第506回 女子中の算数 比と割合 売買算2
「第506回 女子中の算数 比と割合 売買算2」
前回から、女子中の近年の中学入試で出された「売買算」の問題をご紹介していますが、今回は、大問形式の「売買算」です。
【問題】
Aさんは3日間行われるフリーマーケットに参加することにしました。1日目、ある商品を1個300円で50個仕入れ、30%の利益を見込んで定価をつけて売り出したところ、全部売れました。そこで、2日目にも同じ商品を1個300円で50個仕入れたところ、2日目は朝から雨が降っていたため、1日目につけた定価の40円引きで売りましたが、15個売れ残りました。次の問いに答えなさい。
(1) 1日目に得た利益はいくらですか。
(2) 3日間で得た利益を6000円以上にするには,3日目に残りの商品をいくら以上で売ればよいでしょうか。ただし、3日目には新しく商品は仕入れず、2日目に売れ残った商品がすべて売り切れるものとします。
(恵泉女学園中学校 2019年 問題5)
【考え方】
(1)
「多数売り」の売買算ですから、表に整理します。
上の表の空欄を埋めて、答えを求めます。
19500円-15000円=4500円 または 90円×50個=4500円
答え 4500円
(2)
今度は3日分をひとつの表に整理していきます。
上の表で、3日目の利益(ア)がわかれば3日目の売価も求められそうですが、3日目に原価や仕入れが書かれていないために、どうすれば利益が求められるか、迷ってしまいそうです。
もし、
のようにすると、3日目の売価を
300円+284円=584円
と、まちがった答えを書いてしまうことになります。
問題文をよく見てみると、「3日目には新しく商品は仕入れず、2日目に売れ残った商品がすべて売り切れる」とありますから、2日目と3日目を一緒にして考えなければいけないことがわかります。
上の表で、
6000円-4500円=1500円…ア
ですから、
12250円+イ=15000円+1500円 → イ=4250円
と求められます。
?円=4250円÷15個=283.3…円 → 284円以上
答え 284円以上
本問の(2)は、「仕入れ+利益=売り上げ」という関係を「日ごと」に区別できるかが問われています。
なお、上記は「総額」に着目して解いていますが、「1個あたりの平均の利益」を利用してもOKです。
もう1問見ていきましょう。
【問題】
ある商店で、品物Aを定価250円で売っています。先月は品物Aを定価で売りました。今月の品物Aの売り上げ個数が先月よりも1割減少すると予想できたため、今月は定価の14%引きで売ることにしました。その結果、今月の品物Aの売り上げ個数は予想していた個数よりも3割増え、売り上げ金額が先月よりも1240円増えました。このとき、次の各問いに答えなさい。
(1) 今月の品物Aの売り値を求めなさい。
(2) 定価の14%引きで売った結果、今月の売り上げ個数は、先月よりも何%増加したか求めなさい。
(3) 先月の売り上げ個数を求めなさい。
(東京女学館中学校 2018年 問題6)
【考え方】
(1)
250円×(1-0.14)=215円
(2)
「予想と実際」について、表に整理します。
上の表の個数の欄を埋めていきます。
今月の売り上げ個数 1.17 ÷ 先月の売り上げ個数 1 =1.17倍 → 17%増加
答え 17%増加
(3)
(2)の表の合計欄を埋めていきます。
上の表より、
1240÷(251.55-250)=800 … ①
答え800個
本問は、「先月」、「予想」、「実際」について、問題の条件を表に整理して見やすくすると、順々に答えを求めることができました。
今回ご紹介した「多数売り」の問題は、整理方法の原則である「ネコの毛を限定販売」の表を、問題の条件に従って項目を増減させたり、まとめたりすることで正解を導き出すことができるものでした。
「売買算」は、大きく「1個売り」、「多数売り」の2つに分類することができ、それぞれに応じた整理方法を用いると解くことができます。
「売買算」が苦手なときは、まず「原価+見込んだ利益=定価」、「売価-原価=利益 または、原価-売価=損失」などの用語と関係を覚え、その上で問題に応じた整理方法を身につけられるよう、問題演習に取り組んでみましょう。