第424回 1月の入室・組分けテスト
「第424回 1月の入室・組分けテスト」
2018年も残すところあと2日となりましたが、入試を目前に控えた受験生は暮れも正月も関係なく、最後の頑張りに余念がないことでしょう。
また、サピックスの5年生にとってもこれからの2週間が非常に大切な時期となっています。
というのも、サピックスでは2019年1月14日に新6年生のクラスを決める「組分けテスト(第3回入室テスト)」が行われるからです。
現在受講中の冬期講習は「3・4年生は徹底した復習中心で、5年生は入試に直結した内容も学習」(サピックスホームページより)するものですが、4回の授業で取り扱える範囲にはどうしても限界があります。
一方で、この時期の「組分けテスト」では、この1年間に学んだほぼすべての範囲から問題が出されます。
次の表は、冬期講習の学習と組分けテストの出題範囲との関係をまとめたものです。
この表からわかるように、基礎知識の確認が主眼となっている大問2・3でも冬期講習で取り扱う内容以外のものがありますし、クラスアップに正解が欠かせない大問4以降についても冬期講習以前に学んだ内容が出題されています。
ではどのようなテストなのか、2018年1月8日に実施された「組分けテスト」の問題をいくつか見てみましょう。
はじめは基礎知識の確認となる大問2・3からです。
大問2-(5)
トマト2個とキュウリ5本を買うと、代金の合計は385円です。トマト1個の値段はキュウリ1本の値段の3倍です。このとき、トマト1個の値段は( )円です。
【解答例】
トマト1個=キュウリ3本なので、
トマト2個=キュウリ6本
となりますから、これを
トマト2個+キュウリ5本=385円
に「代入」すると、
キュウリ6本+キュウリ5本=385円
となり、
キュウリ1本=35円
が求められます。
35円×3=105円
文章題のうちの「消去算」の問題です。
消去算の解き方は、中学数学でいうところの「加減法」と「代入法」の2つがありますが、小学生は「加減法」で解く問題よりも「代入法」の問題の方が苦手な傾向にありますので、このような問題も復習をしておくとよいかも知れません。
続けて大問3の問題です。
大問3-(2)
右の図の四角形ABCDは、辺ADと辺BCが平行な台形です。EFは辺ADと辺BCに垂直な直線で、台形ABCDの面積を2等分しています。AEの長さは何cmですか。
【解答例】
台形が高さの等しい2つの四角形に分けられ、その面積が等しいという問題です。
高さが等しいのですから、「等高四角形の面積比=(上底+下底)の比」という解き方が使えます。
上の図より、
ア+イ=8cm
です。
問題図よりアとイの差は1cmですから、
AE=ア=(8cm-1cm)÷2=3.5cm
とわかります。
等高図形の面積比は冬期講習でも取り扱いますが、「イナズマ三角形」だけですので、「台形と等高図形」の問題を忘れているようでしたら、こちらもこの問題なので確かめをしておくとよいでしょう。
このように、大問2と3は「基礎知識の確認」ですから、ここでの失点はできるだけ防いでおきたいところです。
では、クラスアップに欠かせない大問4以降の問題はどのようなものなのでしょうか。
大問4
ある店では、A、B2種類のノートが売られています。太郞くんは、持っているお金でAを9冊、Bを4冊買い、330円残るはずでしたが、AとBの冊数を逆にして買ってしまったため、残ったお金は405円でした。次の問いに答えなさい。
(1) A1冊とB1冊の値段の差は何円ですか。
(2) 残ったお金で、AとBをちょうどあと1冊ずつ買うことができます。太郞くんのはじめの所持金は何円ですか。
【解答例】
(1)
いわゆる「とりちがえ」の問題です。
そこで「とりちがえ」の様子を図に表してみます。
AとBを5冊取り違えると
405円-330円=75円
の差ができたのですから、1冊の値段の差は
75円÷5冊=15円
です。
(2)
A1冊とB1冊の値段の和が405円ですから、「和差算」を利用するとA1冊の値段は
(405円+15円)÷2=210円
B1冊の値段は
210円-15円=195円
とわかります。
210円×9冊+195円×4冊+330円=3000円
大問4は形式こそ「大問」ですが、レベルは大問2などの「1行問題」とほぼ同じでした。
さらに大問5を見てみましょう。
大問5
兄と弟は、同時に家を出て公園に向かいました。兄の歩く速さは分速80m、弟の歩く速さは分速60mです。家を出発した後、兄は家に忘れ物をしたことに気づき、そのままの速さで家に引き返したところ、引き返してから60m歩いたところで弟とすれ違いました。次の問いに答えなさい。
(1) 兄が引き返して歩いている途中弟とすれ違ったのは、2人が家を出発してから何分後ですか。
(2) 兄が引き返して家に着いたとき、弟は家から何mはなれたところにいますか。
(3) 兄は家に到着してすぐに忘れ物を取り、自転車に乗って分速180mで公園に向かったところ、弟よりも3分30秒早く公園に到着しました。家から公園までの距離は何mですか。ただし、兄が忘れ物を取るのにかかった時間は考えません。
【解答例】
(1)
距離の条件だけですから、線分図を利用するとよさそうです。
上の図より、兄は弟よりも
60m×2=120m
多く歩いていますから、
120m÷(80m/分-60m/分)=6分後
だとわかります。
(別解)
兄と弟の速さの比が4:3ですから、距離の比も④:③です。
④-③=120mなので、
③=360m
360m÷60m/分=6分後
(2)
(1)より6分後に兄は家から
60m/分×6分=360m
はなれたところにいることがわかりますので、家まで戻るのに
360m÷80m/分=4.5分
かかります。
その間に弟は
60m/分×4.5分=270m
進みますから、
360m+270m=630m
が答えです。
(別解1)
兄と弟の距離の比が④:③で、
④=360m
ですから、
①=90m
360m+90m×3=630m
(別解2)
同じ距離を進む時間の比は兄:弟=③:④ですから、
④=6分
③=4.5分
弟は家から
6分+4.5分=10.5分
歩くので、
60m/分×10.5分=630m
(3)
「3.5分」という時間の条件が与えられましたので、ダイヤグラムをかいてみましょう。
上のグラフより、兄が弟に追いつくまでの時間が
630m÷(180m/分-60m/分)=5.25分
とわかります。
さらに、同じ距離を進む時間の比は速さの比180m/分:60m/分=3:1の逆比①:③ですから、差②=3.5分より、兄は弟に追いついてから
3.5分÷2=1.75分
で公園に着くことがわかります。
180m/分×(5.25分+1.75分)=1260m
(別解)
線分図を利用すると次のようになります。
兄が公園に着いたとき弟は公園まで
60m/分×3.5分=210m
のところにいますから、兄は弟よりも
630m+210m=840m
多く進んだことになります。
840m÷(180m/分-60m/分)=7分
180m/分×7分=1260m
※兄と弟の距離の比が3.:1であることより、840m×3/2=1260mのようにして解くこともできます。
ここまで、2018年1月8日に実施された「入室・組分けテスト 新6年(現5年生)」の大問5までを見てきました。
大問2~4は基礎知識の確認でしたが、大問5はこれまでに学んだどの知識(解き方)が使えるかを自分で考えて解く、デイリーサポートのD・E問題に相当するレベルの問題でした。
とはいっても小問1つ1つはこれまでにA~C問題で学んだ内容ですから、決して正解できない問題ではありません。
ただ、大切なことは、大問5の旅人算も、大問4の差集め算も、問題の条件に応じた整理のしかたができる方が正解しやすいという点です。
組分けテストで「小問集合(1行問題)は正解できるけれど、応用問題が苦手」であれば、この整理が正確に行えていない可能性があります。
大問4以降を正解して高得点を目指すときは、テストまでの2週間を利用して、条件整理の練習をしてみるのもいいかもしれませんね。
さて、次回は残りの大問6と7について見ていこうと思います。