第438回 中学入試の攻略ポイント1
「第438回 中学入試の攻略ポイント1」
前回は、4月に行われる6年生にとって大切なテストの準備について、春期講習との関係を見ました。
その結果、春期講習は春休みという短い期間に行われる関係で、取り扱われる内容が広く浅い場合もあれば、単元を絞り込んで深く学習する場合もあるため、各自に必要な家庭学習があることがわかりました。
そこで、今回からは、塾で行われる実力テストはもちろん、中学入試で得点を伸ばしていくために、家庭学習で取り組んでいく「テストの攻略ポイント」について考えていこうと思います。
得点を伸ばすためのポイントはいくつかありますが、その中でも最も大切なことは「正解できる問題で失点をしない」ということでしょう。
その代表が、テスト前半に出される「計算問題」や「一行問題」です。
これらの問題を2019年度に実施された中学入試の中から拾い出し、その解き方を見ていくことにします。
今回ご紹介するのは、四谷大塚の「80偏差値(合格可能性80%ライン)」が55~60の学校の中から、海城中学(偏差値60)の問題です。
2019年度 海城中学 入試問題 算数より
大問1
(1) 0.13×22.4-1.31×1.3+13×0.107を計算しなさい。
(2) 容器Aには濃度の分からない食塩水、容器Bには21%の食塩水が入っています。容器Aの食塩水の重さ100gと容器Bの食塩水200gをまぜたところ、容器Aの1.5倍の濃度の食塩水ができました。容器Aの食塩水の濃度を求めなさい。
(3) 静水時の速さが一定である船があります。この船が、一定の速さで流れている川の上流のA町と下流のB町を往復したところ、A町からB町までは18分、B町からA町までは24分かかりました。この川の流れの速さは、この船の静水時の速さの何倍ですか。
(4) 図のように、中心が同じ2つの円があります。小さい円の半径は1cm、大きい円の半径は2cmです。斜線部分と影をつけた部分の面積が同じになるとき、角アの大きさを求めなさい。
(5) 図のように、平行四辺形ABCDの対角線BDを3等分する点をE、Fとし、AEとBCが交わる点をG、AFと辺CDが交わる点をHとします。このとき、平面図形ABCDと五角形EGCHFの面積の比を最も簡単な整数の比で求めなさい。
(一部改題)
海城中学は四谷大塚の「80偏差値」が60の難関中ですが、大問1の5問はどれも大手進学塾のテキストや市販の中学受験問題集に掲載されている定番問題です。
このような「定番問題」で失点をせず、しかもスピーディーに解くためには、「○○という条件があるときは☆☆のように整理して解く」といった方針を立てられることが大切だと思います。
言い換えると「答案作成形式のテンプレート」を持てるような家庭学習をするということです。
(1)【学習のポイント】…「0.13」「1.3」「13」のように「位取りが違うだけの数」の積をたしひきする計算問題は、「○.○○(○○.○などもOK)」にそろえて分配法則を使う
(2) 【学習のポイント】…食塩水の混合は「塩分数」に整理して解く
(3) 【学習のポイント】…流水算はいったん状況図に整理する
(4) 【学習のポイント】…「差(等しい)とくればつけたし」→つけたして面積が求められる図形を作る
(5) 【学習のポイント】…「魔女の帽子」はダブルチョウチョ相似
中学入試や大手進学塾の実力テストの前半では、今回見たような「計算問題」と「一行問題」が多く出されます。
このような「定番の問題で失点をしない」ためのポイントには、解法のマスターに加えて、上記のような「レイアウト」、「計算」、「整理」、「作図」などもあります。
中学入試問題でも前半の「計算問題」と「一行問題」には現時点の6年生でも解ける問題がありますから、残された春休みや4月から5月にかけての大型連休などにこれらの問題に取り組み、できていないポイントがあればその修正に取り組めるとよいですね。