第451回 大手進学塾の夏期講習 3
「第451回 大手進学塾の夏期講習 3」
大手進学塾の6年生が夏期講習で学ぶ内容について見てきています。
今回は、サピックスの夏期講習教材「サマーサポート」から、第4回で学ぶ「平面図形(1)」で取り扱う問題を見ていこうと思います。
サピックスの6年生は、平常授業の第2回で角の大きさや面積の求め方、春期講習の第2回で面積の比、平常授業の第11回で相似、第19回でそれらのまとめについて学びましたが、「図形の移動」を含めると全部で4回ある夏期講習の平面図形ではどのような問題が取り扱われるのでしょうか。
さっそく、実際の問題で見ていきましょう。
サピックス 夏期講習教材「サマーサポート 第4回 平面図形(1)」(過年度版)より
C問題2 右の図のx、yの角度を求めなさい。
【解答例】
角の大きさを求めるとき、大きさがわかる角から書き込んでいくという方法でも構いませんし、「角の5原則」が利用できるとベターです。
まずxを求めるために三角形の内角に着目すると、次の図のアまたはイの角の大きさがわかればよいことに気づけます。
上の図より、
ア=180°-(100°+60°)=20°
と、赤い斜線の三角形が正三角形であることの2点がわかります。
さらに
より、水色の斜線の三角形が二等辺三角形であることもわかります。
従って、下の図で、赤色の辺の長さはすべて同じですから、緑色の斜線の三角形は二等辺三角形です。
(180°-20°)÷2=80°… x
180°-(80°+60°)=40°… y
「二等辺三角形を探す」という原則③が頭の中にあれば、この問題図の中に正三角形や二等辺三角形があることも気づきやすくなりますので、「角の5原則」はぜひ覚えておきたい知識です。
夏休み前までの角の大きさの学習では「長さの等しい辺」が与えられている問題には取り組みましたが、本問のように長さの等しい辺を「探す」という問題にはふれていませんので、夏期講習のこの問題はこれまでの発展学習といえそうです。
では、もう1問です。
D問題2 点Oを中心とする半径6cmの円があります。右の図の斜線部分の面積は何cm2ですか。ただし、円周率は3.14とします。
【解答例】
円問題には「補助線は中心と結ぶ(半径)」という原則がありますから、
のようにして、「赤色と水色の斜線部分の面積を円の面積から引く」という方針を立てることができます。
上の図のように、赤い三角形で、最も長い辺6cm:最も短い辺3cm=2:1より「30度問題」とわかりますから、赤いおうぎ形の中心角の15°がわかります。
あとは次の図の赤い三角形の面積がわかればよいのですが、3つの角の大きさが「30°・60°・90°」の直角三角形は最長辺と最短辺しか長さを求めることができませんので、赤い三角形の面積も求められません。
実は、この問題は「対称性」という考え方を利用して解く、「特別な円問題」です。
出題数は「円問題の補助線は中心と結ぶ」を利用して解く問題ほど多くありませんが、2019年度の中学入試では灘中の1日目の試験に類題が出されています。
上の図から、
円の面積=(☆+◎+1辺3cmの正方形)×4
となりますので、
☆+◎=6cm×6cm×3.14÷4-3cm×3cm=19.26cm2
です。
従って、求める面積は、
19.26cm2×2=38.52cm2
です。
今回はサピックスの夏期講習教材「サマーサポート」(過年度版)から、6年生が夏期講習の第4回に学ぶ問題を2問ご紹介しました。
第4回でもこれまでに学んだ内容の発展学習と、初めて学ぶ入試レベルの問題があり、第3回までと同様に、復習、発展学習、新しい学習となっています。
あと2週間ほどで夏期講習が始まります。
このような学習内容を見てくると、夏期講習で学ぶ発展学習や新しい学習がスムーズに身につけられるためにも、復習の範囲となるこれまでの学習内容については不安な単元をなくしておくことが大切だといえそうですね。