第425回 1月の入室・組分けテスト 2
「第425回 1月の入室・組分けテスト 2」
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さて、前回はサピックスで2018年1月8日に行われた、新6年生のクラスを決める「組分けテスト(第3回入室テスト)」の中から大問1~5をご紹介しました。
問題は5年生の1年間で学習した範囲からまんべんなく出されていましたが、基本知識や問題に応じた整理方法が身についていれば正解することのできるものでした。
今回は残りの大問6と7の2問について見ていきます。
どのような力が必要とされる問題だったのでしょうか。
さっそく見ていきましょう。
大問6
下の図のような、1辺の長さが3cmの正三角形ABCと、1辺の長さが3cmの正六角形があります。はじめ、三角形ABCの辺BCは正六角形の1辺に重なっていて、この状態から三角形ABCが矢印の方向に、正六角形の周囲に沿ってすべらずに回転しながら、もとの位置にもどるまで移動します。次の問いに答えなさい。円周率は3.14とします。
(1) 頂点Aが動いてできる線の長さは何cmですか。
(2) 三角形ABCが通る部分の面積と、1辺の長さが3cmの正六角形の面積の差は何cm2ですか。
【解答例】
(1)
作図をすると次のようになります。
ここまで作図をすると、三角形ABCが初めの位置の真反対になっていることがわかりますから、残りの動き方はここまでの動き方と同じです。
図より、1回の移動で180度回転していますから、
6cm×3.14×1/2×2×2=37.68cm
が(1)の答えです。
(2)
(1)の図をもとにして、三角形ABCが通る部分を作図します。
上の図で、正六角形の面積は1辺が3cmの正三角形6個分と同じですから、三角形ABCが通る部分の面積と1辺の長さが3cmの正六角形の面積の差は、中心角が120度のおうぎ形6個分です。
3cm×3cm×3.14×1/3×6=56.52cm2
「図形の移動」は自分で作図することが必要になレベルの高い問題ですが、冬期講習で「三角形の転がり移動」について復習をしていますから、大問6はその学習が身についていれば正解は難しくないと思います。
では、大問7はどうでしょうか。
大問7
おはじきがたくさん入っている箱があります。AさんとBさんが、このおはじきを使って次のようなゲームをします。
①はじめ、2人は箱からおはじきを5個ずつ取ります。
②じゃんけんを1回行い、勝った人は箱からおはじきを2個取り、負けた人は箱におはじきを1個もどします。あいこのときは、2人とも箱からおはじきを1個ずつ取ります。
③どちらかの持っているおはじきが10個以上になるまで②をくり返します。
どちらか1人のおはじきが10個以上になった場合、その人をゲームの勝者とします。2人が同時に10個以上になった場合、ゲームは引き分けとします。次の問いに答えなさい。
(1) 3回じゃんけんを行った結果、3回目でAさんがゲームの勝者となりました。3回のじゃんけんでAさんの勝ち、負け、あいこの順番として考えられるものは全部で何通りありますか。
(2) 6回じゃんけんを行った結果、6回目でゲームは引き分けとなりました。6回のじゃんけんのうち、あいこは何回ありましたか。
(3) (2)のとき、6回のじゃんけんでAさんの勝ち、負け、あいこの順番として考えられるものは全部で何通りありますか。
【解答例】
(1)
はじめの個数が5個ですから、勝者になるためにはおはじきを5個以上増やすことが必要です。
3回のじゃんけんで5個以上増やす方法は、
a.3勝0敗…2個×3回=6個増える
b.2勝0敗1分け…2個×2回+1個×1回=5個
の2つがあります。
「勝つ」を〇、「負ける」を×、「あいこ」を△で表すと、
aの場合…(1回目、2回目、3回目)=(〇、〇、〇)の1通り
bの場合…(1回目、2回目、3回目)=(〇、〇、△)、(〇、△、〇)、(△、〇、〇)の3通り
1通り+3通り=4通り
※bの場合は「3C1=3」のように計算で求めることもできます。
(2)
「6回目で引き分け」になったので、5回目までにおはじきの個数が9個になっていた、つまり2人ともはじめよりも4個増えていたことがわかります。
5回のじゃんけんで4個増やす方法は、
a.3勝2敗…2個×3回-1個×2回=4個増える
b.1勝1敗3分け…2個×1回-1個×1回+1個×3回=4個
の2つがあります。
しかし、aの場合はひとりが3勝2敗ならば残りの人は2勝3敗となるので、5回のじゃんけんで2人ともが4個増やすことはできません。
ですから、(2)の答えはbの場合だけで、6回目のあいこを含めてあいこは4回とわかります。
(別解)
「勝負が決まる」と2人あわせて1おはじきが1個増え、「あいこ」のときは2人あわせて1おはじきが2個増えます。
5回のじゃんけんで2人あわせて8個のおはじきが増えたのですから、つるかめ算を利用すると、5回のうち、
(8個-1個×5回)÷(2個-1個)=3回
があいこだとわかります。
3回+1回=4回
(3)
Aさんは5回のじゃんけんで「1勝1敗3分け」だったのですから、勝ち、負け、あいこの順番は、
「1勝する回」が1回目~5回目の中の1回なので5通り、
「1敗する回」が残りの4回の中の1回なので4通り、
「3分け」は「1勝1敗」以外の回なので、5×4×1=20通り
です。
このうち、「1敗」が5回目の場合は、4回目までにおはじきが2個×1回+1個×3回=5個増えてAさんが4回のじゃんけんで勝者になってしいますので、1回目から4回目までが「1勝3分け」で、5回目が「1敗」となる
4C1=4通り(1回目~4回目の中から「1勝」の回を選ぶ)
を20通りからのぞきます。
また、「1敗」が1回目の場合は、逆にBさんが4回のじゃんけんで勝者になってしまいますので、同じく4通りを20通りからのぞきます。
ですから、Aさんの勝ち、負け、あいこの順番は、
20通り-4通り×2=12通り
です。
大問7の出題分野は「場合の数」に分類されますが、(2)(3)は「推理と論理」あるいは「条件整理」といわれる分野の問題も含んでいますので、テストの残り時間が少ない場合には正解が厳しい問題となっています。
これまで2回にわたってサピックスの新6年生(現5年生)が毎年1月に受験する「組分けテスト(第3回入室テスト)」について見てきましたが、ご紹介した2018年1月8日実施のテストからは、冬期講習で復習したり新しく学んだりした内容だけでなく、5年生になってからの1年間の学習内容から出題されていることがわかりました。
2019年は実施予定日が1月14日ですので1週間程度しか時間がありませんが、復習が十分でないようでしたら夏期講習や冬期講習の教材、あるいは4回ごとにあるデイリーサポートの「復習」教材などを利用して、「組分けテスト」の準備ができればいいなと思います。