第464回 合格をするために正解したい問題 9
「第464回 合格をするために正解したい問題 9」
中学入試で正解したい問題について、「立体図形の移動」、「立体図形の切断」と見てきました。
今回は「立体図形」の中の「水問題」がテーマです。
「水問題」には、水を移し替える問題、水の中に立体を沈めていく問題、水の入った容器の向きを変えたり傾けたりする問題、水位の変化とグラフの問題などがありますが、1問目は水の入った容器の向きを変える問題を見ていきます。
【問題】
右の図のような、直角三角形と長方形で囲まれた立体の中に水が入っています。いま、面BCFEを下にして水平な床の上に置いたところ、水面の高さが5 1/3cmになりました。
(1) 面ABC を下にすると、水面の高さは何cmになりますか。
(2) 面ACFDを下にすると、水面の高さは何cmになりますか。
【解答例】
(1)
水の形は底面は四角形(台形)とする四角柱です。
図形は三角形に着目するのが原則なので、三角柱の形をしている空気(容器内のすき間)に着目してみます。
上の図で、容器の三角形と空気の三角形の相似比は、8cm:8/3cm=3:1 ですから、面積比は9:1です。
従って、空気の体積は容器全体の1/9とわかります。
この割合は容器の向きを変えても変りませんから、
となるので、水面の高さは ⑧=13 1/3cm です。
(2)
(1)と同様に容器の向きを変えても容器と空気の体積の割合は変りませんから、
のようになります。
三角形ABCの3辺の比が3:4:5であることから、ACを底辺としたときの高さは、
6cm×4/5=4.8cm
ですから、三角柱(空気)の底面積の高さは、
4.8cm÷3=1.6cm
です。
ですから水面の高さは、
4.8cm-1.6cm=3.2cm
です。
(出典:慶應義塾中等部 2019年度入試 問題5 一部改題)
本問では体積の計算に必要な数値はほとんど与えられていますから、実際の体積を求めても構わないのですが、「比」や「割合」で答える問題も中学入試にはありますので、上記の解答例のように、(1)のように「底面積が等しい2つの三角柱の体積比=高さの比」や、(2)のように「高さが等しい2つの三角柱の体積比=底面積比」も利用できるようになっておくことが望ましいでしょう。
次は水の中に立体を沈める問題です。
【問題】
ある容器に水が入っています。この容器に右の図のような直方体のおもりを長方形の面が底面につくように沈めると容器の水の深さは4cmになり、正方形の面が底面につくように沈めると容器の水の深さは3cmになります。このおもりを4本用意し、すべて正方形の面が底面につくように沈めるとき、容器の水の深さを求めなさい。ただし、容器から水はあふれないものとします。
【解答例】
沈める立体の図しかありませんので、真正面から見た図を自分でかいて、問題の条件をわかりやすくします。
問題文中に「容器から水はあふれない」とありますから、上の2つの図の水の体積は1:1です。
さらに水の高さが
4cm:3cm=4:3
ですから、水の底面積は ③:④ です。
③+36cm2=④+16cm2
↓
①=20cm2
20cm2×3+36cm2=96cm2 … 容器の底面積
容器の底面積がわかりましたので、おもり4本を沈めた図をかいて答えを求めます。
はじめの図(左)で水の底面積は ③=60cm2ですから、
60cm2×4cm÷(96cm2-64cm2)=7.5cm
(出典:明治大学付属中野八王子中学校 2019年度入試 問題2-(5))
本問のように立体を水の中に沈めた図が与えられていないときは、真正面から見た図を自分でかくと解くことができる問題かどうかがわかります。
サピックスの5年生の場合、夏期講習で水問題を学びましたが、次に学習する機会は6年生の春期講習の後で、しばらく間が空きます。
しかし、例年、6年生の春期講習明け、4月初旬に実施される「第1回 志望校判定サピックスオープン」では水問題が出されたこともありますから、時間に余裕のある5年生のうちに復習する機会を作ることができればいいなと思います。