第458回 合格をするために正解したい問題 3
「第458回 合格をするために正解したい問題 3」
前回の「濃さ」の問題に引続き、「比と割合の文章題」より「売買算」について、中学入試で合格最低点を獲得するために正解したい中級問題について見ていきます。
【問題】
商品Aを売ることを考えます。はじめ、商品Aの仕入れ値の25%が利益となるように、売り値を決めました。次の問いに答えなさい。
(1) 売り値が仕入れ値以上となるように値引きを考えます。売り値の何%まで値引きできますか。
(2) 商品Aを1セット10個入りで売っていました。1セットの売り値は、はじめの売り値の10個分の金額でした。1セットの売り値はそのままにして、1セットの商品Aの個数を増やして売るサービスを考えます。利益がでるようにするには、1セットにあと何個まで増やすことができますか。
(3) 商品Aを1セット20個入りで売ることにします。1セットの売り値は、はじめの売り値の18個分の金額を、さらに6%値引きしたものです。商品Aの1個当たりの利益は、1個当たりの仕入れ値の何%ですか。
【解答例】
(1)
仕入れ値(原価)、売り値(定価)、値引き後の売り値(売価)は、次のように整理できます。
上の図より、①÷⑤=0.2 → 20%
※「値引き後の売り値は、はじめの売り値の何%ですか」のように題意をとると、80%という答えになります。
(2)
「はじめ」の1セットと「サービス時」の1セットは、次のように整理できます。
上の図より、
⑤×10個÷④=12.5個
↓
12個まで増やすことができる。
12個-10個=2個
(3)
このセット商品の原価と定価の関係は、次のようになります。
上の図より、このセット商品の利益は、
です。
これが1セット中の商品A20個の利益ですから、1個当たりの利益の割合は、
です。
最後の計算は、「1個当たりの利益÷1個の仕入れ値」でもOKです。
(出典:フェリス女学院中学校 2017年度入試 問題3)
本問は、「売買算」の「1個売り」に関する問題です。
上の解答例のように「1個売りのときは、原価、定価、売価を横1列に整理する」と決めておくと、「原価」は商品の個数に比例しても、「定価や売価」は商品の個数に比例するとは限らない「セット」のような紛らわしい条件がでてきても混乱を防ぐことができると思います。
では、もう1問見てみましょう。
【問題】
ある店では、2種類のボールペンA、Bを売っています。Aには原価の15%、Bには原価の12%の利益を見込んで定価をつけてあります。1本あたりの原価と定価はともに整数になっています。ある日、Aが14本、Bが6本売れ、利益は合わせて198円でした。このとき、次の問いに答えなさい。(式や考え方も書きなさい)
(1) AとBの1本あたりの原価をそれぞれ求めなさい。
(2) 次の日、Aを3本とBを3本の合計6本を1セットとした福袋を作り、原価の5%の利益を見込んだ値段で売りました。この日は、1本ずつ定価どおり売れたものと福袋で売れたものを合わせてA47本、Bが44本売れ、利益は639円でした。福袋は何個売れましたか。
【解答例】
(1)
A、Bについて、原価、定価、利益の関係を整理します。
Aが14本、Bが6本売れたときの利益が198円でしたから、
より、
3円×20=60円 … Aの原価
4円×25=100円 … Bの原価
です。
(2)
それぞれの利益を求めます。
(60円×3本+100円×3本)×0.05=24円 … 福袋1個の利益
60円×0.15=9円 … A1本の利益
100円×0.12=12円 … B1本の利益
これらについて、Aが47本、Bが44本売れたときの利益が639円となることを表にまとめて調べます。
上の表より、
(951円-639円)÷39円=8個
(出典:武蔵中学校 2018年度入試 問題3)
「売買算の多数売り(販売個数が2個以上)」の問題ではつるかめ算と組み合わされることがあります。
本問はよく見かけるパターンとは少しちがいますが、(1)は「売買算+不定方程式タイプのつるかめ算」、(2)は「売買算+2種のつるかめ算」という問題でした。
サピックスの6年生の場合、売買算は夏期講習中におさらいをしています。
つるかめ算は9月には行ってすぐに復習の機会があります。
条件の整理方法に不安があるようでしたら、それらの教材を用いて復習してみるのもよいと思います。