第457回 合格をするために正解したい問題 2
「第457回 合格をするために正解したい問題 2」
前回より、入試レベルにおける基本問題(受験者平均を獲得するための問題)、中級問題(合格最低点を獲得するための問題)、上級問題(合格者平均を獲得するための問題)、最上級問題(上位合格)の中から、合格最低点を獲得するために正解したい中級問題について見ています。
第2回は「比と割合の文章題」です。
比と割合の文章題には、倍数算や相当算、濃さ、売買算などがありますが、今回は食塩水の濃さに関する問題にスポットを当ててみようと思います。
【問題】
ビーカーAに16%の食塩水400gが入っています。Aから食塩水100gを取り出し、Aに水を100g入れてよくかき混ぜ、次にAから食塩水200gを取り出しAに水を200g入れてよくかき混ぜました。最後にAから食塩水を何gか取り出し、取り出した量と同じ量の20%の食塩水をAに入れてよくかき混ぜたところ13%の食塩水になりました。20%の食塩水を何g入れましたか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図などを書きなさい。
【解答例】
食塩水のやりとり算です。
食塩水のやりとり算の問題を条件整理するときは、「フローチャート(流れ図)」または「絵」を利用します。
フローチャートに整理すると上のようになりますから、それぞれの「塩分数」について食塩水に含まれる食塩の重さや濃さを計算していきます。
上の図のように、3回目の交換は「塩分数」の計算だけでは答えが求められませんので、面積図解法や天秤法を利用します。
②=400g → ①=200g
なお、「等量の水との交換=〇倍に薄める」ということが利用できることに気づけば、次のように、より簡単に計算できます。
1回目の交換
400gの食塩水から100gを捨てて代わりに水100gを入れる(もとの食塩水が3/4残る)
↓
濃さが3/4倍になる
↓
16%×3/4=12%
2回目の交換
400gの食塩水から200gを捨てて代わりに水200gを入れる(もとの食塩水が2/4残る)
↓
濃さが2/4倍になる
↓
12%×2/4=6%
3回目の交換
上の図より、②=400g → ①=200g
また、問題条件を「絵」に整理すると次のようになります。
上の図の4つ目の「ビーカー」に着目すると、
150g×0.16÷400=0.06→6%
と濃さがわかります。
以下は、「3回目の交換」ですから、フローチャートのときと同じように面積図解法や天秤法を用いて計算します。
(出典:洗足学園中学校 2017年度入試 第1回 問題3-(3))
本問は、解答数が16ある試験の9つ目の問題で試験の真ん中にあたり、また、「考え方」を解答欄にかくことを求められた4問のうちの1問目でもありますので、難度自体は高くありませんが、残り時間のことを考えればできるだけてきぱきと処理したい記述解答の問題という点で中級問題としました。
食塩水の濃さの問題の学習では、「塩分数のフローチャート(流れ図)」、ビーカーの「絵」が条件整理の基本、「食塩水の重さ×濃さ=食塩の重さ(3公式)」と面積図解法または天秤法が計算の基本ですから、これらを身につけておくことは必須です。
それに加えて「等量交換」や「濃さが同じになる」といった特別な問題条件に対応する力があれば、正解できる問題数を増やすことや処理に要する時間を短縮することが可能になります。
6年生の場合、食塩水の濃さについての復習は2学期以降の「デイリーサポート」でも少し取り扱われますが、本格的な応用問題はこれから学ぶ入試問題を中心とした志望校別の傾向対策講座の授業が中心となります。
もし、今回ご紹介したような問題に不安があるようでしたら、志望校別の傾向対策講座が始まる前に、これまでに学んだ問題で復習をしておくとよいでしょう。
一方、5年生は、6年生になるとこのような力が必要になっていくことを知り、2学期以降は少し先を見すえながら「デイリーサポート」など基幹講座で「比と割合の文章題」に取り組んでいくことができれば理想的だと思います。
今回は、合格最低点を獲得するために正解したい中級問題について、「比と割合の文章題」の中から食塩水の濃さに関する問題をご紹介しました。
次回は「売買算」について見てみようと思います。