第439回 中学入試の攻略ポイント2
「第439回 中学入試の攻略ポイント2」
前回は、塾で行われる実力テストや中学入試で得点を伸ばしていくために、「正解できる問題で失点をしない」という大切なポイントについて、四谷大塚の80偏差値(合格可能性80%ライン)が60である海城中学の入試問題を例にして考えました。
その結果、解法のマスターに加えて、「レイアウト」、「計算」、「整理」、「作図」においても攻略しておきたいいくつかのポイントが見つかりました。
そこで、今回は「正解できる問題」の代表である「計算問題」と「一行問題」について、女子中の入試問題から見ていこうと思います。
ご紹介する問題は、2018年度に実施された頌栄女子学院中学の入試問題です。
この頌栄女子学院中学の第1回入試は、四谷大塚80偏差値が60となっています。
2018年度 頌栄女子学院中学 第1回入試問題 算数より
大問1
(1) (7×3.5+7×0.8-7×2.3)÷0.25を計算しなさい。
(2) □にあてはまる整数を求めなさい。
(3) □にあてはまる整数を求めなさい。
容器Aには濃度が6%の食塩水が300g、容器Bには濃度が□%の食塩水が500g入っています。Aから200gの食塩水をくみ出し、Bに入れてよくかき混ぜます。次にBから200gの食塩水をくみ出してAに入れてよくかき混ぜます。Aの食塩水の濃度は5.2%になりました。
(4) 下の図で、AC:AD=4:7のとき、BC:CDを求めなさい。
(5) 下の図は、半径12cmの円で、点A~Hは円周を8等分する点です。色のついた部分の面積を求めなさい。(円周率は3.14)
(6) 1辺10cmの立方体の3つの面の外側に、底面の半径4cmで高さ2cmの円柱を、立方体の面から底面がはみ出ないように1つずつくっつけます。できた立体の表面積を求めなさい。
(7) □にあてはまる数を求めなさい。
100人の生徒にお正月に何をしたか質問したところ、おせち料理を食べた人は98人、百人一首をした人は65人、たこあげをした人は72人、もちつきをした人は80人でした。4つ全てをした人は□人以上□人以下と考えられます。
(一部改題)
頌栄女子学院中学の2018年度の入試問題は大問5題(解答数16)で大問1の解答数が7(約44%)と、大問1の問題全体に占める割合が前回ご紹介した海城中学(約29%)よりも高くなっているためか、「定番の問題」よりは難度が高い問題も含まれています。
このような問題構成の場合では、どの問題を解くかという「問題選択」が得点を伸ばしていくために大切なポイントになってきます。
そのために必要となってくるのが、やはり「○○という条件があるときは☆☆のように整理して解く」といった方針を立てられることだと思います。
(1)
【学習のポイント】…分配法則と「0.25=1/4」を活用する。
(2)
【学習のポイント】…分数の大小比較は通分または「通子(分子をそろえる)」する。
(3)
【学習のポイント】…食塩水のやりとりは流れ図に整理する。
(4)
【学習のポイント】…平行線や延長線をかき加えて二等辺三角形を作る。
(5)
【学習のポイント】…等積移動は「図形式」を利用する。
(6)
【学習のポイント】…図のない図形問題は自分で図をかく。
(7)
【学習のポイント】…範囲のある集合算は線分図に整理する。
今回ご紹介した2018年度の頌栄女子学院中学の第1回の入試問題の大問1は、失点したくない定番の問題とそれよりもやや難度の高い問題が含まれています。
(1)~(3)、(5)、(6)は「学習のポイント」が身についていれば正解しやすい定番の問題です。
一方で、(4)、(7)は取り組む機会が少ない問題、言い換えると「解くためのテンプレートを持っていない問題」だと判断できれば、「パス」することや「試験時間が残れば取り組んでみよう」という「問題選択」が可能です。
「計算問題」や「一行問題」のあとに出される大問の中にも「解くためのテンプレートを持っていない問題」はありますが、それでも多くの場合、大問の中に小問が4つあれば(1)や(2)など前半の問題は「学習のポイント」を利用して解くことができます。
ですから、まずは「学習のポイント」を身につけ、その上で目標とする点数を取るために必要なことを明確にして家庭学習に取り組むことで、「問題選択」をする力がつき、また大問でも得点することができるようになれると思います。