第472回 中学入試で出題される「数の性質」 3
「第472回 中学入試で出題される「数の性質」 3」
「数字の個数」、「数の個数」といった「数の性質」に関する問題について見てきています。
前回、問題の解き方をご紹介していく中に「0抜きN進法」がでてきましたので、今回は「N進法」をテーマにした問題をご紹介していきたいと思います。
2018年度 昭和学院秀英中学校 第2回(四谷大塚 80%偏差値 男子58・女子60)より
問題2
3つの数字0、1、2を用いて数字を作り、次のように小さい順に並べます。
1、2、10、11、12、20、21、22、100、…
このとき、次の問いに答えなさい。
(1) 3桁の数字はいくつありますか。
(2) 100番目の数字を求めなさい。
(3) 100番目までの数字に3の倍数はいくつありますか。
【解答例】
はじめは「場合の数」を利用して問題を解いてみます。
(1)
3桁の数をABCのように表すと、Aは1、2の2通り、Bは0、1、2の3通り、Cも0、1、2の3通りありますから、3桁の数は、
2通り×3通り×3通り=18通り
あります。
答え 18個
(2)
1桁の数は1、2の2個、
2桁の数は(1)と同じように考えると、
2通り×3通り=6通り → 6個
3桁の数は(1)で求めた18個、
4桁の数も(1)と同じように考えると、
2通り×3通り×3通り×3通り=54通り → 54個
ありますから、100番目の数は、
100個-(2個+6個+18個+54個)=20個
より、5桁の数の20番目の数だとわかります。
5桁の数をABCDEのように表すとすると、Aが1、Bが0、Cも0のとき、D、Eはそれぞれ0、1、2の3通りありますから、100DEで表される数は、
3通り×3通り=9通り → 9個
あります。
20個=9個+9個+2個
ですから、100番目の数は、102DEのように表される数の2番目の数です。
102DEは順に、10200、10201、…ですから、答えは10201です。
(3)
(2)より、100番目の数は5桁の数の20番目ですから、はじめに1~4桁の数ABCDの中に3の倍数が何個あるかを、「デジタル解法」を利用して求めます。
各位の和が3のとき
(0、0、1、2)…A、B、C、Dのいずれか2つが0、残りの2つが1、2の場合を考えて、
4C2×(2×1)=(4通り×3通り)/(2通り×1通り)×2=12通り → 12個
(0、1、1、1)…A、B、C、Dのいずれか1つが0の場合を考えて、
4C1=4通り → 4個
各位の和が6のとき
(0、2、2、2)…(0、1、1、1)と同じ4通り → 4個
(1、1、2、2)…A、B、C、Dのいずれか2つが1の場合を考えて、
4C2=(4通り×3通り)/(2通り×1通り)=6通り → 6個
12個+4個+4個+6個=26個
5桁の数は、100DEのとき10002、10011、10020の3個、101DEのとき10101、10110、10122の3個、10201までの102DEのときは10200の1個
3個+3個+1個=7個
0個+2個+6個+18個+7個=33個
(別解)
「踏み台解法」を応用します。
1~4桁の数ABCDの上3桁は000~222ですから、各位の和は1~6です。
数ABCDの上3桁ABCの各位の和が
0となる場合 → 下1桁のDに「0」
1となる場合 → 下1桁のDに「2」
2となる場合 → 下1桁のDに「1」
3となる場合 → 下1桁のDに「0」
4となる場合 → 下1桁のDに「2」
5となる場合 → 下1桁のDに「1」
6となる場合 → 下1桁のDに「0」
をいれると、1~4桁の数ABCDの各位の和は必ず3の倍数になります。
ですから、0001~2222にある3の倍数の個数は、000~222の個数と同じになります。
A、B、Cはそれぞれ0~2の3通りですが、A=B=C(=D)=0となる000は除く必要がありますから、
3通り×3通り×3通り-1通り=26通り → 26個
とわかります。
5桁の数については、上記と同じように書き出せばOKです。
上記のように、「3つの数字0、1、2を用いて」という条件を「0、1、2のカードを並べて」と読み替えると、「場合の数」の考え方を利用して解くことができます。
しかし、(1)、(2)は「N進法」を利用するとより簡単に答えを求めることができます。
(別解)
(1)
「3つの数字0、1、2」を用いて表される数は3進法の数です。
ですから、この問題の3桁の数は「100(3)~222(3)」という3進法の数と置き換えることができます。
100(3)=32×1=9
222(3)=32×2+31×2+2=26
ですから、「100(3)~222(3)」は10進法では9以上26以下の整数ということになります。
26-(9-1)=18(個)
(2)
「100番目」の100は10進法で表された数ですから、これを3進法の数に直します。
答え10201
これまで見てきましたように、「数の性質」の問題の中には「場合の数」を利用することができる問題がありますが、本問の(1)、(2)のように「N進法」を利用すると、より簡単に答えが出せる問題もあります。
6年生になって「整数の性質」を学ぶとき、このことを知っておくとより深い学習に取り組めるのではないかと思います。