を10等分しています。角アの大きさは何度か求めなさい。


20200826145545.jpg

(頌栄女子学院中学校 2020年 問題1-(4))








【考え方】
円と角の大きさに関する問題です。


「円問題の補助線は中心と円周上の点を結ぶ半径」という原則を利用すると、二等辺三角形ができます。

20200826145617.jpg


上の図で印をつけた角の大きさは、

(180°-36°×3)÷2=36°…赤色の角 
(180°-36°×4)÷2=18°…青色の角 

です。


「ブーメラン四角形(矢じり型)」に着目すると、

20200826145653.jpg

角ア=72°+36°+18°=126°

とわかります。

答え 
126° 

20200826145825.jpg

(別解) 
円周を20等分し、円の中心を通る平行線を補って解くことができます。

20200826145713.jpg

360°÷20×7=126°  






今回は、近年の女子中で出された「平面図形」の問題の中から、「角の大きさ」をテーマとした1行問題を選んでみました。


はじめて角の問題に取り組むときは、「大きさのわかるところから数値をどんどん書き込んでいく」という取り組み方でよいのですが、ある程度慣れてきたら、「どこの角の大きさがわかればよさそうか?」と考え、方針を立てて解く練習をすると、実力テストや入試問題を解くときに正解しやすくなると思います。


方針を立てるときには「角の5原則」が役立ちますので、この「角の5原則」をいつでも使えるように覚えておきましょう。


また、「凹凸のある多角形の工夫の仕方」や「円問題の補助線」など、長さや面積を求めるときにも使用する「解法知識」は、「角の大きさ」を求める問題でも重要になってきますので、少し大きめの単語カードに整理するなどして、「解法知識」もできるだけ多く覚えていけるといいですね。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2020年08月29日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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