第501回 女子中の算数 文章題 2
「第501回 女子中の算数 文章題 2」
前回から、近年の女子中の入試問題の算数について考えています。
前回は、入試問題の前半で出されやすい「一行問題」の「文章題」を見ました。
今回は、同じ「文章題」の中から、大問形式の問題を見ていこうと思います。
【問題1】
のぞみさんは、現在いくらかのお金を持っています。明日から毎朝一定の金額の昼食代をお母さんからもらい、食堂を利用することになりました。食堂には3種類の定食が用意されています。毎日500円の定食Aを食べると、20日間で残金が1000円になりますが、毎日450円の定食Bを食べると、30日間でちょうどお金がなくなります。このとき、次の各問いに答えなさい。
(1) のぞみさんが、お母さんから毎朝もらう昼食代を求めなさい。
(2) のぞみさんが、はじめに持っていた金額を求めなさい。
(3) 毎日定食Cを食べると、50日間でちょうどお金がなくなります。定食Cは何円ですか。
(東京女学館中学校 2019年 問題7 問題文一部改)
【考え方】
昼食代をお母さんからもらいながら、食堂を利用してお金を使っていきますので、増加と減少が同時におこる「ニュートン算」だとわかります。
ニュートン算には、総量に着目する解き方と、単位量に着目する解き方があります。
はじめに、総量に着目してこの問題を解いてみます。
総量に着目するときは、線分図を利用すると考えやすくなります。
このとき、お母さんからもらう20日分の昼食代よりも30日分の昼食代の方が多いことと、定食Aの場合はお金が残ることの、2点に注意します。
上の線分図で、「ア+1000円」が使ったお金の差です。
450円×30日-500円×20日=3500円 … ア+1000円
3500円-1000円=2500円 … ア
アは、お母さんからもらった20日分の昼食代と30日分の昼食代の差ですから、
2500円÷(30日-20日)=250円
が、のぞみさんが、お母さんから毎朝もらう昼食代です。
(1)の答え 250円
お母さんから毎朝もらう昼食代が250円とわかりましたから、定食Bの線分図より
13500円-250円×30日=6000円
がのぞみさんのはじめに持っていたお金とわかります。
(2)の答え 6000円
(※定食Aの線分図を利用して、10000円+1000円-250円×20日=6000円のように計算してもOKです。)
(3)
(6000円+250円×50日)÷50日=370円
(※6000円÷50日+250円=370円のように計算しても求められます。)
次に、この問題を、単位量に着目して解いてみましょう。
単位量に着目するときは、「水そう解法」を利用すると考えやすくなります。
上の図で、ア(のぞみさんのはじめに持っていたお金)を日数の最小公倍数60 ○とすると、定食Aのときは、1日あたり
(60 ○-1000円)÷20日=③-50円
ずつ減り、定食Bのときは、1日あたり
60 ○÷30日=②
ずつ減ることになります。
1日あたりに減るお金に差があるのは、定食代に150円の差があるためですから、
(③-50円)-②=50円 → ①=100円
とわかります。
定食Bの場合に着目すると、
450円-(お母さんからもらう1日分の昼食代)=200円 → お母さんからもらう1日分の昼食代=250円
が求められます。
以下、(2)、(3)は、総量に着目したときと同じようにして求めます。
本問の場合は残金があるため、「総量」に着目する方が解きやすいと思いますが、「単位量」に着目しても解くことは可能です。
ニュートン算のように解き方が2種類ある文章題は、両方の解き方を身につけ、問題に応じて使い分けることができるようになると理想的です。
では、もう1問です。
【問題2】
あるお店ではジュースが晴れの日には10本、くもりの日には5本、雨の日には2本売れます。ジュースは1本200円です。このとき、次の問いに答えなさい。
(1) 雨の降らなかった1週間で、売り上げは12000円でした。晴れの日は何日でしたか。
(2) 2週間のうち、晴れの日数とくもりの日数が同じで、売り上げは18800円でした。晴れの日は何日でしたか。
(3) ある月の31日間の天気は、晴れの日数とくもりの日数の比が2:1で、売り上げは50400円でした。晴れの日は何日でしたか。
(富士見中学校 2019年 問題2-A)
【考え方】
(1)
1日に10本売れる晴れの日と、5本売れるくもりの日の合計7日間で、1本200円のジュースが12000円売れたという、つるかめ算の問題です。
つるかめ算には、主に、計算公式、表解、面積図解法の3つの解き方があります。
(1)はつるかめ算の基本レベルですから、計算公式で解くのが一番速そうです。
求めるものが晴れの日の日数ですから、「もし、くもりの日ばかりだったとすると」と仮定しましょう。
12000円÷200円=60本 … 売れたジュースの本数の合計
(60本-5本×7日)÷(10本-5本)=5日
(2)
晴れの日、くもりの日、雨の日の合計14日間で、1本200円のジュースが18800円売れたという、3種のつるかめ算ですから、表解または面積図解法を利用します。
「晴れの日数とくもりの日数が同じ」という条件がありますから、どちらもが0日の場合から順に表を書いて、ジュースの本数の変化を調べます。
18800円÷200円=94本 … 14日間に売れたジュースの本数の合計
上の表で、晴れの日とくもりの日が1日増え、雨の日が2日減るごとにジュースの本数が11本増えていますから、
(94本-28本)÷11本=6日 … 晴れの日、くもりの日のそれぞれの日数
とわかります。
答え 6日
面積図解法の場合は、次のようになります。
上の図より、
⑧+③+28本=94本 → ①=6本
6本×8÷8本=6日
(※(94本-28本)÷(8本+3本)=6日という計算方法もあります。)
(3)
(2)と同じく、条件のある3種のつるかめ算ですから、表解、面積図解法のどちらを利用してもOKです。
今回は、表解を用いてみます。
50400円÷200円=252本 … 31日間に売れたジュースの本数の合計
上の表で、晴れの日が2日、くもりの日が1日増え、雨の日が3日減るごとにジュースの本数が19本増えていますから、
(252本-62本)÷19本=10
2日×10=20日 … 晴れの日の日数
とわかります。
答え 20日
今回見てきたように、ニュートン算には2つの解き方、つるかめ算には3つの解き方がありました。
複数の解き方のある文章題を学ぶときは、1つの解き方をマスターしたあと、残りの解き方も身につけ、問題に応じた最も適した解き方を選択して、正解できる問題を増やすことや、短い時間で問題を処理することができるように、練習ができればいいなと思います。